ノルナゲストの想いを継いで
燭台の輝きが失われた時、燭台使いは命を失う。そして世界蛇との戦いが終わり、ほぼ全ての力を出しきったノルナゲストの燭台は風前の灯だった。
「...........ノルナゲスト」
スケッゴルドが世界蛇を一刀両断して直ぐの話しになる。ノルナゲストは瓦礫に背を預け、座り込んでいた。グローアは直ぐにノルナゲストの元へと駆け寄るが、状況を理解し動揺とした表情を見せる。
「そんな顔をするなって、グローア。」
消えかけている肉体。寿命が近い事を意味する。
「俺はずっと求めていたんだ。」
優しい微笑を浮かべるノルナゲストにグローアは血が出る程に拳を強く握り締める。
「ふざけるな!!お前の人生はこれからだろうが!ダチの仇を討って、ダチを助けたんだ.......なのに、こんな場所でくたばんじゃねぇよッ!」
「ダチを助けた。それだけで俺の命に価値はあった。」
ノルナゲストは目を瞑り、一人語りを始める。
「燭台使いは長生きなんだ。何もしてなけりゃあ何百年でも生永らえる。だからな、家族も好きになった女も全員先にくたばっちまう。俺は何時も....何時だって見送る側だ。グローア、人は脆いんだ。繋がりがなければ生きていけない弱虫な生き物なんだよ。」
人は人との繋がりを大切にする生き物である。あの狂人の道化師でさえ「繋がり」を求める程。グローアは真剣な眼差しでノルナゲストの話に耳を傾ける。
「俺だって強がってた時期はあった......あったんだけどな...........やっぱり残される側はつれぇわ。短い間だったけど、学園生活は俺にとって掛け替えのない思い出だった。」
普通の学生として友人達と過ごす毎日は楽しくて最後の思い出を飾るにはいい経験が出来たんだと染々に思う。
「楽しかった..........学友と学ぶ授業、互いを高め合う序列戦、昼食に交わす他愛ない雑談。全部が輝いていた。お前らと過ごした時間は俺にとっての宝ものだ。」
ノルナゲストは手のひらを額に当て、眉間に皺を寄せる。
「だからよぉ.......俺より先に死んで欲しくなかったってのによぉ........それだけが悔しくてたまんねぇよ........」
ノルナゲストはボスヴァルの名を口にし、涙を流す。そして涙を拭い、グローアへと瞳を向ける。
「...........絶対に世界を平和にしてくれ。出来ればお前さんが誘ってくれた十解って奴に加わってやりたかったが............どうやら俺はここまでのようだ。はぁ~ハーラルやお前と___________」
台詞の途中で燭台の火が消える。ノルナゲストは糸が切れた様に事切れた。最後に見た友の表情は嬉しそうに笑っていた。
『________________ノルナゲスト』
ヴァナヘイムを眼前にグローアはノルナゲストの死を思い出す。
「グローア.......僕は.......」
グローアの呟きにハーラルは暗い顔を見せ、謝罪の言葉を口にする。グローアはハーラルの背中を強く叩き鼓舞した。
「彼奴がくれた命だ。それに見合うだけの歴史を作れ。そしたら彼奴も冥界で胸を張れる。世界を真に統一し、生涯を終えたら堂々と会いに行こうじゃねーか。」
ハーラルはグローアの言葉を聞きダーインスレイヴへと手を触れる。そして覚悟とした表情で空を見据えた。
「あぁ、ああ........そうだね......ヴェストフォルで救われた命、彼に誇れる世界にしないと美しくない........グローア、必ず掴み取ろう。誰も悲しまずに済む平和な世の中を。」
グローアとハーラルは甲を互いに合わせ誓うのだ。この統一侵略戦争を最後の流血にするのだと。




