色物集団が弱い訳がない
「がっはっ........はぁはぁ.........」
魔帝は墓地の奥底にある迷宮にて目覚める。分身体が殺られた事で魂が本体へと引き戻されたのである。
(あの狸め.........)
ヴェストフォルの英雄は既に死んでいる。血斧に精神と肉体を乗っ取られていたのだ。
(奴の口振りから十解すらもその事実に気付いていない。)
魔帝は苦笑をしながら立ち上がる。
(血斧は破壊した方がいい......あいつの邪魔になる。)
軍勢を送り込んだ事が仇となった。奴の力を増幅させ、凶悪な化物に仕立て上げてしまったのだ。
(正面からの衝突は避けた方がいいな。彼奴のパワーとスピードは最早、俺が止められない領域にある。)
だが、対策がないと言うわけでもない。
(_________________転移陣でクラキ国へ飛ばす。)
五人の死骸を叩き起こし、魔斧を撃破するという選択肢もあるが、恐らくそれを行った場合、こちら側の損失も大きいと予測出来る。ならば戦わなければいい。こういった化物専門はどこかの勇者にでも任せればいいのだ。
(十解全員の実力がどの程度のもンかは分かンねぇーが、あの魔斧は純粋に俺との相性が最悪だ。)
魔力攻撃に特化した性質を持つ職業適正『魔帝』。覚醒能力は『魔力制御』である。これは一重に自身だけでなく周囲にいる他者の魔力すらも制御下に置ける異質の能力。魔力を扱うただの人間であれば魔帝の敵ではない。
(だが、彼奴は魔力すらも喰らう暴食。)
幾重にも編んだルーン魔術防御兵装は破壊されたのではない。侵食され喰われたのだ。
「万が一もある。五人の死骸を動かすしかない。」
迷宮の再奥地に足を進ませる。全ては王の為、国の繁栄の為に。
「_________________俺、こう言う場所苦手。」
カーラは薄暗い森の中をさ迷っていた。傍らには召喚したハティ•ベイビーが四体。周囲の警戒のために常に自分を中心に前後左右に展開させている。
(ニザヴェリルでアルフヘイムの雑魚どもを蹴散らしたまでは良かったんだけどなぁ...........)
『魔帝』を名乗る男に上位の【アングルボサの呪い】の召喚を警戒され、転移陣でニザヴェリル郊外へと飛ばされた。
「......はぁ」
(エイリークのおっさんが無事でいればいいけど。)
ヴァナヘイムでエイル姉は勝ち星を上げて帰って来た。嫌に成る程自慢話も聞かされた。て言うか戦乙女を見せびらかすように常に侍らせている。
(とは言え、その気持ちも分からなくない。俺もジークフリートに誉めて貰いたくて声を上げたんだ。)
なのに雑兵を蹴散らしたらじめじめとした樹海に送られちまった。
「恨むぜ、七英雄__________」
暫く歩いていると樹海を抜ける。そして月明かりが差し、暗闇から解放された。
(__________________________こんな場所に墓地?)
そして目に入ったのは美しい霊園とでも言えばいいのだろうか。丘の上に位置し、中心には大きな墓石が建つ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
巨大な墓石の隙間から扉が開くような音が聞こえる。
(まさか..........これは迷宮への入口か?)
ハティ•ベイビーを追加で六体召喚し、墓石を取り囲むように指示を出す。
「ひゃっはあああああああ!!!!久し振りのしゃばだぜぇ!!酒ぇと女は何処だぁ!!!!!」
「まてぇの奴がつぇー奴がわんさかいるっつーからよ、ワクワクし過ぎて腹へっちまった!」
「あらあらまぁまぁ!あらまぁまぁ!」
「ねぇリーダー、こいつら煩くて本が読めないだけど、黙らせてくれない?」
「リーダーではない。幼女愛好家団体総裁である!!」
墓石から五人の影が現れる。一人はモヒカンの肩パッドアーマ男。二人目は修練胴着を来た坊主頭。三人目は両面を布で隠した女シスター。四人目は陰気そうな髪長女。五人目は見た目は普通の青年なのに対し、発言が犯罪者男。騒がしく会話をしながら出て来た為にカーラは唖然としていた。
(なんだ、こいつら........冒険者か?)
敵意は感じないが、警戒心は解かない。
「あぁ?なんだぁ、お嬢ちゃん?俺とセッ○スしに来たのかぁ?えぇ??」
肩パッドアーマがカーラの存在に気付き、第一声に声を掛けて来た。
「んな訳あるか、駄アホ!!俺がセッ○スすんのはジークフリートだけだっつーの!!」
カーラーがそう言い返すと、五人の顔付きが一斉に変わる。
「_________今、ジークフリートと言ったか、年増女?」




