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冒険王と燭台使い

スケッゴルド、斧使いが世界蛇の尖兵らしき初老の男と戦う姿を目撃する。


(団体戦でランドグリーズ達にボコボコにされていたよな........)


序列戦で第一に敗退した「c」組序列八位。その男が英雄級の力を出し、戦場で戦う。あり得ないと自身の目を疑った。出来ることならば助太刀をしたい。だが、この場を離れればアングルボサの呪いはバルドル領の門を破壊し、侵入してしまう。それだけは阻止しなければいけない。


(世界蛇の所在を探すために大陸を駆け回って、ようやく尖兵らしき男を見つけたんだ。)


出来ることならば捕縛し尋問したい。


「おい、そっちは大丈夫か!」


アングルボサの呪いの群れの後ろから人の声が聞こえる。どうやら冒険者の生き残りがいるらしい。


「俺は無事だ!」


大声を上げ、返事を返す。アングルボサの呪いは軍勢級に数が多い。これらを倒し、スケッゴルドの元に向かうのは難しいだろう。だがやるしかない。


「_________燭台よぉ!!」


燭台に灯る火が強まる。職業適性「燭台使い」の本髄は火力にある。序列戦やクラス内の模擬戦では手を抜いてわざと勝ちを譲りにいっていたが遠慮をする必要はないだろう。


「速度向上、貫通力強化ッ!!」


蝋の火が蒼白くなり、刃が獣達をバターのように切り裂いていく。そして燭台をブースター代わりに発火させ駆け出す速度を上げる。


「_________おまえ、ずっと手を抜いていたな?」


隣に並走するように姿を見せたのはスヴィプダグ•グローア。職業適性「冒険王」と七英雄に並ぶ職業適性を持つクラスメイトかつ気の合う友人であった。


「良かった、生きていてくれて。」


互いに背を預けアングルボサの呪いを滅していく。やはりグローアは強い。


「急ぐぞ、ノルナゲスト。スケッゴルドの限界は近い。」

「あぁ、分かってる。」


魔力量が底を尽きかけている。早く奴の元にたどり着かなければ殺されてしまう。


「_____________私が彼奴を助ける。貴方達は化物に集中して。負傷した冒険者はもう回収したから好きに暴れても大丈夫よ。」


ピンク頭、スカル=モルドは頭上に現れるとアングルボサの呪いの一体の頭に乗り、そう告げる。そして空中で身体を回転させ、その化物の首を撥ね飛ばすと姿を消した。


「軽騎士の覚醒能力は本当に恐ろしいな。【縮地】、視認した他者の背後に気配を消して転移出来る能力。」


暗殺者にでもなれば世界で頂点を取れる能力だ。事実、冥界の女王ヘルにもその刃は届いたと言う。だが、彼女はその力をスケッゴルドを救う為に使い、命を落としてしまった。



「...あぁ、ああああ、あああああああああああああ!!!!!!!」



スケッゴルドの魂からの叫び声が戦場を木霊した。スケッゴルドに余力はない筈だが、男は立ち上がった。そして得物である斧を引き摺りながらも下段から大斧を振り上げる。


【渾身の一撃】


三ある斧使いの覚醒一つ。筋力を×100倍にして放つ究極の一撃をスケッゴルドは命の灯火からも魔力を引き出して、覚醒能力を発動させた。世界蛇の尖兵は肉体を真っ二つへと切り裂かれた。そして天へと振り上げた大斧を重力に任せるようにへヴリングへと振り下ろしたのだ。奴は死にかけの状態から敵を下したのだ。まさに英雄の所業だった。


「絶対に......世界.....蛇を...........」


涙を流し、意識を失う。完全なる魔力枯渇、そして限界を越えた覚醒能力の連続使用。寿命を大幅に削る戦い方故に暫くは目を覚ますことはないだろう。


「______________お前はよく頑張った。今は安心して眠ってろ。後の事は俺がどうにかする。」


勝利の剣を発動させ、戦っていたグローアはスケッゴルドを囲っていたアングルボサの呪いを一掃する。そして俺とグローアはバルドル領に蔓延っていたアングルボサの呪い全滅させた。


「俺は行くよ、グローア。」

「どこに行くつもりだ?」

「分かってんだろ。世界蛇の野郎をぶっ飛ばしにいく。」


スケッゴルドやモルドの遺体を丁重にバルドル領に送り届け、本来の目的である世界蛇討伐を目指す。


「無謀だ。今は好機を待て、ノルナゲスト。」


グローアは心配してか止めてくる。だが、俺は行かなければならないとグローアの手を退けた。


「好機など待っていても無駄だ。誰かが活路を開かなければ勝利を得る事は出来ない。グローア、お前には俺と世界蛇の戦闘を傍観していて欲しい。」


ルーン魔術による札を渡す。これでグローアは離れている場所でも俺の姿を確認する事が出来る筈だ。


「ふざけるなよ、ノルナゲスト!ボスヴァルが死んだんだ!!そしてお前も死地に向かおうとしている。友人をみすみす見殺しに出きるか!!」


グローアは剣を抜き、俺に向けてくる。優しい男だ。


「グローア、いいんだ。誰かがやらなければ被害は大きくなる。それに五大国は更なる犠牲を恐れ動かない。見てみろ、バルドル領には兵は一人も派遣されなかっただろう。どの国も都市へと防備を固めて穴蔵を決めている。恐らく七英雄ですらも首都防衛に当てられている筈だ。」


それに俺が急ぐ理由はもう一つある。


「尖兵を失った世界蛇が動き出すとしたらヴェストフォル王国が最初の標的になると思う。」


海面側に位置した五大国の一つ。そしてクラスメイトであり、友であるハーラル•フォグレが祖国とする国。


「..........救いにいくのか?」

「出来れば、な。俺じゃあ実力不足なのは重々承知してる。だけど彼奴を逃がす時間くらいは作れる。未来でお前が勝機を見いだしてくれ。俺はなるべく奴の本気を引き出すように粘る。だから見ていてくれないか?」


_______________希望をお前に託したい、冒険王。

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