表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/381

魔帝の葛藤

日は沈み夜となる。魔帝は心底嫌そうな表情を浮かべ、視線を五人の死骸へと移す。


「........満たせ。満たせ。ルーンの輝き。英雄よ、汝らは何度でも立ち上がる。我、求めるは屍より出でし勇士なり。」


やる気のない詠唱を終えると、五人の死骸は自我を取り戻し動き始めた。


「_______お前は相変わらず性格の悪い奴だな、魔帝。死ねばいいんじゃないか?」


開口一番に美髪姫(元聖女)はジト目で魔帝を罵る。


「性格が悪い?何の事やら。俺はただ、あの小娘のへぶし!!?」


言霊使い(元賢者)が魔帝へと平手打ちを決める。


「あらあら、まぁまぁ(死ねよ、カス)♪」


地面へと倒れる魔帝。頬を押さえながら言霊使いを睨み付ける。


「お前はいつもいつも........ちっ、どうせ俺が手を下さずともあの小娘はあの場に駆けつけ暴走してくれる。それで勇者に斬られてアングルボサの呪いは解放されるんだ。クラキ国は今以上に大損害を出すだろうよ。俺達アルフヘイム側にとっては良いことだらけだろ。」


魔帝の言葉を聞き、格闘家(元勇者)は情けない奴だと小さく失笑した。


「おめぇ......そんでもたまついてんのか?」


魔帝は格闘家を無視し、立ち上がる。


「年増は好かんが、あの女召喚士は確固たる戦士の意志がある。あの瞳を見ればお前とて分かるだろう。それを無下にし、お前は七英雄の顔に泥を塗った。」


無敵艦隊(元覇王)は魔帝の胸へと人差し指を当て、首を横に振る。


「はっ、生前誇りだなんだとほざいて死んでいったお前が言うと皮肉に聞こえンな。俺が彼奴と堂々と戦って何になる?スキールニルの利益になるのか?なんねぇーよ。俺は誓ったンだ。彼奴の国を守るってな。英雄の矜持なんぞ必要ねぇ。」

「ぁああん?国を守るだぁ?神聖国は世界蛇をぶっ潰して世界を救いやがった!本来動くべき七英雄や大国の精鋭が動かずに傍観を決めこんでくれたお陰でな。見てみろや、腐ったてめぇーらを粛清するために神聖国は既に二大国を潰した。それも堂々と正面からな。国や民を守るのは七英雄の仕事だ。俺らが先導して世界の脅威から世界を守んなきゃいけねぇ。なぁ魔帝........七英雄の冠職を持ってながら何故そこまで臆病になれる、えぇ?なりふり構わず力を使うのは世界蛇出現の時だったろ?」


鈎爪使い(元英雄)が悲観した面持ちで魔帝へと語る。そして美髪姫(元聖女)が鈎爪使い(元英雄)に続く様に言葉を伝える。


「別にお前に十解全員を相手しろとは無茶は言っていない。ただ私たちは仮にも七英雄だった者。そしてお前は現【魔帝】だ。神聖国が大陸を侵略せんとする大罪人どもだと言う事も理解している。だがな、魔斧を勇者と共に攻略もせず、小娘一人にも姑息な真似をする。ダセェんだよ、してることが。」



五人の死骸に召喚士をいたぶらせ、拘束させた。そしてわざと仲間が勇者にいたぶられる姿を見せ拘束から解放した。己の手は汚さずに十解二人を勇者に葬らせる。完璧な作戦だ。


「うるせぇんだよ.............」


完璧な作戦ではあるが、七英雄の一人がする事ではない。魔帝は頭では分かっていた。昔の自分であればあり得ない所業であることも。


「....................死人が偉く説教垂れてンじゃねぇ。忘れんじゃねぇぞ。てめぇらを300年前に殺したのは俺だって事をな。」


五人は優しい瞳で魔帝を見る。


「「「「「知ってる」」」」」


五人の死骸の一人、無敵艦隊(元覇王)が扉を破壊し、外へと指を指す。


「___________お前は魔王だろ。なら、魔王らしくしろ。命をとして封印した俺達がバカ見たいだろ?」


無敵艦隊(元覇王)は微笑を浮かべながら星空を見上げる。


「俺は..........」


魔帝はその言葉を受け、何とも言えない表情を見せる。そして拳をぎゅっと握り、視線を下げ、俯いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ