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シグルドは魔剣を解放する

シグルドの腕を振り払い、胸ぐらを掴み上げる。


「ジークフリート.........」


兄さんの悪い癖だ。現実主義な一面もあるが、その場の勢いやノリ、雰囲気で演劇染みた発言をする事が多くある。周囲は実績やその容姿でシグルドの意見に耳を傾けるが兄弟である自分は騙せない。


「正直な話、俺は生徒会の暴走で死んでしまった一年生に対して怒っている訳じゃあない。それは兄さんの言う通り、自己防衛力の弱さが招いた結果だ。けれど守るって言った手前、愛する弟を守れてないよね。兄さん__________」


死んだ奴らはどうせ後でヘルが生き返らせることは分かってる。と言うかしなかったら直談判に行く。それはいい。生徒会の男どもに喧嘩を売りに来た理由は一つ。


「_____________俺を売ったね。」


シグルドは冷や汗を浮かべていた。優先順位もクソもない。兄が選んだのは自身の恋路だ。


「何を言って「あの子達って小さい頃に俺の取り巻きを勝手にしてた子達だよね。」..............」


この糞兄は知っていたのだ。知った上で彼女達を俺の元へと行かせたのだ。あわよくば彼女達の誰かが俺と関係を持ち、ブリュンヒルデとの関係性が崩れるように。


「アスラウグのことも知った上で学園に戻したね。」


それに前婚約者が在校生であることも知った上で学園へと連れ戻している。あわよくば彼女の恋心を再発させ、ブリュンヒルデとの関係性を解消するように。


「クリームヒルトの状況がこうなることも簡単に予測出来たよね。」


クリームヒルトが差別行為や虐め行為を受けていたら俺が助けることも考慮している。そして彼女との親密性の向上も。全てはブリュンヒルデと俺の関係性を断つために。


(寧ろ関係性を断つことは構わない。断言しよう。けれどね、愛する弟というくらいなら弟の気持ちを考えようか、うん。)


全ての元凶はこの糞兄貴に回帰する。



「______________天罰って言葉、知ってる?」



シグルドの左腕が突如として切り飛ぶ。シグルドは即座に数歩下がり、ルーン魔術で傷口を焼いた。


「っ、伏兵を忍ばせていたのか......」


ステンドグラスが舞い散る。


(空間を切り裂いた跡...........あれは剣帝の次元斬り。魔法障壁が破られるわけだ。)


二人の影がジークフリートの元へと着地する。


「師匠、帰って来ました。」


ディートリヒは双剣を掲げシグルドへと対峙する。


「お前はいつも面白い状況下にいるな、ジークフリート。」


グローアは失笑を見せながら「勝利の剣」をシグルドへと向ける。



「_________________兄さん、お仕置きの時間だよ」


意地に悪い笑みを浮かべるジークフリートにひきつった表情を見せるシグルド。


「多勢に無勢、か。」

(勇者の力を封じられているなら元凶を断ち、取り戻すまで)


シグルドは魔剣へと目を向ける。次元斬りと似た性質を持つ「グラム=バルムンク」。その剣把へと残った右手を当て、抜刀する。


「魔剣_____________抜刀」


聖なる光を塗りつぶすように刀身が深淵へと染まる。そして禍々しい瘴気を放ち、その余波で全てのステンドグラスが舞い散る。


「ジークフリート、強いもの苛めは良くないな。」

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