ジークムンドは大剣使い
「___________ジークムンド様!!敵襲です!!!」
ネーデルラント城、執務室にて急報を受けるネーデルラント領主ジークムンド。
「この非常事態に何処の騎士団か!」
「騎士団ではありません!一人の人間、英雄級の力を有する戦士です!!」
世界蛇の出現により、ネーデルラント領は半壊した。だが高い山の上に立つ、ネーデルラント城だけは健在であった。そして生き残った領民を城内へと避難させたのもつかの間、更なる問題が発生してしまう。
「ジークリンデ様が交戦中との報告があります!!」
ジークムンドは鬼の形相で壁に立て掛けてある大剣を掴み取り、城窓から地上へと飛び降りる。
「戯け者が。何故、先陣に立ったのだ!!」
ルーン魔術による肉体強化を施し、城門近くから聞こえる破壊音の元へと駆ける。
「____________あぁん?」
ジークリンデの顔へと足を置く男の姿が映る。
「ち......ち.........にげ.......て」
両足は切断され、今も尚、血を流している。早く処置を施さなければ出血死で死んでしまう。
(ジークリンデ.........ッ!!)
ジークムンドはギリッと歯を食い縛り、大剣による突きを人ならざる速度で男へと向け解き放つ。
「おぉ凄いな!!人間の癖にその巨大な剣を振り回すか!!」
男は突きを避け、戦いの邪魔だと言わんばかりにジークリンデを蹴りあげる。ジークリンデは城壁まで飛ばされ、意識を失った。
「.........私の娘が世話になったな。御詫びに殺してやろう。」
「大口を叩く人間だ。やれるもんならやって見ろよ、雑魚が。」
大剣による上段からの強力な一撃が男へと振り下ろされる。だが、男は漢剣をクロスに構え、攻撃を防いだ。
「___________押し通すッ!!!」
ドォオオオオ!!と大きな爆音が鳴り響く。ジークムンドは魔力の大半を膂力へと回し、その圧倒的な怪力を持って押し潰した。そして砂埃を振り払う様に大剣を横払いに振るう。
「面白ぇ.......この時代の戦士には期待していなかったが、お前になら実力の一部を見せても良さそうだ。」
腕を頭の後ろで組み、余裕の顔で地面からジークムンドを見上げる。胸部は切り裂かれ、臓物が見える程の重症だと言うのに嬉しそうに頬を上げ、笑っていた。
「貴様.....人間ではないな?」
「てめぇら下等種と一緒にすんな__________」
漢剣による攻撃がジークムンドの急所を狙い振るわれる。だが、ジークムンドは後ろへと跳躍することでその攻撃を回避する。そしてその隙を狙い男は跳ね起き、漢剣をジークムンドへと掲げた。
「____________俺様は『四聖蛇公』が先鋒、ヒミングレーヴァ。そしててめぇを殺す男だ。」
ジークムンドは両手で大剣を持ち直す。
「そうか、ならば此方もそれ相応の力で潰させて貰うッ!!」
覚醒能力を発動させるジークムンド。その肉体は筋肉が肥大化し、巨漢な戦士へと変貌していく。
「中々の闘気よ!見かけ倒しじゃないことを願うぜ!!」
『大剣使い』の覚醒能力は素の筋力を最大値で10倍に上げる事が出来る。通常時の能力は敏速三倍と戦闘に特化した職種なのである。
「ふぅッ!!!」
大剣による一撃が大地を穿つ。
(なんつー怪力だよ......だが、所詮は人間の範囲っ)
大地は割れ、奈落が見える。ヒミングレーヴァはすかさず跳躍するが目の前には大剣の刃先が迫っていた。
「うぐっつっ!!!」
空中にて身体を一刀両断される。
「この程度では死なんのだろう。ならば、ルーンの魔術を使い燃やし尽くすまでだ。」
地上へと落ちたヒミングレーヴァの身体を手に圧縮させた火球で燃やし尽くそうとするが、空中から二本の漢剣が一人でに襲い掛かって来た。ジークムンドはそれらを大剣にて弾き、回避する。
「馬鹿が、隙を見せすぎだ________」
倒れていた筈のヒミングレーヴァの声が背後から聞こえる。即座に身体をひねり、迎撃しようと試みるが既に遅い。
「___________おせぇーよッ!」
ジークムンドの心臓がヒミングレーヴァの手刀により貫かれる。
「リンデ......」
ジークムンドは血を口から流し、倒れるジークリンデへと手を伸ばすがヒミングレーヴァにより五体をバラバラに切り裂かれてしまう。
「こいつより強ぇ奴がいんなら出てこい!!まさかいねぇーとは言わねぇーよな!!!」
城全土に響く様に大声を上げるが、反応がない。ヒミングレーヴァは頭をかきながら歩きだす。
「ま、どっちでもいいけどな.........今からてめぇら全員皆殺しにするんだからなぁ。」




