いじめはよくない
「_______________なんだ、これは?」
机には落書きがされており、「出ていけ」「売女」「死ね」などと誹謗中傷の言葉が並べられていた。それにクラス内の女子達がそれを見てクスクスと笑っている。
「つまらぬ事をする。」
机を重力で押し潰し、平らな塊にする。そして隣の机を奪い我が者顔で着席するクリームヒルト。
「あ、あのぉ.....私の机ぇ.....」
「そうか。今日からは私の机だ。」
クリームヒルトは先ほど笑っていた者達へと視線を向けた。
「__________お前達は理解をしていないようだから忠告してやる。爵位を失い、国外追放を命じられた。だが、それが何を意味する?お前達が私より偉いのか?それとも私より何かに優れているのか?くく、笑わせてくれるなよ。「a」組の総合成績ですら私に勝てていない時点でお前達は塵だ。何よりも七英雄に選定された私とお前達とでは世界にとっての重要性が違うのだ。立場をわきまえろよ、欲物。」
クリームヒルトは堂々とそうクラス内にて宣言する。周囲は静かになり、殺伐とした雰囲気と化す。
「________立場を弁えるのはお前じゃね」
生徒会書記を任される「a」組序列四位ミスト。そしてその周りにはクラスメイトの大半が彼女の側についていた。
「爵位を失って、国での立場もない。平民を守るべき立場に在るのにそれすらも守らない。お前が言う七英雄の一人なんだろ。世界が必要としてんのに勝手してんなよ、欲物。」
クリームヒルトは怒りに満ちた表情で立ち上がる。
「正論言われたからっていつものように力で黙らせるの。ほら、叩くなり斬りつけるなり好きにしなよ。」
ミストはニコニコとした表情で両手を左右に広げる。狙いはここだと言わんばかりに。
「だけどここにいる皆が立会人だ。彼らは君による無差別で理不尽な暴力を目にする。あぁ、可愛そうな僕。これで僕が殺されれば君は確実に処刑は間逃れない。だけど受け入れよう。お前みたいな「塵」を社会から駆逐出きるのなら僕は僕を犠牲にしよう。」
クラスメイト全員は敵意に満ちた目でクリームヒルトを見ていた。
「ミストさん可愛そう」「なんであんな人がジークフリート様の婚約者を名乗っていたわけ?」「まじで消えてほしいわ」「つか、なんで学校来てんの?」「国外追放命じられたのに出ていかないとか」「しがみつき過ぎだろ」「恥ずかしくないのかな」「七英雄の恥」「欲物ww」「話し方キモくね?」「出ていけよ」
クリームヒルトはクラスメイト達の言葉を受け、無言で教室を後にする。
「おはざーす、クリームヒルト様!」
廊下でレギンとすれ違う。だが、クリームヒルトはそれを無視して通り過ぎた。
(私は.....お前だけが、お前だけは、私が必要だろう。)
そして急いで螺旋階段を下りていく。
(ジークフリート、ジークフリート、ジークフリート)
ジークフリートの事だけを考える。考えなければならない。
「いたっ、て糞女じゃない!もうすぐ授業始まるっ........てどうしたのよ、アンタらしくないわね.......」
ブリュンヒルデとぶつかってしまう。今一番と会いたくない相手。
「貴様には関係ない。」
目に溜まる涙を拭い、ブリュンヒルデを通り過ぎる。
「ちょ、行っちゃったし...........」
ブリュンヒルデはクリームヒルトのことを嫌ってはいるが、一定の友好関係が在るため心配とした表情を見せていた。




