ヒミングレーヴァとの決着
ヒミングレーヴァは「速」を司る四聖蛇公である。
両手に握る漢剣による鋭い刀捌きこそがヒミングレーヴァの強みであり、並の戦士では敵わぬ高みにいる事はジークフリート共にディートリッヒは理解していた。
「もっとだッ!!もっと全力で掛かってこい!!!」
二人は先の戦いを思い出す。ジークフリートの兄であるシグルドとの死闘。あれは最早化物と比喩してもいい程に最強の戦士だった。目の前に対峙する人外は確かに強大だが、シグルド程ではない。
「ぐっ!!」
(簡単には押し通せないかッ!)
ディートリッヒとジークフリートは見事なコンビネーションを見せヒミングレーヴァと剣を打ち合う。しかし、ヒミングレーヴァの白兵戦能力は高く、若干ではあるが押されていた。
(くそ........世界蛇の上は揺れるし、こいつの動きは蛇みたいに変則的で苦戦を強いられる。)
ジークフリートは甲冑の幾つかを解除し、軽量化をはかる。
「はっ、自ら装備を外すとはバカな奴め!!」
漢剣による突きがジークフリートへと迫る。だが、ディートリッヒがそれを防ぐことで刃はジークフリートへとは届かなかった。
「僕の事を忘れてもらっちゃあ困るなぁー」
「忘れてなんかいねぇーよ。」
ディートリッヒの剣を弾くヒミングレーヴァ。
「___________________胴ががら空きだぜ。」
ディートリッヒは冷や汗を流しつつも、ニヤリと口元を歪める。
「それはどうかな______________次元斬り!!」
ディートリッヒを切り裂こうとしたヒミングレーヴァの右腕が抉り取られるように消失する。
「ッ!!」
(予備動作なしでもその技を使えるのか.......つくづくと化物染みた能力だ。だが、こっちには再生能力がある!!)
腕を超速再生させ、ディートリッヒの首を掴み上げる。
「がはっ!」
「このままへし折る!!」
ぐぐぐっと力を入れていくヒミングレーヴァ。ディートリッヒは剣を振るおうと手を動かそうとするが、ヒミングレーヴァは振るうおうとした手首を抑えつけた。
「____________俺の事を忘れたのか?」
右肩へと槍の矛先が深く刺さり込む。
「ぐぐっ、」
ヒミングレーヴァは苦渋の表情を見せ、数歩ほど後退し距離を取ろうとする。
「俺が隙を逃すとでも思ったかよ。」
だが、ジークフリートは逃すまいともう片方の槍でヒミングレーヴァの左足を切断した。
「ぐが......てめぇ!!!」
体勢を崩し、尻餅をつくヒミングレーヴァ。そしてジークフリートは立ち上がろうとするヒミングレーヴァの心臓へと槍を突き刺す。
「言っただろう、今回は容赦をしないと。」
血を口から流しつつも、ヒミングレーヴァはジークフリートをただ睨み付ける。
「ディートリッヒ、こいつが再生する前に上半身を消滅させてくれ。」
ディートリッヒは頷く。
「てめぇのその何でも思い通りになるって目が気に食わねぇ。俺様を殺したからって調子に乗らないことだ。例え親父を倒せたとしても、銀狼がいる。それに冥界の女王はてめぇに絆されたようだが、それがいつまでも続くと思わないことだ。」
高笑いを響かせるヒミングレーヴァ。ディートリッヒは無情にも次元斬りを発動させ、ヒミングレーヴァを葬る。
「___________いきましょう、師匠。」
最後の一人、四聖蛇公「ヘブリング」、そして世界蛇「ヨルムンガンド」の討伐に赴こうではないか。




