美姫と鑑定士
(僕はまた助けられた.......)
ハーラルは苦渋の表情を見せるが、直ぐに冷静さを取り戻し己のすべきことを今一度思考する。
「助かった。後はワルキューレさんに任せるよ。」
(思い出せ.........僕は真っ当な戦いをするために此処にいるんじゃあないだろう.........)
ハーラルは自身の実力が十解の構成員の中で最も弱者であることを自覚していた。
(__________僕の役目は露払いだ。)
ヴァナヘイムの王と対峙したところで敵わないことも理解している。ダーインスレイヴを運良く拾えたことは奇跡と言ってもいい。
「僕は戦士じゃない。」
美しくない。戦士でないことがこれ程まで苦痛になるとは。『美髪王』は確かに特殊ではあるが、戦闘に特化した職種適正ではない。
(ジークフリートが課した僕への使命は他にある。前線に立ち、友であるグローアと肩を並べたいという私情は捨てろ.................ダーインスレイヴの担い手。それが今の僕だ。強大な力を持つ魔剣は多くの命を奪う。)
責任を感じたいのならその業を背負えとジークフリートは言った。
(僕には僕に適した使命を果たさなければならない。)
ハーラルはぎゅっとダーインスレイヴを握りしめ、額へと当てる。
(まだ僕は英雄願望なんて夢を見ているのか......)
神殿の階段を下りながら苦悩する。
「ボスヴァル........ノルナゲスト..........僕に勇気をくれ.....」
神殿を下り待っているのは王の元へと駆けつけたヴァナヘイムの戦士達。数にして数百人。ハーラルはダーインスレイヴを地面へと突き刺し、覚めた目で嗤う。
「___________君たちの命は僕が貰い受ける。理不尽な死を与えることを許して欲しい。そして僕をどうか許さないで欲しい。」
ダーインスレイヴは漆黒へと染まる。
「ダーインスレイヴ_____________起動」
そして多くの命を再び奪うのだ。
「へぇ、凄い!!」
的確な急所を狙う攻撃を紙一重に避け続ける美姫王フレイヤ。エイルは冷静に冷徹に致命傷を与えようと攻撃を続ける。
(ここまで緊迫とした戦いを私は知らない!!)
エイルの職業適正『鑑定士』の覚醒能力、解析/開錠を使用しフレイヤの戦乙女としての能力を封じている。にも関わらず、フレイヤは素の戦闘センスと持ち前のルーン魔術を使用するだけで拮抗しているのだ。
「楽しい!!楽しいね!!!」
エイルは舌打ちをするフレイヤに対し、タックルを決める。うぐっと嗚咽を出すフレイヤ。
「_____________止めです。」
地面へと押し倒したエイルは手刀でフレイヤの首元を穿とうとするが、その攻撃はフレイヤに手首を捕まれることで防がれてしまう。
「もっと戦いたいのに勝手に終わらせようとしないで。フレイヤについていける人なんて初めてなんだよぉ?」
フレイヤはエイルを左方へと投げ飛ばし、立ち上がる。
「______________だからさぁ、本気出したげるッ!!!」




