表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/86

第58話「怠惰の魔王」

いつも読んで下さる方々に感謝しております。

 レイナと別れてから、しばらく階段を駆け上がっていると真紅の大きな鳥居が見えてきた。

 それを見て、蒼は此処に至るまでの事を思い出す。

 道中で常にデーモン達と戦い、道を切り開いてくれた〈白の騎士団〉の団員達。

 2体のレベル80のハイデーモンという強敵を引き付けて、道を作ってくれた紅蘭、シノリ、アテム、レイン、デリオンさん、クロちゃん。

 そして最後に、一番の障害であった〈怠惰の従者〉の足止めとして現れた優の母親であるレイナさん。

 沢山の人達が助けてくれて、僕達は誰1人欠けることなく此処まで来ることができた。

 みんながいなければ、此処に至る事はできなかっただろう。

 蒼達は階段を上がりきる。

 視界に飛び込んできたのは、いつもと変わらない神社の風景だ。

 唯一違うのは神威神社の最奥。そこには魔王が眠っていると思われる、天蓋付きのベッドがあった。

 しかし中に踏込もうにも、天蓋を中心に神社を覆うように結界が広がっている。

 並の攻撃では、ひび一つ入れることすら困難だろう。

 ここまでは黒漆くろうから聞かされていた情報通りだ。となるとやはり、予定していたアレをやるしかない。


 さぁ、ここからが本番だ。


 僕は背負っていたアリスを下ろして、事前に打ち合わせしていた通り優に預ける。

 それぞれ武器を手に取ると、蒼達は構えた。

 みんなの思いを背負い、全ては〈怠惰の魔王〉ベルフェゴールを倒すために。


「先ずは敵の結界を壊す。その後は優、頼むよ」

「わかったわ」

 

 蒼の合図に魔女の衣装を纏う金髪碧眼の少女、水無月優は温存していた魔力を解き放った。

 その小さな口から、詠唱が始まる。


「──それは大いなる星の力を宿し一欠片」


 唱える呪文に両腕の腕輪が反応し。

 極振りした優の魔力はうなり、空間を歪ませる。


「無限の宇宙を彷徨さまよう大いなる星の子よ」


 夜空に展開されるは、巨大な魔法陣。

 詠い手は、呪文を紡ぐ。


「全てを打ち砕く破壊のつぶてとなりて、我に力を与え給え」


 優はアリスに肩を貸しながらも、両手を前に突き出し指で口を形作る。

 そして、最後の呪文を唱えた。


「空間の支配者たる時空の神よ、門を作りて我の前に立ち塞がる大いなる障害を灰燼かいじんせ」


 天上に開くは、大宇宙と繋がる門。

 時空神〈クロノス〉の力を借りて、水無月優は星の力の一欠片を呼び出す。

 その究極の魔法の名は、


「極限空間魔法──〈隕石召喚メテオ〉ッ!」


 夜空から赤く巨大な石が射出される。

 それは寸分違わず〈怠惰の魔王〉が眠る天蓋に向かって真っ直ぐに落ちると衝突する。

 展開されていた結界と一瞬だけ拮抗すると、大きくひびが入りながらも突破。

 ベッドごと魔王を、一気に押し潰す。

 直後に大きな爆発が起きて周囲の物を消し飛ばし、蒼達の視界を巻き上がった粉塵ふんじんが覆い尽くした。

 そんな視界の悪い中でも、蒼の洞察アビリティは今の敵の状態を常に教えてくれる。

 ……やはり無傷か。

 目の前の煙が晴れる。

 大きく抉れた地面の中心地に、捻れた2本の角を生やした緑色の髪の少女が、驚いた顔をして仁王立ちしていた。

 彼女はやれやれと黒いドレスについた埃を払いながら首を左右に振り、僕達を見ると苦笑する。


『いやはや、まさかモーニングコールに隕石が降ってくるとは中々にびっくり仰天』


 その真っ白な肌には、かすり傷すらない。

 どう見ても威力が削がれたとはいえ極限魔法の直撃を受けたはずなのに、無傷とは化け物め。 

 僕は黒漆と真奈と龍二に多重の付与魔法を展開させると、苦笑した。


「今ので死んでくれたら、楽だったんだけどね」

「眠っている奴の分厚い防御を破壊するための魔法だったんだ。目を覚まさせただけでも上々な結果だよ」

「後は手はず通り、わたし達が行くの」


 筋力強化、速度強化、物理防御強化、魔法防御強化、反応速度強化。

 それに加えて、真奈のお手製の〈強化薬〉を全員頭から浴びる。

 ステータスはこれで、格段に上がった。

 これで準備は完了。

 黒漆が先行して前に飛び出した。


「行くぞ、ベルフェゴール!」

『なんだ、また貴様か』


 雷魔法を自身に付与して黒漆は加速、文字通り電光石火の如く魔王に接近すると、真紅の剣レーヴァテインを振るう。

 首を狙った鋭い斬撃に、ベルフェゴールは身を反らして再び紙一重で回避する。

 だが今度の結果は、先程とは違った。

 予想よりも素早い剣速に、避けきれず首の皮膚が薄く切れる。

 意外な結果にベルフェゴールは、少しばかり目を見張った。


『ふむ、これはこれは』

「さっきと一緒だと思うなよ、魔王」

『ハハハハ、中々に手厚い強化を受けておるな!』


 更に通常の斬撃に魔法剣技を混ぜながら、黒漆の動きは加速していく。

 初戦と同じように魔王はそれを躱し、素手で受け流しながら対応していく。

 見たところ魔王は、余裕はあるものの防戦一方だ。

 防御も基本的に避けと受け流しをしており、先ほどみたいに掴みとかはしてこない。

 直接受けるとヤバい、そう判断したのだろう。

 となれば、一気に畳み掛けるのが最善。

 僕が名前を呼ぶと、セラフィムのソウルを〈召喚武装〉した真奈がベルフェゴールの隙きを見て突撃した。


「さっきのお返しなの!」


 光り輝く剣を手に、神速の突きを放つ。


『むぅ、ダンスに乱入とは無粋な』


 今まで無手で対応していた魔王は顔をしかめて真奈を見ると、左右の手に漆黒の剣を召喚。

 真正面から来る黒漆の斬撃を受け止め、真後ろから来る真奈の渾身の突きを横から切り払った。

 姿勢を強引に崩された真奈は、そのまま地面を転がる。

 ベルフェゴールが初めて武器を手にした事に、蒼は此方が押している事を確信した。

 対する魔王の少女は、この状況に少しばかり不愉快そうな顔を浮かべると。


『少々、本気を出してあげましょう』


 と言ってその場から消えると、2人から遠く離れた位置に出現。

 双剣を左右に構えると、紅蘭が得意としている上級ニ刀剣技〈龍閃〉を行使した。

 残像を残す程の高速の黒刃が、同時に黒漆と真奈に襲いかかる。

 強化されて反応速度が上がっている2人は辛うじてそれに反応すると、迫る2本の剣から繰り出される斬撃を紙一重で回避した。

 しかし、魔王は止まらない。


『まだまだぁ!』


 2人の横を駆け抜けたベルフェゴールはその場で急停止すると、楽しそうに笑ってリキャストタイムを無視して軋む身体を無視して再び〈龍閃〉を発動。


「同じ手が通じると思うなよ」

「舐めないで欲しいの」


 黒漆と真奈は剣を振るい、ベルフェゴールの〈龍閃〉の高速斬撃を真っ向から受け止めた。

 だが魔王の膂力に加えて、高速移動による勢いも合わさった〈龍閃〉の威力は凄まじい。

 受け止めた2人は弾き飛ばされなかったものの、地面に跡を残しながらそのまま後ろに大きく下がる。

 真っ向から〈龍閃〉を止められた魔王は嬉しそうに笑うと、2本の剣に漆黒の光を宿らせて剣技を振るった。


『双魔剣技〈狂乱の剣舞〉』


 舞いながらも、目にも止まらぬ速度で2本の漆黒の刃が黒漆と真奈に襲い掛かる。

 2人は必死に斬撃を見極め、剣で防ぐ。

 先程と変わらず、防戦一方。

 魔王が更に速度を上げると、2人は協力して攻撃を防ぎながら、時折反撃をする。


「いくぞ真奈!」

「名前で呼ぶな、なの!」

『!?』


 黒漆が魔法剣技でベルフェゴールの斬撃を受け流し、その後ろでタイミングを見計らっていた真奈が飛び出すと同時に破邪の剣を下段から上段に振り上げる。

 それを魔王は、バックステップして紙一重で回避。

 怠惰の魔王は、怪訝な顔をした。

 ……おかしい、と胸中で呟く。


 ユニークアビリティ〈怠惰の強制〉


 周囲にいる者のステータスをいちじるしく低下させる〈怠惰の魔王〉の固有能力。

 それを戦闘が始まってからずっと発動させているというのに、敵の動きが遅くなるどころか自分の動きについて来ている。

 ベルフェゴールにとってそれは、実に不愉快な事だった。

 本調子には程遠いとはいえ、魔王である自分に〈守護者〉と人間が拮抗するなどあってはならない事。

 首を傾げるベルフェゴールに、黒漆は不敵に笑った。


「余裕が無くなってきたみたいだな」

『……誰に向かって口を利いておる、無礼であるぞ守護者』

「はっ、いつまで強がっていられるかな!」

『魔王を侮るなよ、双魔剣技〈狂嵐〉』


 ベルフェゴールが漆黒の風を纏った二刀を振るい、2人に向かって無数の風の刃を放つ。

 蒼は攻撃の性質を見極め、即座に斬撃耐性強化と風属性耐性を黒漆と真奈に付与。

 荒れ狂う風の刃の中を、2人は切り刻まれながらも強引に駆け抜けた。

 そこから黒漆が放つのは、上級魔法剣技〈雷光斬〉。

 雷と光の二重付与魔法による剣技が、驚くベルフェゴールの防御を弾き飛ばした。

 体勢が僅かに崩れる魔王。その隙きを突いて、真奈が再び破邪の剣を一閃。

 胴体を浅く切り裂かれ、ベルフェゴールは驚いて後方に大きく跳んで逃げる。それと同時に風魔法を放ち、追いすがる黒漆と真奈を吹き飛ばした。


『これは一体……いや、まさか』


 周囲を見回すベルフェゴールの様子に、アリスと優を守るように立つ蒼は呟いた。


「そろそろ、気づかれちゃったかな」


 流石に黒漆と真奈も強化されただけでは、魔王のステータスには届かない。

 ベルフェゴールに黒漆と真奈が、互角以上の戦いをできている理由は2つある。

 一つは開幕にした、強化補助をいくつも重ねている事。

 そしてもう一つは、神社という〈土地の聖域〉を強化している事だ。

 極限魔法を放った後、硬直時間に入った優には事前に魔力を込めていた霊符で、神社の周辺に上級符術〈五芒星結界ごぼうせいけっかい〉を展開して貰った。

 その結果、聖なる結界により神社の中の退魔の力は強まり、土地との相乗効果によって魔王にとっては猛毒の領域と化した。

 符術士は、はっきり言って魔法使いと違って火力のない職業だ。

 基本的には補助のスキルが多く、好んで選ぶ人はかなり少ない。

 だが利点はある。符術士は自身の魔力を消費しないで、霊符に込めた魔力で術を行使する事ができるのだ。

 そして使い方も今回みたいに条件が揃えば、魔王にすら通じる強い職業となる。


『クソ、まさか逆に我を弱体化させるとは!?』


 仕掛けに気づいたベルフェゴールは周囲を探り、狙いを術士の優に向けると、地面を蹴り残像を残して消えようとする。

 その瞬間を狙っていた優が、片手間で空間転移を発動させると龍二が魔王の目の前に突如出現。

 完璧なタイミングで発進しようとする彼女に対して、横に構えていた剣技を発動させた。


「優は俺が守るッ!」

『な……貴様ッ』


 オッドアイの少年から繰り出されるは上級聖剣技〈神撃〉。

 神の力を一部借りて横から振り放つ渾身のフルスイングが、魔王の少女を正確に狙う。

 避けれないと判断したベルフェゴールは、それを双剣で間一髪受け止める。

 間髪入れずに蒼と黒漆が、龍二に対して付与魔法を発動。

 何重にも強化された龍二は、そのまま力を込め続けると小柄な魔王の身体を浮かせて、上空に向かって切り飛ばした。


『……なんという、剛力か!?』


 上空に打ち出された魔王は驚き、6枚の漆黒の翼を広げてその場で急停止した。

 そこを、マジックポーションを飲み捨てた蒼が狙い切る。

 手に持つ真紅の剣レーヴァテインに、切断と水魔法と風魔法を付与して、二重付与魔法を発動。

 剣を上段に構えると、全力で空中を舞う敵に向かって飛ぶ斬撃を放った。


「上級魔法剣技〈嵐水らんすい一刀いっとう〉ッ!」

『くぅ!?』


 魔王は崩れた姿勢で強化された水と風の複合魔法技を、手に持つ剣で辛うじて受け流す。

 正に息をつかせぬ連携。

 隙だらけとなったベルフェゴールの背中に、真奈が破邪の剣を手に飛翔する。

 それを見て、魔王は額に汗を浮かべた。


「隙ありなの」

『舐め、るなぁ』


 翼を羽ばたかせ、強引に姿勢制御。

 真奈の下からの斬撃を、左手の剣で受け止め、右手の剣で反撃しようとする。

 そこに、風魔法で空中を蹴って黒漆が現れた。


「空を飛べるのは真奈だけじゃない」


 放つは光の上級魔法剣技〈極光斬〉。

 蒼と真奈のバフによって強化された剣技をもちいて、とっさにベルフェゴールが指先から放った〈閃光〉を回避して右腕を両断する。


『が、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

「ぐぅッ」

「きゃあ!?」


 怒りを燃料にして、周囲にいる黒漆と真奈を魔力の放出で地面に叩き落とす。

 真奈はとっさに龍二が下敷きになる事で守られたが、黒漆は物凄い勢いで叩き付けられる。

 怒り狂ったベルフェゴールは巨大な漆黒の球体を生み出すと、そこから更に地面にいる3人に向かって殺意をもって極限暗黒魔法〈黒閃散〉を解き放った。

 地面に降り注ぐ無数の漆黒の閃光。

 一つでも受ければ耐久値を消し飛ばされる威力が、そこには込められている。

 この状況から黒漆と真奈が逃れる術は無い。かと言って蒼と優とアリスは動けない。

 ならば、と魔力の放出を浴びて動けない桃色の少女を地面に寝かせると、一人の少年が眦を釣り上げる。

 彼がやる事は単純明快。敵の技を消し飛ばせば良いだけだ。

 仲間を守るために土宮龍二が〈ティターンの大剣〉を構えると、そこから彼は自身の最大の奥義を放った。


「極限聖剣技〈騎士王エクス一撃ストライク〉ッ!」


 地上から放たれた金色の光が、死をもたらす闇を全て消し払う。

 その驚きの光景に、ベルフェゴールは目を見開いた。

 ──これは吃驚仰天きっきょうぎょうてん

 何故だ。

 何で自分の技が尽く破られる。

 理由は、絶対に弱体化だけではない。

 強化魔法と強化薬を使っているとはいえ、なんでここまで敵の技が自分に届くのだと魔王は困惑する。

 何かが、違う。

 先程とステータスを一変させる何かが有るはず。

 そして魔王は、ふと気がついた。

 〈守護者〉と〈召喚武装〉の使い手、それに〈ティターンの大剣〉使い、この場にいる全員が薄く白い輝きを身に纏っている事に。


『まさか、まさかまさかまさか!?』


 魔王の視線が、蒼に向けられる。

 どうやら一つ目の理由に隠された大仕掛けに、気づかれてしまったようだ。

 そう、普通は無理なのだ。

 いくら強化を付与して魔王を弱体化させても、それだけでは〈怠惰の魔王〉ベルフェゴールには届かない。

 蒼達の最後の切り札。

 それは〈神の祝福を授かりし天使〉を発動させて、皆を劇的に強化する事。

 視線を受けて白の少女が微笑を浮かべてあげると、彼女は嬉しそうに笑った。



『素晴らしい! これが世界の主たる〈天使〉、戦士の力を魔王の領域に引き上げる王のもたらす奇跡ッ!』



 そこに蒼は更に敵を此方のペースに引き寄せるために、最後の切り札を使用した。

 〈魔王を退けし英雄〉。

 敵のターゲットを強制的に自分に向けさせ、自身のステータスを引き上げる唯一無二のアビリティ。

 これでベルフェゴールの目には、壱之蒼以外の姿は見えなくなる。

 恍惚な表情を浮かべて腕を再生させた魔王は、他の全てを無視して蒼の思惑通りに真っ直ぐに向かって急降下してくる。

 その事に皆は慌てたりしない。

 これも全ては事前の打ち合わせ通り。

 〈天使〉のチートアビリティと〈英雄〉のアビリティを使えば、欲に塗れた敵は確実に真っ直ぐに向かって来る。

 降りてくるベルフェゴールを見据えると、僕の側に青髪の少女が歩み寄った。


「やっと出番が来たのじゃ」

「頼むよ、アリス」


 頼られて嬉しそうに笑顔を浮かべると、アリスは力強く頷いた。

 そして剣を持つ蒼の手に自分の手を重ねると、彼女はこの時の為にストックしていた最後の詠唱をした。


「……偉大なる太陽の神よ、遍く世界の闇を討ち払う御身の光を我に与えたまえ」


 極限光魔法〈日輪招来にちりんしょうらい

 完成したアリスの極限魔法が、彼女の意思に従い真紅の剣に収束。

 彼女と共に絶大な魔法の手綱を握り、極限付与魔法〈神威〉と同じ要領でレーヴァテインに定着させようと試みる。

 しかし、やはり簡単にはいかない。

 事前に耐久強化を幾度も重ねていた真紅の剣が、高負荷に悲鳴を上げる。

 粉々になりそうなレーヴァテインを支えながら、アリスと共に金色の〈日輪〉を何とか定着させていく。

 

 ──その末に、ようやく2人の合体魔法は完成した。


 刀身は眩い金色の輝きを纏い、完成した極限付与魔法〈天衣てんい〉は神威山を大きく震わす。

 剣を2人で上段に構えると、そのまま蒼とアリスは間近まで来たベルフェゴールを迎え撃つ形となった。


『その小娘を目の前で切り裂いてあげましょう、極限魔剣技〈双魔王斬〉!』


「「極限魔法剣技〈天衣てんい日輪斬にちりんざん〉ッ!」」


 上段左右から重なって放たれる漆黒の斬撃。

 それに対して、上段から真っ直ぐに振り下ろした金色の斬撃が真っ向から衝突する。

 金色と漆黒。

 二つの極限は相手を切り裂かんとぶつかり合い、拮抗する。

 だが魔王は1人、対してこちらは2人分の力が一つとなったものだ。

 僕達が力を合わせて、負ける通りなどない。

 蒼とアリスは手に力を込めて咆哮する。

 すると第一昇華をした〈女神〉のソウルが大きく脈動。

 身体から凄まじい力が湧き上がり、拮抗していた金色は漆黒を徐々に切り裂き始めた。

 押し負ける。

 それを確信しながらも、ベルフェゴールはその場から動くことができなかった。

 何故ならば、白の少女の背から生えた2枚の純白の翼に、目を奪われてしまったから。

 〈怠惰の魔王〉は眼前に迫る金色の刃すら忘れて、蒼に見惚れると。




『──美しい、これが天使の』




 日輪の光に両断され、跡形もなく消滅した。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ