覇王と剣帝の無双する
「____________均衡すら守れんか、俗物共。」
ニザヴェリル城にて待ち構えるは玉座に鎮座する小人の王、そしてそれらの左右に控える剣、槍、防具を司る七人の小人達。
「何故我らが大国であるか、理解が出来んのか。秩序を守るため、無駄な血を流さぬ為に我らが大国は中立を保持してきたのだ。」
クリームヒルトは細剣をニザヴェリルの王ドヴェルグへと向け、声を張り上げる。
「笑わせてくれるなよ臆病者ども。一体どれだけの民が死に、どれだけの者達が救いを求めた。世界蛇の出現を受け軍を動かそうとしたか?否、保身に走り何もしなかったな。さぞ高みの見物は居心地が良かった事だろうよ。何もせず世界の脅威が消え去ったのだからな。貴様達大国の本性は中立などではない。姑息で意地汚い俗物、それが貴様達の正体であり本髄だ。」
七人の小人の一人、剣の名匠アインが怒声を上げる。
「国を統治した事もない小娘に何が分かる。己の無知も知らず、己の力に酔う貴様達に何が治める事が出来ようッ!思い上がるなよ、蛮族共!!」
「酔っているのは貴様達無能だと言う事に何故気づけない。愚か者達といくら問答を繰り広げようとも時間の無駄だな。潔く降伏するか________________死ぬがよい。」
アインは魔剣を抜刀しクリームヒルトへと襲いかかる。
「彼女に接近させるとでも?」
ディートリッヒがそれを庇うように前に出るが、槍の名匠ツヴァイがディートリッヒへと襲い掛かることでアインの突破を許してしまう。
「_______________我がさせるともッ!」
「あ、やば、うん。」
ディートリッヒは舌を出し、クリームヒルトへとウィンクする。てへぺろと言うやつだ。
「ジークフリートの剣と在らんとするならば女王である私を守らんとする気概を見せんか。」
クリームヒルトは溜め息を吐く。そして襲い掛かって来たアインを重力にて地面へと縫い抜ける。
「うぐあ!!」
ディートリッヒはクリームヒルトを横目に嬉しそうに何手か打ち合うと、ツヴァイの槍を弾いた。
「うーん、師匠じゃあないから無理だね。モチベーション的に、あはは。」
そして即座に必殺の構えを取る。
「だからといって____________手加減をする気もないけどね。」
剣帝の覚醒奥義『次元斬り』を無慈悲に発動させる。槍の小人ツヴァイは為す術もなく上半身を消失させた。そして残った肉体は血を撒き散らし地面へと転がる。
「ツヴァイッ!!!」
剣の小人が叫ぶ。槍の名匠ツヴァイは槍の巨人兵を動かす前に仕留められたのだ。剣帝の技量は既に勇者の壁を越えかけている。数多の難敵との戦闘で培った経験は確実にディートリッヒを強くしていた。
「くっ、剣の巨人よぉ!!」
「剣の巨人がなんだ?」
アインは剣の巨人を起動させようとするが動かない。
「何故動かないのだと疑問に思うのだろう。安心していい。」
クリームヒルトは重力制御を持って城壁を引き剥がす。
「___________お前のおもちゃは壊してしまったよ。」
日の光が城間へと差し込む。そしてドスンっと大きなスクラップが空から降ってきた。
「そ、そんな馬鹿な事が.............ッ」
悪役令嬢のように歪に口元を緩ませ、嗤い声を上げるクリームヒルト。
「くそぉおおおおおあああああああああ!!!!」
アイン重力の縛りを振りほどき、自前の魔剣にてクリームヒルトへと襲い掛かる。だが再び重力制御にて剣の巨人のスクラップへと叩きつけられてしまう。
「がはっ、」
叩きつけられたアインは血を吐き出し意識を失う。
(勝てない........)
化者のような実力を誇る侵略者達に防具の名匠ゼクスは冷や汗を見せていた。
(この者達の実力は七英雄のそれだ。我らがいくら技術的に上回ろうとも使い手が凡人では実力の半分すら出せない。どうする。アインは戦闘不能、そしてツヴァイは死んだ。残す七人の小人は俺と王だけ。正直な話、全面降伏する以外に手段はない.........あんたは何を考えている、まとめ役)
まとめ役であるドヴェルグ王へと目を向けると尋常ではない汗と、怒りに満ちた形相をしていた。
「わ、我らは決して屈しぬ!!貴様達のような者に服従をするくらいならば我らは______________」ブシュ
「_________________そうか。」
王の頭はザクロのように弾けた。血肉は舞い、赤色へと染まる。言葉が出ない。剣帝の職業適性を受ける者が此方へと歩を進めてくる。
「ま、待ってくれ!お、俺は降伏する!最後の七人の小人としてこの国の全権をお前達にくれてやる!!だからこれ以上の殺戮は止めてくれ!!」
引き剥がされた城壁から都市を見渡す事が出来るが酷いものだった。至る場所から煙が上がり、今も直、爆音が鳴り響く。多くの建造物が戦闘に巻き込まれ、破壊されていた。
「___________そう、良かった。これ以上僕たちも被害を拡大したくなかったんだ。ここを第一侵攻軍事拠点とするつもりだったからね。」
剣を鞘へと戻しにこりと優しく笑うディートリッヒ。ゼクスはその表情に恐怖と畏怖を感じるのであった。




