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勇者はやはり勇者である

「_____________そして帰ったら伝えてくれ。」


シグルドは背を向け歩きだす。カーラは息を吐き出し、緊張の糸が解けたようにその場へとしゃがみこんだ。


(会長に見逃された..........俺はついてる。俺はまだ死んでない。)


心の中で自分を励ます。そして立ち上がり、都市郊外へと向かう為に足を踏み出そうとするが、何者かに右腕を捕まれる。



「________________おいおい、何してンだよ?」



カーラは即座に掴まれていた腕を振り払い、距離を取る。


「てめぇ...........」


魔帝の出現。カーラは召喚陣を用いてハティ•ベイビーを20体召喚する。


(何を考えやがる.....此処はクラキ国内だぞ。まだ近場には会長もいる。それにこれだけの被害が出たんだ。勇者以外の精鋭も直に応援にやってくる。)


にも関わらず魔帝はこの場に現れた。魔帝側にとってもリスクが高い筈だ。


「______________てめぇ如き召喚士を自ら葬らずしてなにが七英雄か。」


この男は勇者に自分を殺させようとした。だが、失敗したので自らが引導を渡そうと息巻いてる。


「ダセェ男だな、てめぇは..........七英雄なら最初から正面切って戦えってんだ。臆病者は勇士とはなり得ねぇ。戦士とは勇敢で在るべきなんだ。その誇りすらも忘れた貴様は英雄ではない。天啓からやり直せ、三流魔導士。」


フードの下から鋭い眼光が覗く。


「死骸ども、てめぇらの相手は『勇者』だ_________行け。」


カーラは警戒度を最大限に高める。


「今度は逃がして貰えるとは思うなよ。」


目の間にいる男は此処で雌雄を決するつもりだ。


「___________________はっ、上等だぜッ!!」










「___________君達は何者だい?」

シグルドを囲むように建物の屋根から見下ろす五人の死骸達。


「貴方の先輩、かな。」


美髪姫は微笑を浮かべながら言葉を返す。


「私が聞いているのは君達が___________」


シグルドは魔剣を鞘から抜刀し、力を抜いた状態で構える。隙はなく、一度射程に入れば反撃の余地なく胴体は真っ二つに裂かれるだろう。


「________________________敵か、否か。」


言霊使い(元賢者)はシグルドの眼前へと下り、射程内へと入る。シグルドは彼女の首を跳ねる為に剣を振るうが______________


『動くな(あらあら、まぁまぁ)♪』


___________剣先は寸前のところで停止する。言霊使い(元賢者)は笑みに深みを見せ、手元に魔力を集中させる。


「あらあら、まぁまぁ(歯を食い縛りなさい)♪」


そして魔力が乗った手で勇者シグルドへと鋭い平手打ちを喰らわせる。シグルドは平手打ちの衝撃で、地面へと身体を打ち付け、嗚咽を漏らした。


「あらあら(手のひらが当たる寸前、身体の支配を取り戻した。そして全力で回避行動に移り、致命傷を避ける。化物並みの反射神経、そして身体能力。まさに勇者と呼ぶに相応しい。)」


言霊使い(元賢者)の一撃が直撃していた場合、その頭部は破裂しザクロのように血飛沫を上げていただろう。だが、シグルドは魔力を身体に循環させる事で言霊を上書きしたのである。


「まぁまぁ(勇者の魔力量は賢者や魔帝に比類しうる。けれど目の前の勇者は最早常識の範囲外。恐らく度重なる死闘の生還で本来の勇者の力量を大幅に上回っているのでしょう。)」

「_______________________グラム=バルムンク」


倒れた状態からノーモーションの魔剣解放。


(_________________その体勢から、魔剣の解放?)


言霊使い(元賢者)は真っ二つへと肉体を切り裂かれる。


(ベルンの次元斬りを参考にしてみたが___________)


シグルドは立ち上がり、言霊使い(元賢者)へと手を翳す。


「______________出来るものだな。」


真っ二つとなった言霊使い(元賢者)をルーン魔術にて焼却する。抵抗も最後の捨て台詞を吐くこともなく灰塵と化す。


「『敵』だと断定させて貰うよ、死臭を漂わせる死人達。」

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