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エイルはお姫様

「私は思うのです。やはり王子様とお姫様の物語はハッピーエンディングではならないと。」


エイルは鍛冶場にて長々と自分語りをしていた。ジークフリート(王子様)とエイル(お姫様)は必ずや結ばれる運命にあるのだと。その様子をげっそりとした様子でゼクスや他の鍛冶士達は聞いていた。


「ワルキューレ様よぉ、ここ一週間もう同じ話を何十回と聞いてる。そんなに結ばれたきゃ王子様であるジークフリート様に直接聞きゃあ良いじゃねぇか。」


鎚を打ちながらエイルへとそう告げるゼクス。他の鍛冶士達はよくぞ言ってくれたと心の中で思う。


「そ、そんなこと........できません。」


エイルは頬を紅潮させそっぽを向く。


(め、めんどくせぇ..........)


既にニザヴェリル攻略から一週間と三日が経っていた。そして仕事人間でもあるエイルは現場の指揮を率先して主導していたのだ。そして何故だかは知らないが鍛冶場へとは毎日最後に足を運び、愚痴を吐くことが日課となっていた。


「王子様にお姫様が貴女は私が好きなのですよね?などと野暮な質問をしましょうか。否、それはロマンスではありません。」

「あ、あぁ..............」

(めんどくせぇ...............)


乙女趣味を全力で引きずっているエイルの目はキラキラとしていた。


「やはり王子様がお姫様である私に熱烈な接吻をし、気持ちを確かめるべきなのです..........無理やりであればある程尚良し。そして寝室へと私を連れ込み、性欲にまみれた性活に明け暮れるのです。」


はぁはぁと妄想に期待を膨らませる。そして身体をくねくねさせていると現実に戻ってきたのかおほんと咳を吐き、ゼクスへと向き直る。


「.......おほん、もうこんな時間ですね。作業を止め、休息に入りなさい。ジークフリート様の期待に添える成果を出すまでは倒れられては困ります。また明日の同じ時間に訪問します。」

「は、はぁ...........」

(まじで戻って来ないことを願うぜ。)



エイルは鍛冶場から退出し、ニザヴェリル城へと足を進める。


「はぁ.......第一侵攻では雑兵の露払い程度にしか活躍は出来ませんでした。本来の計画であれば私も七人の小人の一人を討ち、戦果を上げる予定でしたが.......っ、グンテル公爵令嬢のあの自慢気な顔が本当に癪に触ります。」


ギリと歯軋りをする。だが直ぐに表情を改め、周囲を見渡す。


(とは言え都市を破壊し過ぎたのも事実。復興作業は順調に進んでいるとはいえ被害を出しすぎたのです。)


人手が足りていない。カーラの魔物達も総動員させ協力はさせているが、大国が手を取り、今攻めこまれれば都市を守れずに奪還されることは確かでしょう。


(まぁ、その可能性は皆無でしょうが。大国は基本、貿易以外では無干渉。)


不可侵関係にはあるが協定関係ではない。大国らが唯一神聖国に勝てる条件は一丸となって立ち向かう、だ。


「さながら敵大国と手を結び一つの巨悪を打ち倒す王道物語。」


だが現実は冷酷かな。大国同士は絶対に手を結ばない。己の利益を優先し、リスクを伴わない選択肢を取る。


(クラキ国以外の大国はそれ程脅威とはなりえない.......いいえ、ベルセルク亡き今、クラキ国も同じですか。)


ボスヴァルを失ったクラキ国は敵ではない。けれど例外もある。


「.......七英雄である「聖者」「勇者」「聖女」が介入した場合でしょうね。」


七英雄の戦争間の使用は大陸の条約で禁じられている。だが、それを破り彼らが戦場に出てきた場合は十解ですらも危うい。


「最強の戦闘力を誇るシグルド会長とは言え、単騎であればロキ•ウートガルザの幻術で完封出来きましょう。ですが、聖者であるフロールフ王太子が同行している場合は話が変わります。」


クラキ国を攻める際には入念に作戦を立てなければならない。そしてもう一つ気になる点は七英雄の一人「魔帝」の所在だ。


「_________この侵略戦争で姿を現さなければ良いのですが。」

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