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エイルVSクリームヒルト

「彼方は大分、暴れているようですね。」


四つん這いになるクリームヒルト。その背に乗り、紅茶を嗜む副生徒会長エイル。


「ぐっ、離れろっ、」


エイルはクリームヒルトの要求を無視し、一年校舎の惨状を観察する。


「カーラが覚醒能力を発動させましたね。」


冷めた様子で淡々と言葉を口にする。


「彼女が命を散らせば召喚した「アングルボサの呪い」は暴走し、多くの犠牲が出る。だから「召喚士」としての覚醒能力を使いたがらない。ですが、聖女はカーラを使わせるまでに追い詰めてしまった。」


倒壊した校舎の上で戦闘を繰り広げる聖女とカーラが操るファフニール。その近くには幾人もの生徒達が瓦礫の中から這い出ようともがく姿が見受けられる。


「このような状況なのに生徒会長さんが動かない理由が分かりますか?」


これ程の大規模戦闘を普通であれば形容する筈がない。



「______________冥界の女王ヘル」



その名を口にするとエイルは立ち上がり、クリームヒルトへと振り返る。


「新たな学園の長となった冥界の女王の存在。女王の統治する学園領域内であれば気分次第で何者でも甦らせることは可能でしょう。無意識でしょうが、この学園は彼女の在り方に侵食され、冥界ヘルヘイムの一部と化している。」


クリームヒルトを蹴り上げ、後方へと飛ばす。


「おほっ、おほっ、」


苦しそうに咳を吐くクリームヒルト。


「私が何故、この事実に気づいたか分かりますか?」


クリームヒルトは痛む身体へと無理を掛け、立ち上がる。そして嗤った。


「お前の能力なのだろう。」


鞘に戻した細剣を抜刀し、エイルに翳す。


「アスラウブの能力は覚醒能力を封じる。だが、貴様の覚醒能力は「一時解除」だ。覚醒能力を掛け続けることで私の「重力制御」を封じているにすぎない。」


エイルの眼光が鋭くなる。


「「解析士」または「鑑定士」と呼ばれる職業。ハズレ職業だと世間では言われているが、私は公爵家にある文献で知っているぞ。覚醒能力が「解析/解除」であることを。」


エイルは殺気を纏い、クリームヒルトへ向け歩きだす。


「クリームヒルト•グンテル.......やはり貴方は此処で死んでいただきます。」


ルーン魔術による身体強化。聖女にも匹敵し得る怪力をエイルはルーンにより再現している。


「___________潰れろぉ!!」

(この女、化物か.......覚醒能力を秒単位で掛け続け、平行してルーン魔術による自己強化を行使している。強靭な集中力がなければ出来ない芸当だ。副生徒長の立場に就くだけはある。)


エイルは重力により地面へと一瞬身体を倒しそうになるが、直ぐに体勢を立て直す。そして脚力を更に強化しクリームヒルトへと一足の元、辿り着く。


「ぐっ!!」


エイルの穿つ拳がクリームヒルトの頬を掠る。


(攻撃の瞬間に一瞬だけ覚醒能力を使用できる.....一瞬だけだ。その僅かの動きをずらすことで何とか致命傷は避けられている。一歩でも判断を謝れば私は即死する。)


クリームヒルトはエイルの蹴りを何とか細剣で受け流す。そして大きく足を振りかぶり、砂埃を起こした。


「っ、小癪なことを」


顔を両腕で覆い、クリームヒルトへと身体当たりをする。


「ぐぐッ!!!」


そしてエイルはクリームヒルトをそのままウルズの泉がある水辺へと押し倒した。ばしゃんと水飛沫が舞い、拳を大きく振り上げるエイル。


(ッ、やらせるか!!)


クリームヒルトは重力制御を使い、エイルを右方へと飛ばす。だが直ぐに能力は解け、受け身をとり立ち上がるエイル。


(攻撃をする一瞬だけが隙となる..........)


相手の動きを見極め、重力制御を上手く使わなければ一撃で沈められる。クリームヒルトは深く息を吸い込み、アグリッパの構えを取る。アグリッパとは防御に優れたレイピア剣術の一つである。


(最小限の動きから、攻撃を受け流し、首を穿つ)


エイルはクリームヒルトの雰囲気が変わるのを感じとり、構えを低くする。


(斧刃脚で膝関節を砕き、倒れてくる上半身、又は頭部を虎尾脚で破壊します。)


膝関節を狙った右足蹴り、そして砕いた後に倒れる上半身へ踵で蹴りつける後ろ蹴をお見舞いする。そう脳内でシミュレーションし、互いに動き出す。


「______________斧刃脚ッ!」


クリームヒルトは重力制御を一瞬だけ行使し、軌道を少しずらそうと試みる。


「あまい!!」


だがエイルは両足を使い、無理矢理と軌道を修正し、膝関節の破壊に成功した。


(このままでは奴の餌食になるッ!)


倒れる身体と共にレイピアを前に突き出し、エイルの首を狙い突こうとするが。


「なっ、」


細剣の刃先は皮膚により止められていた。ルーン魔術による魔力障壁。クリームヒルトの絶望をした表情を間近にエイルは頬を上げ笑う。


「私の勝ちです。虎尾脚ッ!!」


身体を回転させ、踵で蹴り、後ろ蹴をお見舞いする。確実に直撃した。エイルは勝利を確信した表情を見せる。だが、エイルは徐々にその歓喜とした表情に陰りが出る。


「___________________嬉しそうだね。ファフニールのお宝でも見つけたかい♪」

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