「c」組の教室にて
「じ、ジークフリートって本当にネーデルラント侯爵家の三男坊だったのか.....」
一限目が終わり、休憩時間になる。スケッゴルドはすぐさまジークフリートの元へと駆け寄り、ペタペタと顔を触ってきた。
「す、凄いな、こんな間近で見るの始めてだ.......本当に美人だな、」
頬を赤くするな。気持ち悪い。とはいえ、スケッゴルドもまた男爵家出身だろうし、貴族時代の自分を何処かで見たのだろう。
「.........凄いわね。正直に驚いているわ。」
モルドもスケッゴルドに続き、自分の机の前へとやって来る。
「俺が超絶美形で優しくてめちゃくちゃいい男ってことにか?」
「そこまでは言ってない」
冷静に突っ込まれる。
「て言うかスケッゴルドはなんで赤面して固まってるのかしら。気持ちが悪いわね」
「固まってねぇーよ!て言うかよ、今のこの状況が凄いって思わないのかよ!いつも親父に連れられて参加したパーティーとかで主役を置いていつもこいつが目立ってたんだぜ!話しかけたい淑女は数知れず!けど、なんか取り巻きっぽい奴らが一時期......じゃなくて、有名人と話してるって思うとなんかすげぇーて思うだろ!」
芸能人に直面した一般人のような反応をするスケッゴルドに苦笑が出る。
「そうね、私も一時期追っかけをしてたし。」
顔を反らして暴露するモルド。ジークフリートはにやにやと表情を歪ませる。
「だけど今は違うんだろう?へへへ、いい人でも見つけたかい?」
ちらちらとスケッゴルドを見るとモルドに頭を叩かれる。
「叩かれたいのかしら?」
「もう叩かれたのですが。」
頭を擦っていると、スケッゴルドが驚いた表情でモルドを見ていた。
「す、好きな奴がいるのか.......そ、そうだよな」
落ち込んだ様子のスケッゴルド。モルドはあわあわとしていた。顔で「キスしてやれ」とジェスチャーするが「あんたバカなの!」と赤面してスケッゴルドを連れて教室を出て行ってしまった。
(え.........ガチでキスするために教室を出ていったのか?)
まぁ仲が睦まじいことは良いことだ。
「_____________ジークフリートくん、ちょっといいかな」ボソッ
隣の席かつ「c」組序列五位のアムレートくんが耳打ちをしてくる。
「どしたん、アムレートくん?」
神妙な面持ちのアムレートくん。何か言いたげだが、中々口を開かない。
「あっ、くっ........うぅ、言えば殺される、でも、っ、ジークフリートくんっ!」
「お、おう!」
「昼食の時間とか放課後は気をつけて。特に生徒会の女の子達が多分、ジークフリートくんに接触をしようと近づいてくる筈だからっ」
それだけ言うと机へと突っ伏してしまうアムレートくん。教室の外にはたくさんの淑女達が自分を見に来ている。取り敢えず手を振ると「キャアア♪」と嬉しそうに叫び声を上げてくれた。
(これぞ男子中学生、いや、全男子が一度は夢見る状況だよね)
鴉羽との過去を思い出す。俺はいつも彼奴のことを守っていた。こういった状況でちょっとでも嫌な表情を見せれば俺は席を立ち上がり「はい、散った散った」と女子生徒達へと言う。もちろん罵倒をたくさん受けたけれど、親友に嫌な思いだけはして欲しくなかった。
「本当に俺って奴は......主人公の「親友」ポジが性に合っていたんだと今更ながらに思うよ。」
モテている要因は親友の甘いマスクのおかげであり、俺自身の功績ではない。ただ顔が良いから女性が集まってくる。俺自身は何もない。ちょっとしたコンプレックスを感じる。だからといって自分に気を寄せる女性を食い散らかそうとは思わない。
「.........鴉羽に申し訳が立たないからな」
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