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戦士

高潔な「戦士」で在るには強くならなくてはならない。


「__________出来損ないが。」


ヴァナヘイムにて「最高の戦士」の名を轟かせる父は息子であるフレイにスパルタ教育を施す。


「僕は........」


何度も打たれ、殴られ、蹴られる。一流の戦士になるための訓練だと、痛みを覚える為の試練だと父は教示した。


(憎い..........この男をどうしても殺したい.......)


その感情だけがフレイの原動力であった。


「______________はは!どうだッ!!やってやったぞ!!!」


戦士として成熟した頃、フレイは親殺しに成功する。


「ザマァ見ろッ!!おまえを越えッ........なんだよ、その顔はッ」ギリ


瀕死の傷を負い、死にかけだと言うのにフレイの父親は晴れた表情で笑っていたのだ。


「流石は.......私.....息子だ......屍を乗り越え......戦士として......高みへ.......行け.......」


そう最後に言い残すと満足した表情で息を引き取る。フレイの表情は歪み、ただ父の遺体を睨み付けることしか出来なかった。


「________________兄様」


実妹であるフレイヤはフレイとは逆に戦士としての才覚があり、花よ蝶よと育てられてきた。


「フレイヤ.......こうしてお話するのは久し振りだね。」

「うん、久し振り。」


どこかぎこちない様子のフレイヤに苦笑する。


「別に恨んじゃいない。フレイヤはフレイヤなんだ。僕じゃあない。」

「でも......お父様が怖くて.......何も.......」


してあげられなかった。手を差しのべられなかった。そうフレイヤは口にする。


「同情しなくていいよ...........だけど僕を可愛そうと本当に思うなら手を貸してくれないかな。」


共犯者が必要だ。それも強力かつ強大な。


(ヴァナヘイムを手中に納めるための「力」が必要だ。)


強制はしない。妹は唯一残された血縁だ。危ない橋には渡らせたくない。


(とは言え______________)


フレイヤの実力はヴァナヘイムでも随一を誇る。父を恐れていたと言うが、実際には父を瞬殺するだけの実力を持っている。


(フレイヤに必要なものは自信だ。)


彼女が本気になれば七英雄に並ぶ程の実力を引き出せる。


(職業適正『戦乙女』、ヴァルキュリア。)


女で本物の戦士を目指す者であれば喉から手が出る程に選定されたい職業適正。


(僕のような平凡な『片手剣使い』とは違う。他を凌駕する程の力を引き出せる。)


フレイは小さく笑うと、フレイヤから背を向け歩き始める。


「__________別に無理にとはいわないけどさ。」


フレイヤは拳をぎゅっと握り、兄であるフレイを追いかけた。


「_____________兄様が必要と言うならなんだって手伝う。」


そして隣に並び立つと覚悟とした瞳でフレイヤにそう告げるのだ。


「そう.......なら一緒にヴァナヘイムを潰そう!」


フレイヤとフレイのプロローグと言えばいいのだろうか。様々な戦いを乗り越え、彼らはヴァナヘイムの頂点へと辿り着く。そして王冠を頭に彼らは嗤うのだ。




「「力こそ全て!!!」」




フレイヤとフレイの猛攻にグローアとハーラルは押される。互いのコンビネーションは既に達人の域にある。まるで舞を魅せるのかのように抜群の連携を見せる。


「ぐっ........」

(強いな............流石はヴァナヘイムの王を名乗るだけのことはある。)


グローアとハーラルは二人の攻撃により後部へと飛ばされる。


(男の方はジークフリートのように戦が上手い。剣の捌き方、避け方の熟練度が群を抜いている。)


そして目を最も光らせるべきは________


「あの女の子........相当危険だよ、グローア。」


ハーラルの言う通り、フレイヤと呼ばれる女戦士の危険性だ。今は男の力量に合わせ、連携を取っているがあれが単体で動き出したら苦戦を強いられることになる。


「言われなくてもッ!!」ガキンッ!!

「話し合いをしたいなら死んだ後にしてくれるかな。」


ガキンッと刃と刃がぶつかり火花を散らす。


「グローアッ!!」


ハーラルは叫び、グローアの元へと駆け出そうとするが_____


「________人の心配をする暇があるかにゃあ?」


フレイヤがハーラルの行く手を阻むように、鞭を振るう。その鞭先は生き物のような動きでハーラルの顔面へと伸びる。その速度は常人では捉えられぬ程の速度があり、ハーラルは目で辛うじては追えたが身体が動く前に直撃することを予測する。


(避けられッ_____________)


即座に頭部への魔力障壁を全開にする。だが、理解はしていた。恐らく頭部へと魔力障壁を集中させようとも鞭は障壁を破り顔面を砕くことになるだろうと。



「_______________ありませんね。」バンッ!!



鞭を的確に手の甲で弾き飛ばしハーラルの眼前へと立つ元ヴァルハラ学園生徒会副会長。


「下がりなさい、ハーラル。この女性は私がお相手を致します。」


エイル•ワルキューレはフレイヤ同様に籠手を装備しフレイヤへと相対する。

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