アスラウグは暗黒騎士
ヴァルハラ学園の屋上にて二人の元婚約者達は剣戟の応酬を続ける。ジークフリートはただ、その場で立ち尽くしていた。
「お、俺のために争わないで!!」
一度は言ってみたい台詞を言えたことに満足する。だが、内心ではかなり焦っている。クリームヒルトは近頃落ち着いて来たが、本質はあまり変わっていない。唯我独尊かつジークフリート以外の者に対し塵のような態度を追放された今も続けている。
(__________とはいえアスラウグには本当に申し訳ないことをしてしまったと罪悪感を感じている。)
社交界や舞踏会に参戦する以前は本当に幼少の頃よりの長い付き合いだったのだ。年に数回しか会えはしなかったが、恐らく誰よりも付き合いで言えば長い。
「わたくしはジークフリート様の幼馴染みでしてよ!!」
「それがどうした。幼馴染みなど今時選ばれぬわ。悪役令嬢こそが本懐よ。」
剣を打ち合いながら論戦も繰り広げる元婚約者達。
「従わぬなら力ずくで押し倒せ。抗うなら屈服させよ。力こそ全て。愛す男がいるのなら何が何でもその手におさめよ。逃がすな。愛し、愛され支配の檻に閉じ込めるのだ。それこそが真の愛。」
クリームヒルトは力で相手を支配(束縛)しようとするタイプの女性。
「それは愛の押し付けではなくて!相手に貴方自身を愛させる状況をつくる!そして外敵をなくす努力を怠らない!二人の世界を構築する環境を生み出すことこそが、真の愛なのですわ!!」
アスラウグは策略を展開して逃げ場をなくした上で支配(束縛)しようとするタイプの女性である。
「貴方の能力は封じさせて頂きますわ___________」
黒剣が闇を放ち、周囲が瘴気に汚染される。クリームヒルトはだるさを感じ、剣筋に鈍りを感じる。
「ぐっ、貴様ぁ」
クリームヒルトは押され始める。
(一体何が起きて......)
ジークフリートは目を疑う。クリームヒルトはシグルドやロキ程ではないにしろ、近接戦闘では高位の実力者に入る。それが押され始めているのだ。
(なんでクリームヒルトは覚醒能力を使用しないんだ?)
先程から「重力制御」を使用していない。
「___________ふふ、あはは!貴方の覚醒能力は「重力」を操る規格外の力!ですがもう使用は出来ませんことよぉ!」
黒剣を力強く振るい、クリームヒルトを屋上の端まで飛ばす。
「わたくしの職業適性は「暗黒騎士」、司る能力は「ドレイン」と「封印」ですわ。」
暗黒騎士と言う職種適性を聞き、眉をぴくりと動かすジークフリート。
「......覚醒能力を封じるのか。」
クリームヒルトは立ち上がり、アスラウグを睨み付ける。
「ご明察!そして覚醒能力が働いている間は敵対している者の生命力を削り、わたくしへと還元される!!」
覚醒能力を封じられた上、HPが下がっていく仕様。そして下がった分のHPはアスラウグへと吸収される。
(.........チート能力過ぎるな。)
一撃の元に屠るしか勝つ方法はない。アスラウグはクリームヒルトを打ち合えるほどの実力者。この状況下ではクリームヒルトはまず勝てない。だが、彼女は嬉しそうに笑っていた。
「あははは!伯爵令嬢ごときが私と対等に渡り合えるものかと下に見ていたが........存分に証明してくれ。お前の力が私を越えられのか否かを。」
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