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アスラウグ•ロズブロークの過去

アスラウグ•ロズブロークは悲観していた。

14歳の頃、社交界にて現れた「公爵令嬢」にわたくしの婚約者を簒奪されてしまったのだ。


「婚約者のことは諦めよ。お前には過ぎた男だ。」


ロズブローク伯爵、お父様はジークフリート様のことを諦めろと命じる。ロズブローク伯爵家ではグンテル公爵家の意向に逆らうことは出来ない。


(いや........離れたくありません........ジークフリート様......)


かの貴族家に対抗が出来るのは王家とネーデルラント侯爵家のみ。伯爵令嬢ごときが太刀打ち出来る相手ではない。


「ジークフリート様.......わたくしは.........」


幼少の頃より幾度もお会いして親交を深めて来た。彼のことをお慕い申して上げておりました。故に諦めると言う選択肢はない。


「認めませんことよ......わたくし以外の淑女となど」


敵が強大であろうと必ずや打倒して取り戻す。憎きグンテル公爵令嬢を血祭りに上げてやるとわたくしは心の中で誓った。


(力をつけなければ..............)


部屋にこもり、憎悪の感情を募らせる。クリームヒルトを打倒する何かを得なければ。

「________________取り戻しますわ。どのような手を使ってでも」


クリームヒルトと言う難敵を潰さなければジークフリート様と添い遂げられない。だからわたくしは己の職種修練と根回しを幾重にも張り巡らせた。


(社交界でフロールフ殿下がおっしゃっていた貴族からの批判も大きいと言う部分........それはわたくしが展開した策略の一つ。)


グンテル公爵家を蹴落とそうとする派閥は多い。悪評や批評を貴族間で流し、グンテル公爵令嬢の評判を落とす。そして見事に成功してしまった。


(国外追放に爵位の剥奪.......これで漸くわたくしはジークフリート様と昔のように戻れる。)


そう思っていたのに......ジークフリート様は自ら貴族の立場をお捨てになった。


(伯爵家に婿入りすればいい......)


そう彼に伝えようと駆け出すが、あの盗人と一緒にいる姿を目撃してしまった。それも同じ馬車に乗り込んでいる。


「なぜその女と一緒にいるのですの?」


理解が出来なかった。クリームヒルトはもう貴族ではない。ただの平民に成り下がった哀れな女。ジークフリート様の隣に立つべきではない。


「許せない...........許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せないッ!!!」


唇から血が流れ出る。ジークフリート様の隣にいるべきなのはアスラウグ•ロズブロークを置いて、他にはいない。


「..................クリームヒルト•グンテル、貴方は絶対にこの手で殺してあげますわ。」

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