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バルドル領の危機

世界蛇ヨルムンガンドは恐らく最も温厚な「ラグナロクの再来」の一体だ。復活後の災禍以上の事は進んで行わないだろう。


(だからわざわざヨルムンガンドに会いに行った。)


彼に火をつけるために。四聖蛇公は世界蛇の「闘争心」から生み出された獣の戦士達。戦士として優秀であり、一流であることは認めよう。だが、十解クラスの勇士であれば対処には困らない。


(君は勇者シグルドを除いた現代の戦士達であれば、四聖蛇公で殲滅できると判断したね。けれど失敗してしまった。)


ヨルムンガンドはシグルドを倒し、息子達が人間を殲滅したらアースガルズで静かに息子達と暮らそう考えていた筈だ。


「__________そうはさせない。」


世界蛇には最大悪として殺戮の限りを尽くしてもらわなければならない。その過程でジークフリートに倒されてくれなければ「スローライフ計画」の頂きにはたどり着けないのだ。


「全ては君の為にあるんだよ、ジークフリート。」


僕は君が愛おしくて愛おしくて仕方がない。初めての感情とでもいうのか、君以外の有象無象など興味がないんだ。冥界の女王は君の死後を私有化しようとしているね。


(ひっひっひ..........させるわけがないだろう。ジークフリートは僕のものだ。誰にもわたさない。)


巨人の心臓、神への昇華、原初のルーン、いくらでも君を不死に変える方法はある。


「世界樹が枯れるその時まで、君は僕と生きる。生きなければならない。その責任がある。だって君は僕を「友達」だと呼んでくれた。僕との本当のスローライフを楽しもう、ジークフリート。」


大陸の最果て、トゥーレの巨塔『ヨトゥンヘイム』の玉座にて世界を見下ろす。


「あぁ、君に全てを捧げられる日が待ち遠しいよ。」


下腹部を厭らしい表情を浮かべながらなぞるように擦る。













辺境の地、バルドル領にて【ヘズ•バルドル】は溢れかえるアングルボサの呪いと対峙していた。彼女の周囲には沢山の冒険者が集結し、背後には領地の城門が存在する。もしもここを破られるような事があれば、バルドル領の領民はアングルボサの呪い達により食い殺されてしまう。


(バルドル領は山々に囲まれる辺境地......世界蛇の影響が受けづらい地形にある。)


故に沢山の人間、そして化物達が雪崩れ込むように集まっていた。アングルボサの呪いの中にはハティ•ベイビーの成体【ハティ】の姿も確認でき、多くの犠牲が出るだろう。


「私が先頭にて風穴を開ける!!お前達は怯んだ化物達を倒せ!!ここが私達の死戦だと思え!!!」


馬に騎乗しているヘズはアングルボサの大群へと一人駆ける。


「鋼鉄乙女に続けぇーーーーーーー!!!!」


冒険者達は雄叫びを上げ、ヘズ•バルドルに続く。

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