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俺にはお前が必要だ

『十解(フィンブルの冬)』などと意味不明な勢力組織を作っているロキにジークフリートは頭を悩ませる。


(ラグナロクの再来を打倒するまではいい......だけど、国を作るなんて聞いてないぞ!)


貧乏揺すりをしながら、思考を張り巡らせる。スローライフ計画を目指しているのに全然スローなライフになる未来が見えないのだ。


「なぁ、ジークフリート......大丈夫か?」


顔を真っ青にするジークフリートを案じ、声を掛けるレギン。ジークフリートは椅子から立ち上がり、レギンへと振り返る。



「_______________よし、逃げよう!」



レギンは「?」と表情を見せるが、ジークフリートは構わずに荷造りを始める。


(...バルドル領に戻って平凡な冒険者に戻るんだ。)


冒険者の首飾りをぎゅっと握り、目を瞑る。そして覚悟を決め、扉を開けると。



「やぁジークフリート。僕が恋しくて愛しくてしょうがないと言った顔だね。ファフニールのお宝は見つけたかい?」

道化師ロキが笑顔を張り付けて、扉の前で立っていた。


「____________ロキ、学園を去ろう。」


ロキの両肩へと手を置き、懇願する。だがロキは困った表情を見せるだけで返事を返さない。


「ははは、面白い冗談だね、僕のジークフリート♪世界蛇を覚醒する手筈は整ったんだ。学園を去らずとも一月後には皆が去らなければならない状況になる。少しの猶予を残したのは学園の皆にさよならを言える期間が必要だと思ったからだ。なにせ、この学園にいる半数以上の者達が死ぬだろうからね。」


ロキの肩から手を離し、真っ直ぐと目を見つめる。


「水中神殿の封印は解けたのか?」

「うん。後は起動鍵で解錠すれば世界蛇が覚醒して世界に混沌(ラグナロク)を再来させる。」

「............そうか。」


ハーレムラブコメの修羅場など霞むような出来事がこれより行われる。そうロキは事実を突きつける。


「世界蛇は冥界の女王など目ではない程に強大で強力なんだ。ジークフリート、僕は君を失う事を一番と恐れている。だから、復活後は僕の側から一時足りとも離れないでいて欲しい。君は僕が守る。約束する。決してエイル•ワルキューレの時のような過ちは二度と起きない。」


ギリっと普段では見せない悔しそうな表情を見せるロキ。


「ロキ、お前さんが俺を心配してくれるのは嬉しいが先ずは自分の身を守る事に専念してくれ。」

「それは.......僕じゃあジークフリートを守れないって言ってるの?」


凄く悲しそうな表情を見せるロキ。今日はコロコロと表情を変えるロキに新鮮味を感じる。


「違う。俺はただ......俺を庇って怪我を負ったり、死んだりして欲しくないだけだ。ロキは俺にとっても大切な友達だから。」

「................ジークフリートぉ」ぎゅ


うるうると涙目で嬉しそうにジークフリートへと抱き付くロキ。ジークフリートはそんなロキを抱き締め返し、口元を歪ませる。


(ロキは俺にとっての生命線.......こいつに嫌われれば俺は破滅する。)


それだけは起こしてはならない。だから存分に依存し、甘えてくれ。この甘い果実には毒が含まれているのだから。

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