アウラウグの苦悩
邪魔な小蝿達がまたジークフリート様の回りをうろちょろしだしている。本当に邪魔で鬱陶しくて嘆かわしい。
「グンテル元公爵令嬢や聖女さえも近づけない。それ程までにジークフリート様の回りでたむろしている。」
昔を思い出す光景。婚約者であるわたくしを端へと追いやり、ジークフリート様との接触を阻む。
「...............どうすればあの方々は消えてくださるの」
書記を勤める一年生や風紀委員長を勤めるカーラさんならば容易に葬れる。問題は副生徒会長を勤めているエイル•ワルキューレが問題なのだ。学園内で二番目に強いと噂されている女傑。数週間前に起きた緊急実習(生徒会の暴動)に置いて、その暴威を見せた。
(ロキさんと相討ちに近い形で死亡はしたものの、それ以前から連戦もしていました。)
その強さが伺える。この学園にシグルド様がいらっしゃらなければ彼女こそが天下をとっていたことだろう。
「...........ではなくて、問題はジークフリート様に近づけないことですわ!!あのピンク頭の小娘がいつもいつも邪魔ばかりをしてくる!」
カーラさんは昔と比べて大人になったのか、ピンク頭をよく注意して下さるのですが、あのクソ生意気なピンク頭は昔と変わらず私に小生意気な態度をとってくるのだ。
「わたくしに限らず、ピンク頭が他の方々を追い払っていることは評価しましょう。ですが追い払っている間にエイル副生徒会長とカーラさんがジークフリート様といちゃこらをしている姿を見ると.........ああああああああああああたまぁがこわれてしまいますぅうううううううううわぁ!!!」
ジークフリート様ともっとお話がしたいのに出来ない。生徒会の暴動の際にまず第一に助力を求められたのは他の誰でもないわたくしでしてよ。なのにあれ以降ジークフリート様とお会話が出来ていませんの。
「あ」
「あ」
「あ」
ユグドラシルの大樹が見える水辺を歩いていると、聖女と悪役令嬢と邂逅する。
「ちょっと、お話しない?」
聖女の申し出に悪役令嬢と顔を合わせ、承諾する。そして水辺に存在する木製のベンチへと座り、話合うことにした。
「ねぇ、最近ブリュン達........ジークくんに会えてなくない?」
暴動以降遠目からしかジークフリート様を見れていない。主にピンク頭のせいで。それに今度暴動騒ぎに似た騒ぎを起こした場合は「冥界の女王」は責任を取らないといっている。
(殺人は容易に出来なくなった.......)
憂さ晴らしに乱闘騒ぎも出来ない。ストレスだけが募る毎日。聖女や悪役令嬢(元)の顔を見る限り、同じ苦痛を感じているのは目に見えて分かる。
「私は......会う資格がないのではないかとマイナスに考えてしまっているよ。」
ははは、と掠れた声で笑うクリームヒルトさん。婚約者を略奪したことは未だに根には持ってはいますが、その後から今に至るまでの経緯が同情できる余地があるために微妙な感情を彼女にはいだいております。
「あんたらしくないじゃん.........」
「あの騒ぎで私は敗北したんだ........少なくとも副生徒会長にはジークフリートの隣にいる資格はある、と思っている。」
「ッ.........そしたらカーラ先輩もってなっちゃうじゃん!」
あの騒ぎでこの二人は敗北している。わたくしは剣帝、冒険王、そしてジークフリート様と共にシグルド生徒会長に挑みましたが、最初の脱落者となってしまいました。
「___________協定関係を結びませんこと?」
彼方が三人ならば此方も三人で挑めばいい。確かにあまり、このお二方には良い感情は浮かびませんが、今は我が儘を言っている余裕もありませんの。
「協定関係......お前は私を恨んでいるのではないのか?仮にも昔に権力を振りかざして婚約者を奪い取った女だぞ。」
「でも今は違うのでしょう。ならば、許すとは言いませんが協力してくださいまして。わたくしはジークフリート様とお話が出来ず、限界が近いのです。」
禁断症状にも近い震えがここ最近続いている。ジークフリート様の成分を補給しなければ狂戦士と化してしまう。
「あぁ、それ分かる。ブリュンなんて限界突破して思考回路が時々可笑しくなって発狂するもん。いつも、スノッリくんやシグルド先輩が止めてくれるんだけどね。」
それで目が覚めるといつも部屋のベッドの上にいるんだぁ~、えへへと笑いながら言うブリュンヒルデに二人は冷や汗を流していた。
((こいつ(この方)、ヤバい))
理性を失って暴れまわるが、いつもシグルド生徒会長に意識を刈り取られ、べッドまで運ばれていると言うことだ。そして生徒会長であるシグルドはもうじきに学園を去ってしまう。
「お前に協力しよう、ロズローグ伯爵令嬢。」
成分補給を怠るとどのような症状を起こすのかは理解出来た。主に聖女の、だが。
(この女には定期的にジークフリートと接触してもらわなければな。学園の為、七英雄の名誉の為に。)




