表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/381

狂い愛

勇者が世界を救う。これは古より伝えられてきた当然の物語。原作『ニーベルンゲンの災い』でさえ最後にフェンリルを討伐したのは勇者シグルドであった。ならば勇者に並ぶ戦士はいないのかと問われればいないとは断言できないだろう。何故ならば七英雄には勇者に並ぶであろう『聖女』の存在があるのだ。


『世界は彼女を祝福している』


ブリュンヒルデこそが物語の主人公であり、補正を強く受ける無欠の存在であることは何者であろうとも変えられない。


『彼女の望む結末へと世界は修正を加える』


主人公とはそれ程までに世界へと影響を与える強力なピースなのだ。ジークフリートは抗い続けなければならない。さもなければ彼女の修正力に呑まれてしまうことだろう。


「ジークくぅん♡」


スキップをしながらクラキ国の首都へと向かうブリュンヒルデ。ジークフリートの居場所を掴む為にはシグルドとの協力が必要不可欠。故に合流するために身の丈以上の大きなリュックサックを背負い鼻歌を歌う。


「ふふんふー♡」


未来へと期待を膨らませ、発情期のようにだらしない表情を晒す。


「結婚したら毎日ジークくんと一緒にいられる.......それに毎晩、ぐへへ♡」


恐らくジークフリートと接触する際には戦闘になるだろう。そして最後にはブリュンヒルデは十解達により倒される。



__________しかし、倒されるが決して殺されはしないのだ。



細胞全てを消し去ろうとも『聖女』には【自己蘇生】という奇跡の力が宿っている。ゲームのシステムで言う『コンティニュー』である。彼女がこの力の存在に気づいた場合、ジークフリート達に勝ち目はなくなるだろう。故に見方に引き込んだ方が得策なのだがジークフリートがそれに気づくことはないだろう。


「あ、ヤバ........濡れてきた♡」


内股になり、秘部へと手を伸ばす。夕暮れの参道にて美少女は淫靡な表情を見せていた。


「ジークくんはぁ~えっちな女の子はお嫌いですかぁ?」


えへへ、えへへと奇怪な笑い声を浮かべ夢想する。主人公にとってジークフリートとは必ず結ばれなければならない相手である。それ以外の有象無象には興味ない。メインヒロイン(攻略対象)であるフロールフも彼女にとっては恋路を妨害する邪魔者でしかない。


「うわぁ、せっかくいい気分なのに人来たんですけど」

秘部に当てていた手を解き、自分の周囲を群がる盗賊達に敵意を向ける。


「べっぴんさんだねぇ~」「たまんねぇなぁ~」「やっちまおうぜ、早く」「女に飢えて頭が可笑しくなりそうだぜぇ!」「早い者勝ちだッ!!」


下衆な表情を浮かべ、ブリュンヒルデへと襲いかかる盗賊の一人。


「あがっ!!?」


襲いかかった盗賊の一人は違和感を胸元に感じる。視線を下へと向けると自分の胸部を貫通した細腕が眼下に見えた。そして女の表情は笑ってはいるが無機質なものでまるで自分を見てはいなかった。


「くっ、こいつただの旅人じゃねぇ!!」


仲間の一人が殺られたことで盗賊団の警戒度が高まる。


「数ではこっちが勝ってんだ!腕の一本でも叩き斬りゃ大人しくなる。傷物になっちまうが構わねぇ!!」


おおぉおおおお!!と一斉に襲い掛かる盗賊団。だが、次の瞬間には肉傀へと成り果てていた。一瞬の出来事に盗賊団達は死んだ事にすら気づかない。


「あははは!ジークくぅん♡ジークくぅん♡」


全身真っ赤になりながらもその場で踊るように舞うブリュンヒルデ。


「...........血生臭いな、これ。王都につく前に水浴びしよ。」


そしてピタリと止まり、そのまま何事もなかったように歩きだす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ