アスラウグは取り返す
アスラウグの目がパチリと覚める。
「__________おはよう」
ジークフリート様の声。日射しが強く顔がよく見えない。
「ジークフリート様.............」
ジークフリート様の首を絞めつけていた筈。感情が、憎悪が抑えられずに暴走してしまった。
(貴方様を殺害した後に自害すれば、わたくし達は永遠となれる..........)
そんな浅はかな考えをわたくしはしてしまった。
「気分は晴れたか?」
「................わたくしは」
晴れる筈がない。後悔と罪悪感が押し寄せる。加害者だと言うのに被害者であろうとする穢らわしい心。
「ごめん........なさい.......」
涙を流す自分が情けない。ジークフリート様の同情を誘う行為に胸を痛める。優しく頭を撫でられる資格などわたくしにはないというのに。
「ジークフリート様.......一緒にいたい......いたいのです」
撫でる手に自らの手を重ね、ジークフリート様へと想いを告げる。
「あぁ」
ジークフリート様の事を真にお慕いしている。他の有象無象に取られたくない。
「________________ジークフリート、探したぞ」
特にこの女だけには渡してなるものか。ジークフリート様はわたくしにとっての光。歩んできた時間と質が貴様のような盗人とは違うんだ。
「クリームヒルトぉおおおおおお!!!」
立ち上がり、異空間から黒剣を抜刀しクリームヒルトへと斬りかかる。だが、剣の刃先がクリームヒルトへと接触する寸前のところでわたくしは重力へと縛られる。
「塵は塵らしく地面を這っていろ」
地面へとひれ伏す自分へと一瞥くれると、ジークフリート様の元へと歩いていく。悔しい。七英雄の一人、「覇王」に職種選定をされた女傑。国外追放や爵位を失ったからとて、その絶対的な強さが失われた訳ではない。
(悔しい........なぜ神々はこの女にこれほどまでの祝福を与える)
不条理で不公平で理不尽だ。重力制御で地面へと縫い付けられて身動きが出来ない。このような醜態をジークフリート様の前で晒してしまった。怒りが込み上げる。
「ふ、ふざけるなっ......またあの時のようにジークフリート様をお前は奪っていく!!」
「暗黒騎士」と珍しい職種選定を天啓で受けた。七英雄に比類し得る恵まれた職業だと言う。けれど、覇王の覚醒能力は異常だ。「勇者」や「魔帝」と同格の性能を誇る規格外の存在。
「奪われたくなくば「力」を証明せよ。それが出来ぬならお前はそれまでの人間だったと言う事だ。」
そうやって見下して.......殺意だけが増幅される。ジークフリート様がクリームヒルトをお叱りになっている様子だけれどどうでもいい。
「____________証明しましょう。どちらがジークフリート様に真に相応しく、共に歩んでいくべき相手なのかを。」
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