ドーヴァは弟の為に動きます
ドーヴァの世界は常に鮮やかで、美しく色に満ちていた。世界蛇の出現により大海に呑まれた都市。その生き残りである手練れ達と対峙しながら考えるのだ。
「人間を滅ぼしたら自分のお城が欲しいナー。」
優雅に贅沢に暮らしたい。産みの親であるヨルムンガンド以外のものには縛られない自由が欲しい。謳歌したい。歓喜したい。そして一国の女王然としたい。冥界の女王の凛々しさのように。
(この髪を白髪から黒色に染めたのもドーヴァがドーヴァであることをお父様に認められたいから。)
産み出された自分には『個』があるのだと世界に、世界蛇に証明したい。承認欲求だけが募る。
「あがっ......貴様達.....人外に......災いあれ......」
都市の生き残り、最後の精鋭へと手刀を入れ、胸を貫く。
「災いはふりかからないよ。私達が『災禍』そのものなんだから。」
そして手に着色した血を舌で舐めとり、絶命した人間を見下す。
「あの人間を探さないとナぁー」
兄であるコールガは魔剣使いと相討ちとなり死亡した。そして、弟であるヒミングレーヴァは人類の残りカスを殲滅中に遭遇した「銀狼の兜」に拷問をされ精神を消耗している。
「殺さないと。」
ドーヴァは怒りに満ちていた。
(ヒミングレーヴァをいたぶった人間は必ず殺す。だけど、真に警戒すべきは城門近くにいた双剣使い。そして異様な雰囲気を纏う道化師。)
特に道化師の方は危険だと戦士としての感が警報を鳴らす。ヒミングレーヴァを助けた際のドーヴァの動きを目で追っていたのだ。にもかかわらずあの場から動かず、嗤って静観していた。
「気に入らない。人間の癖にドーヴァを下に見ている傲慢さ。ぶっ壊してやる。」
半身程の大きさを持つ巨大ハサミで空間を裂く。そして空間に出来た亀裂へと身を投じる。異空間内は光線群による光柱が折り重なり、神秘とした場所だ。
(地図によれば、ヒミングレーヴァが交戦した場所は確か......ネーデルラント領と言う場所だった筈。)
ならば再びその地に戻り、ヒミングレーヴァが戦った人間を殺害しよう。
「よし________確か、この辺りだった筈。」
異空間内でハサミを使用し、外の世界に飛び出る。ドーヴァのハサミの能力は世界蛇の母体が見える位置であらば何処であろうと転移出来るというものだ。
「やぁ、戻ってくると思っていたよ四聖蛇公。遊戯をしよう。教示しよう。君の宿命は「服従」か「死」だ。」きっしっし
ドーヴァが外界へと出ると、背後から声が掛かる。即座に距離を取り、巨大バサミを構えた。
(彼奴は.........道化師ッ!)




