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道化師は遊ばない

目前にて停止するドーヴァ。その姿を椅子へと座り観察をするロキ。


「痛覚は幻覚、変革は厳格。なるべく苦しんで死んでおくれ、世界蛇の尖兵。」


虚ろな瞳をするドーヴァへと語りかける。されど声は届かない。ウートガルザ•ロキの幻術に堕とされたドーヴァの運命は『死』を待つのみである。


(どのような魔剣や魔具を持とうと精神耐性を持たない者では防げない。夢の中は混沌よりも混沌とした幻想郷。)


通常、狂戦士以外では道化師と真っ向から対峙することは無謀であると古い文献には記されいる。されど、発現が少ない職業であるためにその記憶や記述は忘れさられ、大道芸を得意とする何の役にもたたない職業だと現代でば評価されていた。


「_______________早々と壊れないことを祈ろう。」














「なんでっ、なんでドーヴァの攻撃が一切効かないのッ!!」


持ち得る限りの能力を出しつくした。されど、対峙する道化師は嘲笑うかのように健在だ。


(法具【巨大バサミ】による連続転移攻撃も、お父様から授かった神具【雷神の力帯】の効力で底上げした力業すらも無意味だった。)


地面に仰向けになり倒れるドーヴァ。身体は半分に切断され、再生を持っている状態。その間、道化師はただ興味深そうに再生過程を観察するだけ。


「くそ、殺せよっ!!」


何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も切り刻まれた。痛覚が麻痺する程に身体に穴を空けられた。全ての法具を無力化され、純粋な肉弾戦すら、組み伏せられ四肢を粉々に砕かれた。


(勝てない......この道化師も私が敵わないことを分かった上でドーヴァをいたぶることを楽しんでる。)


こいつと対戦カードを切った時点でドーヴァの命運は尽きていた。赤い空を見上げながらヒミングレーヴァを思う。コールガの仇を討てず、惨敗し地面に倒れる無様な姉を許して欲しいと。


(赤い空.............)


可笑しい。快晴だった筈。血が目に入ったかと拭うが、空は赤いまま。


「..............ま、まさか」


胸元に違和感を感じる。鋭い痛み。何度も味わった筈の痛みが新鮮に感じる。視線を胸へと向けると銀色の短剣が突き刺さっていた。そしてそれを突き刺すのは道化師本人。


「やぁ、お帰り。夢の世界はお気に召してくれたかな?」


その言葉をいい終えると同時に短剣は肉体を大きく切り裂き、臓物が外界へと飛び出る。再生能力は発動せず、ただ己の無惨な姿を目に焼き付けることになる。


「わ、私は.......女王に......なる........」


倒れないように数歩、よろつきながら後方へと下がる。しかし道化師はそれを許さないと両足を完全に切り飛ばした。ドーヴァはその場へと倒れる。


「.........い、いやぁ!!死にたくないよぉ!!せっかく生き返ったんだ!!」


地面で芋虫のようにもがく。お父様さえこの場に来てくれれば助かる余地はある。この異常な道化師を打倒してくれる。


「お父様ぁ!お願い!!助けて!私は此処!!!ドーヴァは此処に居ります!!!」


泣き叫ぶ。けれど、世界蛇ヨルムンガンドが姿を現すことはない。


「ジークフリートがいなくて本当に良かった。」


道化師は倒れるドーヴァの背に腰を下ろしそう口にする。


「こんな姿を彼が見たら君を生かしてしまうからね。それに、ジークフリートの素顔を見た君が彼に惚れない可能性も少なくない。殺すに限るよ。」

「お、お願い.....見逃して、貴方達にはもう手出しはあぐっ!!」


ロキは短剣で肩を突き刺し、グリグリと抉る。


「殺生権は僕にある。君じゃあない。それにどんなに足掻こうと君が死ぬのは時間の問題だ。助かりはしないよ。再生が効かないのがその証拠だ。」


ドーヴァは絶望とした表情を見せ、口を閉じ涙を流す。その反応に満足したのかロキは口元を道化師のように大きく開け嗤う。


「________________絶望してくれて何よりだ」ひっひっひ

ロキが純粋悪であること忘れるべからず

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