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道化師の嫉妬

目の前の男への評価は愚直なまでに優しい賢王だった。歴史的にも人物像的にもスキールニルが成し遂げた偉業は他者を救うものばかりだったのだ。故に英雄王と呼ばれアルフヘイム内から絶大な支持を得ていた。


(だけど_________この男の本性は違う。)


ジークフリートに対する『想い』というものが常軌を逸脱しているのだ。底知れない。深く。とても深く。深淵にも等しい『想い』がジークフリートに対し向けられている。


(精神干渉の効力の一つに干渉した人物の記憶や想いを読み取る力がある。)


初手にスキールニル王に精神干渉を掛けたことで仮定から確信へと変わった。


(この男の魂はジークフリートと同じく異界より輪廻転生したもの。)


そして二人は前世に置ける『親友』という関係性にあった。


(___________ジークフリートに会わせるべきじゃない。いいや、会わせない。)


ジークフリートには秘密だが、彼の記憶を過去に幾度と視ているからどれ程彼らの絆が深いのかは理解している。


「あぁ、そう言う事か。君は俺と彼奴が再び『親友』となることを恐れているんだ。」

ロキは心を見透かされた。そして唇を強く噛み、血が伝う。


「前世の彼奴はモテなかった。あんなに面白くていい奴なんて他にいないのにな。俺が女なら絶対に彼奴を選んでる。でも良かったよ。君は彼奴の内面を見て好意を向けてくれているんだろう。」


敵意はなく、ただ世間話をする様に話を続けるスキールニル。


「これからもそう在り続けてくれると嬉しい。俺は彼奴が幸せになってくれる事を願っているんだ..............」


スキールニルの表情に影が入っていく。


「だから廉太郎が君の立ち位置に俺を置きたいと願うなら、俺は迷わず君を殺すし、その立場で廉太郎を支える。ジークフリートの為に死ねるなら君も本望だろう。」


ジークフリートの為に死ねる。それは喜ばしい死に方だ。だけど自分が死にこの男が隣に存在する未来を浮かべるだけで_________


「______________吐き気がする。」


唾をスキールニルへと吐く。


「男の嫉妬は見苦しいな。いや、女の子だったか?」


頬に付着した唾を拭き取り、スキールニルは挑発とした表情でロキを煽る。


「僕はッ__________僕だぁ!!」


手足についた鎖から抜け出し、隠し持っていた短剣を抜刀する。


(ジークフリートが此処に辿り着く前に決着をつけるッ!!)


そしてスキールニルへと襲い掛かるために飛び出す。

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