ロキの求めるもの
敬愛するジークフリートは冷酷かつ非情な人間だ。己の幸を得るためには他を蹴落とすことを厭わない。僕を内に取り込んで、良くしてくれているのも利用価値があるからだ。
(__________友達だと言ってくれた。初めて。)
利用されていることは理解している。だけど、僕が道化師として、彼を陥れることは未来永劫に来ないだろう。僕の身体も命も全てがジークフリートの為にある。他は何もいらない。彼の隣に生涯共に入れるのなら、僕は充分だ。
「だから、僕は君の願いを叶えるよ。」
スローライフ計画はジークフリートの悲願だからね。
(もっともジークフリートは三つの達成条件を達成次第、姿を眩ませる予定だろうけどね。)
させないけどね。僕には君が必要なんだ。君の手は温かく、胸の鼓動は僕を高揚させる。その甘美な匂いも、美しい容姿も全てを僕だけの為に捧げて欲しいんだ。
「______________僕はロキ、『道化師』の職業を選定されたちょーと悪戯づきなエルフさ。」
だから国作りをして、君を縛らせて貰う。僕から逃げないように。策略には策略を。僕は君に全力で僕の叡知を貸そう。だけど、見返りは頂く。
「田舎で知らない女と平穏に暮らしたい.......ね。」
僕でいいじゃないか。君にここまで尽くし、期待に答えられる奴は僕以外に存在しないだろう。僕以上に君の隣に並ぶ価値のある奴はいるかい?
「いないね。」
願望は絶望。絶望は虚像。虚像は切望へと回帰する。君の手を取り、ラグナロクの再来を取り除く。
(冥界の女王への布石も用意している。)
全ては僕の手の内。ジークフリート.......逃がさないよ。
「君は僕のかけがいのない友達なんだ。」
楽しもう。世界に破滅を。そして僕達の未来に祝福を。
「ふっひっひっひ」
(ロキ•ウートガルザは危険だ.......)
かつて相打った軍神テュール以上に強大で底知れない何かを秘めている。
「ヘル様......なぜ、あの者を野放しにするのですか。」
あれはかつてのヨトゥンヘイムの王だ。ヘル様は何も言及しないが雰囲気も強さも何もかもが類似し過ぎている。あの者が本気を出せば、全てを『騙せる』。かつて、トール神一行を追い払った際の偉業のように。
「冥界の女王よ。」
今は十解と言う縛りにより、協定関係を結んでいる。だが、何れはあの道化師は牙を向く。
「____________番犬の責務として、必ずや貴方様をお守り致します。」
命に掛けてでも必ずや御守りする。そう己の牙に近い、ユグドラシルの大樹へと顔を上げるのであった。




