副生徒会長は「聖女」と同じく拳系
「おっと_________________」
エイルの放った拳を片手で止める。手がめちゃくちゃ痛い。凄く痛い。
「ジークフリート様.......危険ですので、お下がり下さい。」
エイルはジークフリートの介入を見ると拳に掛ける膂力を軽減させた。だが、エイルは心配とした表情でジークフリートの手元を見る。ジークフリートはその視線に気付き、手をエイルの顔から数センチと近付け、何もないことを見せつけた。
「___________お前が下がれよ。」
そして蹴りをエイルの腹部に当て、教室の中央まで飛ばす。
「ジークフリート.........様」
予測していなかったのか蹴られた横腹を押さえながら、立ち上がるエイル。ジークフリートはクリームヒルトを守るようにエイルと対峙する。
「こいつはこれでも俺の元婚約者でね。殺そうとした奴に優しく出きる程、俺は優しくない。」
槍で弧を描く。先程のエイルが放とうとしていた一撃はクリームヒルトを殺害できる威力だった。
「国賊と化したクリームヒルト•グンテルを守ると.....ジークフリート様はおっしゃるのですね。」
敵意を一瞬向けられる。
「_____________あぁ。」
ジークフリートは上等だと既に戦闘体勢に入っていた。
「そう、ですか。」
どこか悲しそうな表情を見せる。そしてエイルは敵意を解き、教室の出入り口へと向かって歩く。そして扉の前に立ち、背中で語った。
「ジークフリート様、私達は貴方様を必ず迎えに参ります。どうか後悔のなき選択を。」
そう言い残すと教室を去って行く。
「ジ、ジークフリート!お前、何やってんだよ!!」
スケッゴルドが慌てた様子で掛けよってくる。
「えっと、何が?」
「ロキがいないこの状況でどう対処するんだよっていってんだよ!」
ロキがいない状況でどう対処するのか。こっちが知りたいわ。
「ジークフリート.........あんた、相当ヤバいわよ。あの人はこの学園で副会長をしているエイル先輩よ。シグルド生徒会長に次いで強いって噂されてるくらいなんだから。」
生徒会長の次って相当な化物であることは確かなのだろう。
(それに「縮地」を使って助太刀しようとしたけれど、覚醒能力が発動しなかった.........)
モルドは寒気を感じる。エイルの覚醒能力がロキと同じく超常を越えた何かであると確信しているのだ。
「それにあの人って確か.......ジークフリートの取り巻きをしてた子爵家の令嬢じゃない?」
取り巻き......
「..........何を言って」
モルドさんの言葉で思い出す。
(おいおいおい、嘘だろ........まさか)
アスラウグと婚約者だった頃に彼女を虐めていた貴族っ子三人組がいた。
「ジークフリート様は私が守ります!」「安心していいぜ!俺がジークフリートを守ってやるからよ!」「ジークフリートは僕から離れないで」
社交界や舞踏会で俺の周りをボディーガードのようにうろちょろしていた女の子達を覚えている。
(彼女達にはかなり助けられた記憶がある。)
黒髪カチューシャ、赤髪ハーフアップ、桜ショートの三人組。
(だけど、アスラウグへの暴言や暴力が原因で俺は.......)
話し合わなければならない。あの頃から成長していないとなると、あの三人は厄介な存在となる。




