追放後の悪役令嬢は悪役令嬢じゃないよね
第五歌章、始動!
「______________クリームヒルト•グンテル。貴様の爵位剥奪、並びに国外追放を命じる。」
唐突なフロールフの発言にグンテル公爵は抗議をする。
「で、殿下!!軽率ながら、それは余りにも娘に対し非情過ぎる!!我が娘は確かに残虐な一面も持ち合わせておりました。ですが、殿下と婚約をしてからはなりを潜め、婚約者として精進していた筈です。どうか何卒、お慈悲を頂きたく申し上げます。」
グンテル公爵はグンテル家の将来よりも娘であるクリームヒルトを心配していた。爵位剥奪に国外追放は余りにも酷すぎる。クリームヒルト本人は冷酷な一面も持ち合わせるが国の為にグンテル家として貢献してきた筈なのだ。
「家臣や領民の殺害は看過できる問題ではない。それに一部の貴族達からも被害の報告を受けている。命を取らぬだけ良しとせよ。」
クラキ国王はグンテル公爵へとそう告げる。
(クリームヒルトが婚約者として付きまとっていた時代は確かに嫉妬心で色々とやらかしてたもんなぁ..........)
グンテル公爵は悔しそうに一礼をすると、クリームヒルトの手を掴み、広間から去って行った。
「_______________殿下、私からも一つ、お願い申し上げても宜しいでしょうか。」
「申せ、勇気ある者よ。」
シグルド兄さんが広間の中心に立つ。人類側最高峰の戦士。そして次期ネーデルラント侯爵。誰もが耳を傾け、静かに言葉を待つ。
「ジークフリート、そしてクリームヒルト嬢のヴァルハラ学園への在校を許可して頂きたい」
いや、まじでいいですって......余計な事をしないでくれよ、本当に.....
「わ、私からもお願いしますわ!」「ジークフリート様を是非とも私の従者として!」「いや、私の従者として!」「ジークフリート様と学園ライフ!」
何なのこの家族......逃亡の際は助けてくれたよね?なんでそんなに俺を虐めたがるの。せっかく学園から自然と去れる機会を得たのになんで縛りつけようとしているんだよ。
「おにぃ、逃げようとした罰」
ぎゅっと裾をジークリンデに捕まれる。頬を膨らませ怒っている。
「リンデとずっと一緒いてくれるって言ったじゃん」
...........あぁ、そう言われとお兄ちゃんは弱いんです。ジークリンデの頭に手を起き、謝罪をする。
「わかった....分かったよ!学園には戻る......それにずっと一緒は流石に無理だけど、絶対にジークリンデちゃんが困っているときは必ず駆け付ける。この命に掛けても。」
「..............おにぃってそう言うとこずるいよね。」
ジークリンデは頬を染め、ジークフリートのお腹へと抱きつく。そして暫くすると走り去ってしまった。
「___________学園を卒業するまではクリームヒルトの滞在を認めよう。だが、卒業後は即刻国を退去せよ。これは王命である。」
クリームヒルトの処遇が決まったようだ。と言うか、親父はさっきから俺を睨むな。自由だとか見返りが欲しいだとか色々言った挙句、ネーデルラントに縛りつけたいだけだったじゃねーか。社交界が終わり次第、ウルズの泉へ戻ろう。
「ジークフリート師匠!」
ざわついている間に広間から抜け出し、廊下を歩いていると後ろから話を掛けられる。
「......おぉ、ディートリヒか!」
七英雄に並ぶと言われる「剣帝」の職業に選定された隣国の王子ディートリッヒ・フォン・ベル。決闘以降は定期的に訓練をつけてやっていたため、師匠と慕われるようになっている。
「師匠、ありがとうございます。」
頭を下げ、感謝の言葉を告げるディートリヒ。
「元ベルン国の民達が食べるものに困らず人並みの生活が出来ているのは師匠のお陰だと聞いております...........必ずこの恩はお返します。」
決意が目に映る。いい目だ。ディートリヒは努力家ではあるが、職業の覚醒に手こずっていた。それ故に傲慢になり基礎能力だけで他者を蔑んでいたんだ。恐らく八つ当たりの部分もあるだろう。けれど、その傲慢さも更正し今では皮肉やではあるが優しい青年となっている。
「_____________中庭で模擬戦をしようか?」




