ヴァナヘイム侵攻
美麗な巨人族、その末裔が統括する大国ヴァナヘイム。この国はフレイとフレイヤと呼ばれる双子により統治される。そして10人もの異質な気配が領地へと踏み入れる様子を感じ取っていた。
『____________フレイヤ様、フレイ様!!!』
玉間へと親衛兵が慌てた様子で駆け込んでくる。
『神聖スヴァルタールヴァヘイムなる敵軍が「ファフニール」を放ち、進軍を開始しております!!』
敵側に覚醒能力に至った「召喚術士」がいることが伺える。一級のアングルボサの呪いを戦争で使うなど御法度だと国間条約に記されているが、侵略者達は御構いなしのようだ。
「お兄様、戦装束に_______」
「_____________あぁ、久し振りの戦だね。楽しもう。」
フレイとフレイヤは余裕然とした表情で戦闘装束へと身を包んでいく。
(この国に強い者と言える者は既に僕たち二人を置いて存在しない。)
反抗する分子は徹底的に排除し、国民全てを力で支配した。
「国の守護は僕達だけで事足りるからね。」
「行きましょう、お兄様。敵に絶対なる支配者が誰なのか、教えてあげましょう。」
騎士鎧に身を包み、己の武器を抜刀する。フレイは盾を左腕に、輝かしいハーフソードを右手に握る。反対にフレイアは鞭を左手に、二重装甲のガントレットを両腕に装備していた。
「王冠は僕達ヴァナヘイムが握る。彼らを討伐したあとは軍下に加え、ヴァルハラ大陸を手中に納めよう。」
「それいい!やろう!ムカついてたんだよね、他の大国が同格面するの!」
ヴァナヘイム各地で戦闘音が響いているのに対し、雑談に花を咲かせるフレイとフレイヤ。危機感を一切と抱いていない様子である。
「_________その必要はない。神聖国がそれを成すのだからな。」
神殿の間へと音もなく姿を現す冒険王グローア。それに追従するように美髪王ハーラルも姿を現す。
「神殿周囲には数百という兵を置いていた筈だけど?」
二人の出現にフレイは驚いた素振りも見せず、質問を投げる。
「答える必要はない。お前達に残された選択は全面降伏か、死だ。神聖国の一部となると言うのであれば、命まではとらない。」
「面白い選択だね。まるで君たちが勝者であるかの様な振る舞いだ。」
美髪王の持つダーインスレイヴへと目線を下げ、フレイは理解する。
「そうか。魔剣でヴァナヘイムの大半を虐殺したのか。惨いことをするね、ヴェストフォルの王子。」
「........フレイ、早くこいつら殺そう。ヴァナヘイムの生き残りを殲滅してる奴が神殿外周に何人かいる。合流されたら面倒だよ。」
フレイヤはヴァナヘイム一帯の状況をルーン魔術で張った監視網で把握し、最適解をフレイへと進言する。
「ヴァナヘイムの王達よ。これは戦争ではなく一方的な侵略だ。民達を殺してしまったことは心から詫びよう。だが、お前達の国は強き者こそ正義。ならば敗北を認め白旗をあげてくれ。少ない犠牲で済ましたい。」
「ふ、何が少ない犠牲だい。ここまで僕達の箱庭で好き勝手をしてくれたんだ。」
「許すわけないよねー。お前達を皆殺しにしたら下の奴らも殺しちゃうんだから!」
交渉決裂と言わんばかりにグローアは頬をつり上げる。ハーラルも冷や汗を浮かべつつもダーインスレイヴを構え戦闘体勢に移る。
「__________どちらが本物の強者なのかを見せてあげるよ。」
「__________魅せてあげるよー!」




