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反省会

「一体.....何が起きたってんだよ」


世界蛇が死んだ。何者かに頭部から一刀両断されていたのだ。海は割れ、空は快晴。まるで、英雄が化物退治を完遂した際の静けさだった。


「おい、ジークフリート......あれって」


世界蛇の頭部の眼前には大岩がある。そして、その大岩には身の丈を越える大きな斧が突き刺さっていた。その周囲には誰もいない。


「まさか.....そんな、」

(エイリークはハーラルを救出した後、あの場を離脱した。それに彼奴の力量じゃあこれ程までの威力を発揮する事は不可能だ。)


血斧王ではない何者かが、世界蛇をぶった切ったのだ。それも血斧を用いて。



「____________蛮勇はなく、紛うことなき英雄。勇姿に喝采を、英姿に称讃を。」



何処からともなくジークフリートの元にロキが現れる。そして血斧を目視し、目を瞑った。


「あれはスケッゴルドが命をとして成し遂げた英雄譚だよ。」


ロキの言葉で理解する。原作で省かれた世界蛇の描写。そしてディートリヒと協力して倒したと言われる「英雄」の正体。


「________________お前、だったのか。」


スケッゴルド。英雄願望のお調子者。されど芯が通り、漢然とした真っ直ぐな奴。


(ディートリヒが十解に招き入れようとした時は正気ではないと思っていたが.......)


訂正しよう。お前は正真正銘、「英雄」だ。何者にも単騎でこのような戦果を出すことは難しいだろう。


「グローアを呼んでくれ。」


十解メンバーへグローアを呼び寄せるように言う。


(原初のルーン魔術であの大岩に結界を張る。そして未来永劫、スケッゴルドの名を世に語り継がせよう。)


冥界の女王ヘルがヘルヘイムへと戻されてしまった以上、死者蘇生などと言う奇跡は起こらない。


(墓標を作り弔うんだ。)


彼女の遺体も彼の近く、あの大岩に共に眠らさなければいけない。


「変えなければならない。世界を変えよう。」


彼奴が報われるような平穏な世界を。スローライフ計画は始まったばかりなのだから。


















「______________________はぁーい、正座ぁww」


冥界ヘルヘイムにて四聖蛇公とヨルムンガンド(核)はヘルにより正座をさせられていた。ちなみにではあるが本体は冥界の最果て、ニヴルヘイムにて凍結されていた。ヘルいわく、マジで大き過ぎるんで、地下冷凍にしますねとのこと。


「あにうえwwほぉーんとにバァカァですよねぇwwあれだけ警告して死んじゃいましたねぇwww」


煽るようにヨルムンガンドの周りをとことこと一周するヘル。ヨルムンガンドは口を閉ざしたまま開かない。冥界の女王が何故このように愉快にしているかと問われれば、世界蛇の影響で死者の国が凄く潤っているからだ。


「ヘル様.....流石に言い過ぎではないでしょうか。」


へヴリングがヨルムンガンドを庇うように口を挟む。


「えぇ!?言い過ぎって.....君もあにうえと同じ人間に殺された弱き者でしょww口を慎めよ、敗北者www七英雄全員と対峙して敗北したわけでもないのにww殺すチャンスだって沢山あったよね?ね?なのに負けてるぅwwそれも大斧使いに殺されるってwwやる気ありますぅww」


ポンポンとへヴリングの頭を軽く叩くヘル。


「........我が好敵手の侮辱は止めて頂きたい。」


鋭い眼光を覗かせるへヴリング。


「う...少し言い過ぎましたね。反省します。確かにスケッゴルドさんの勢いは常軌を逸脱していましたね。物語の主人公かな?みたいな気持ちでついつい見入ってしまいました。でもねへヴリングさぁん......負けは負けなんでぇすwwwだっせぇww」


ヘルはへヴリングの頭をよしよしする。そしてヒミングレーヴァのもとへとスキップし、両頬を優しく撫でる。


「私は貴方を高く評価していますよぉ、ヒミングレーヴァさぁん。ジークフリートさぁんにあーんな表情をさせた......ふひひ......じゅる....おっとと、はしたないはしたない。おほん、私個人としては貴女が優勝です。」

「..........どうも」


ヒミングレーヴァは拗ねた様子でそっぽを向く。ヘルは手を離し、すっぽんぽんの男、コールガへと寄る。


「何故に靴下だけは穿いているのでしょうか?」

「寒いので」


それだけ問うと、コールガの元を離れ、四聖蛇公ドーヴァの元へと歩く。そして彼女を聖女が如く優しく包容して上げた。


「貴女には辛い思いをさせてしまいましたね。ウートガルザ•ロキは貴女では流石に荷が重過ぎました。心が癒えるまで、我が巨城エーリューズニルにて療養しなさいな。」


ドーヴァの瞳には光がない。機械人形のように「はい」とだけ返事が返ってくる。ロキとの戦闘で心に深い傷を負ってしまったのだ。修復には時間が掛かる。ヘルは側近であるガルムへと目で彼女を城へと連れていくように命じる。


「さて、他の四聖蛇公の皆さんも散って下って結構ですよ。私はあにうえとすこーしお話をしなければなりませんので♪」


ヨルムンガンドは息子達へと残るように目で語り掛けるが、気まずい表情を見せながら三人はその場を去っていった。裏切り者、薄情者と心で叫んでいると妹であるヘルに頭を鷲掴みにされる。


「__________お☆し☆お☆き☆で☆す☆」

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