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クラスメイト

遡ること一時間前________

十解はヨルムンガンドの動向を見失なわないように、カーラの放ったアングルボサの呪いにて監視をさせていた。


「あれは........ヴェストフォルに向かっているのか。」


カーラが召喚したアングルボサの呪い【グリンカムビ】は鳥型であり、上空からヨルムンガンドを見張らせる。グリンカムビは珍しく人に襲い掛からない唯一のアングルボサの呪いである。生物が住む近くの木々に止まり、起こすように鳴き声を上げる。そして起こした生物が目を覚ますと何処かへと飛びさってしまう。そんな不思議な習性を持つ。


「海洋に面した都市、それも分かりやすく結界を張ってるぜ。あれじゃあ狙ってくれっていっているようなもんだ。どうする、ジークフリート?」


召喚士の職業能力の一つとして召喚したアングルボサの呪いと視界を共有出来る能力を持つ。それを利用し、ヨルムンガンドの動きをいち早く十解メンバー達へと報告をする事が出来る。


「今は静観しよう。まだ彼奴の能力の全貌を知っている訳じゃあない。ダーインスレイブ以外の切り札を切られたら対応も遅れる。」


ジークフリートの判断は正しい。だが、納得はしていない。グローアは拳を握り締め剣の鞘へと手を触れていた。


(ボスヴァルが死んだ......彼奴は俺達「b」組の中じゃあ最強だった。序列戦では俺も負けてる。そんな奴が敵を道連れにして死にやがった。クソ、本当に最後まで待った方がいいのか........てめぇのダチが死んでんだぞ。他人が死のうが俺はどうでもいい。けどよ、せめて俺が知っている奴だけは助けてぇ。)


平和の為、そして己の冒険心に従いジークフリートの掲げるスローライフ計画に乗った。今さら裏切るつもりは毛頭ない。世界蛇を解放した時点で俺は悪だ。そして十解の奴らも。だからこそ世界を正さなければならない。長い旅になるだろう。苦難が待ち受けるだろう。立ち向かおう。そして計画を達成させる。


(クラスの連中は俺の仲間だった。ハーラルも然り。)


あの国にはボスヴァル以上の戦士はいない。ヴェストフォル師団長エイリークは確かに英雄級の戦士なのだろう。だが、ボスヴァル以上の戦士ではない。奴の率いる師団ではヨルムンガンドには決して届かない。


「............」

(何もせず、ジークフリートの言う通りに静観をすれば確実にハーラルもろともヴェストフォルは滅びを迎える。)


目を閉じ、気分を落ち着かせる。どうするべきか。もう今一度思考する。ジークフリートの判断は正しい。静観し、奴の攻撃パターンを研究し確実の元、俺達十解がヨルムンガンドを粛清する。見捨てるべき。受け止めるべき犠牲だ。


「____________グローア、行きなよ。」


剣帝ディートリヒが耳打ちをする。甘い言葉。そして、決意が揺らぐ。


「ハーラル殿下の事が心配なんだろう?」


どうやらこの男には見透かされているようだ。


「俺は行くべきなのか.......?」

「それは君が決める事だよ。」


グローアはぐっと拳を握りその場を後にする。そしてヴェストフォルへと向かうために馬で駆け出すのだ。ディートリヒは微笑を見せ、グローアを見送る。


「___________師匠、これで良かったの?」


隣へとやって来たジークフリートへと尋ねる。


「あぁ、彼奴の意思を尊重してやりたい____________」


ジークフリートはヴェストフォルへと向かい馬を走らせるグローアへ無情な表情を見せていた。


(ヨルムンガンドの出力を計るには並や英雄級では足りないんだ。)


グローアにはヨルムンガンドの戦闘の傾向を引き出して貰おう。ジークフリートは他の十解達へと振り返り、告げる。


「_______________俺達も行こう。世界蛇の復活劇はここで終幕にする。」

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