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蘇生はしない.....

「コールガが逝ったか.........」


ヒミングレーヴァは世界蛇の最後尾にて海を眺めていた。復活して間もないと言うのに、仲間が死んでしまった。ラグナロク以前からの盟友であり、戦友が命を失うと言うのは心に来るものがある。


(ふざけた野郎だったが、気の合う良い奴だった。)


ヒミングレーヴァは立ち上がり、漢剣へと手を当てる。


「______________人間は皆殺しにしたほうがいいな。」


世界蛇に創造され、この世に生を受けた。産みの親である世界蛇の意思に従う。それこそが我ら四聖蛇公の役割であり、宿命だ。だが、我らにだって感情はある。友であり兄弟であるコールガが死んでしまったことが悔しくて悲しい。


「なーにぃ?ヒミングレーヴァらしくなーい。いっちょまえに黄昏ちゃってさぁ。」


胡座をかき座るヒミングレーヴァ。その隣へとツインテールは座り込み、意地の悪い笑みを見せる。


「ドゥーヴァ......助けてくれたことは感謝してる。だけど、今は一人になりてぇ。話があるなら後にしてくんねぇーか。」

「.......コールガのことでしょ。あんた達、昔から仲がよかったもんね。でも、あんたのそんな表情を見て、一人になんかできないよ。」


ヒミングレーヴァの手へと己の手を重ねる。


「ドゥーヴァたちは兄妹。生まれた時からずっーと一緒。弟ちゃんのそんな顔を見たら慰めるのがお姉ちゃんの役目なの。だから今は一緒にいてあげるし、何処にもいってあげないんだから。」

「勝手な女だ........それと、俺が兄貴だろ。なに勝手ほざいてんだよ。」


ムッと頬を膨らませ、立ち上がる。


「お姉ちゃんはドゥーヴァなの!あぁーもぅ、慰めてあげるんじゃなかった!」

「慰めてもねぇーけどな。」


ドゥーヴァは地団駄を踏み、背を向く。


「本当に可愛げのない弟くん!ヒミングレーヴァのバカ!!」


そう言い残すと消えてしまった。ヒミングレーヴァはクスリと笑うと同じく立ち上がる。


(俺が人間に負ける筈がねぇ.......一切の容赦もしねぇ。あの人間は絶対に俺様が殺してやる。)
















「..........冥界の女王ヘルが冥界へと送り飛ばされた、だって?」


ジークフリートはその場にて崩れ落ちる。そして右手で髪をかきあげ、絶望とした表情を見せる。


(ロキが解錠した冥界への門の鍵は解錠と共に消えてしまった.......)


再びヘルを地上に呼び戻す手段がない。可能性としてはヘル自身が冥界側から此方へと何かしらの方法で戻ってくるしかない。


(何年かかる.......いいや、何十年、何百年単位の話だ........)


冥界の王女ヘルがアースガルズに戻ってこれる保証は限りなく無に等しい。出来たとしても恐らく、自分の寿命内では叶わないだろう。


「.......ジークリンデ」


冥界の女王ヘルが味方にいることで何処か緩んだ気持ちで戦いに挑んでいた。例え死んだとしても彼女が生き返らせてくれると保険を掛けていたんだ。


「は、はは.........そんな......」


ネーデルラントが滅びてしまった。父親であるジークムンド、そして最愛の妹であるジークリンデは生き返らない。乾いた笑いが出てしまう。


「___________立て、ジークフリート。」


シグルドは怒りに満ちた表情でジークフリートの胸ぐらを掴み、持ち上げる。学園へと戻って来たジークフリートは直ぐに学園長室へと足を運んだのだ。だが、そこにいたのはボロボロの姿のミストと実兄シグルドだけだった。


「私たちが今すべき事はなんだ?」


シグルドはヨルムンガンド復活後から今に至るまでの学園の様子を説明した。そして冥界の女王ヘルが冥界へと強制送還されたことを受け、崩れ落ちるようにその場へと膝をつくジークフリートを見てネーデルラントの状態を察したシグルドはジークフリートへと活を入れる。


「.......世界蛇.....ヒミングレーヴァ.......彼奴を......殺さないと.......」


ジークフリートは殺意に満ちた目でシグルドの掴んだ手を振りほどく。


「そうだ。私たちがすべき事は世界蛇を迅速に討伐することだ。世界は混乱に満ちている。このまま逃げ隠れしたとしても人類は破滅の運命を辿るだけだ。だからこそ私たち人類は一丸となって立ち向かわなければならない。共に戦おう。今は亡きネーデルラントの意思と共に。」


シグルドはジークフリートを優しく抱き締め、勇者然とした台詞でジークフリートを鼓舞する。


(兄さんはいつだって勇者だ。だけど、俺は.....彼奴を殺さないと頭がどうにかなってしまいそうなんだよ。)


到着するのが後少しでも早ければ妹を助けられた。


「俺がけじめをつける........」


拷問などと自分の欲を優先させた挙げ句に逃げられてしまった。全ての原因が自分の浅はかさに帰結する。


(世界中の勇士達の八割が戦死するまで介入しないというルールは反故だ。)


今すぐに世界蛇を殺さないと本当に人類は滅びてしまう事になる。


「.............兄さん、俺行くよ」


ふらふらとした足取りで学園長室を後にする。ミストはシグルドを睨み付け、文句を言う。


「なんで止めないの。僕のジークフリートが死んじゃうんだけど?」

「言っても止まると思うかい?ジークフリートは好きにさせておいたほうがいい。仮にも私を倒した愛すべき弟だ。」


ミストはソファーにて横になり、「ブラコンキショいんだけど」と言うと眠ってしまった。

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