3話:童貞を捨て、初めての寝取り【ヤンデレ暗殺スライム(美少女)】
「はぁっ……はぁっ……」
蝋燭のわずかな灯りに照らされる地下牢に、激しい息遣いが響き渡る。
夜通し、俺はただひたすらに……人の姿をしたスライム少女と交わった。
生まれて初めてのセックス。
次期勇者として厳しい修行漬けで育ってきた俺に、セックスの正しいやり方なんて知らない。
だから俺は、ただ本能のままに……激しい欲望を彼女へと吐き出した。
貪るように。喰らい尽くすように。溶け合うように。
父親の寝取りの才能を開花させるべく、ひたすらに腰を打ち付けた……のだが。
「もう、これ以上は無理だ……」
ベッドの上。疲れ果てた俺は、汗だくになりながらその場に崩れ落ちる。
そして、荒くなった息を整えながら……隣で横たわるスライム少女を見た。
「んふふ~♪ いっぱい出したね?」
余裕の笑みを浮かべながら、ニコニコと俺の顔を覗き込んでいるスライム少女。
あれだけ何度も抱いたというのに、彼女は少しも疲れている様子すらみせない。
「おかしい……寝取りの力で、女はイキまくって、俺の股間がないと生きられなくなるんじゃないのか?」
俺のイメージでは「んほぉぉっ、もうだめぇ、このチ○ポがないとだめなのぉ」というような喘ぎっぷりになるものとばかり。
しかし実際は、気持ちよさそうに声を漏らしてはいたものの、白目を剥いたり、あへあへ言ったり、涎を垂らして痙攣するような事は一度も無かった。
「んぅ……よく分からないけど。快感自体は、そこまでじゃなかったかも」
「……グサッとくる事を言うなよ」
勇者の才能はともかく、寝取り男の才能すらも、俺には受け継がれてないというのか。
そう思うとなんか非常に虚しくなって、視界が涙で滲んでくる。
「でも、それはこれから……私と何度も練習すればいい」
「……まぁ、そうなんだけど」
「あと……これだけは、言える」
にゅるんと、柔らかい腕で俺の体に抱きついてくるスライム少女。
そしてそのまま彼女は、俺の頬にスリスリと頬ずりを始める。
「ネトレにえっちな事をされると……頭がフワフワして真っ白になる。ずっと一緒にいたいって気持ちが、どんどん……胸の奥からあふれてくるの」
「そう……なのか?」
「うん。好き……ネトレ、大好き。もっともっと、私にえっちな事をして」
ぎゅうっと、俺を抱きしめるスライム少女の力が強くなる。
さらには頬ずりだけではなく、ちゅっちゅと俺の頬に口付けまで始める始末だ。
「これは俺の力なのか? それとも単に、スライムがエロいだけとか……」
たまたま最初の相手が俺だったから、こうして俺にゾッコンになっただけで。
もしかすると、他の男が相手でも同じような結果になった可能性もある。
「うーん。もっとサンプルを取る必要があるな。俺の寝取りの力が本物かどうか試すには、別の女を……」
思わず俺が、自分の考えを口にした途端。
ピタリと、スライム少女のキス攻撃が止まる。
「……ネトレ、他の女の子とも、えっちするの?」
視線を下にズラすと、スライム少女がじぃーっと俺の眼を見つめていた。
ハイライトの消えた、血のように真っ赤で……どこか恐ろしさを感じさせる瞳で。
「あ、あれ? お前……青髪じゃなかったか?」
しかもいつの間にか、青色だったはずの髪色までもが真っ赤に染まり始めている。
たしか、スライムって怒らせると赤く変色するんだったっけ……?
「私以外とも……えっちな事、しちゃうんだ。私のネトレなのに……」
グググッと、俺の体を締め付ける腕の力が万力のように強くなり始める。
このままではまずい。そう判断した俺は急いで話を誤魔化す事にした。
「そ、そんな事より! お前に大事な話があるんだ!」
「……大事な話?」
「名前だよ、名前。まだ、お前の名前を聞いてなかっただろ?」
「……そんなもの、ない。魔王様に作られた暗殺用スライム、というのが俗称」
まだ頭は赤い。しかし、腕の力はかなり緩んできた。
このまま話の流れを変えて、彼女の怒りを収めよう。
「そうか。だったら、俺がお前の名前を決めてもいいか?」
「本当?」
「ああ。だってお前は俺の初めての相手で、これから先……誰よりも一番大切な女の子なんだから。名前が無くちゃ不便だろ?」
出来るだけ、キザったらしく。格好つけて、俺は彼女の耳元でささやく。
するとこれは、効果抜群であったようで。
「~~~っ!」
スライム少女は髪だけではなく顔まで真っ赤にして、だらしない笑みを浮かべる。
「え、えへへへっ……私が一番?」
「そうだ。お前以外の女なんて、ただの復讐の道具だよ」
「……そういう事なら、他の人ともえっちしていいよ」
俺が頭を撫でると、スライム少女は幸せそうに俺の胸に顔をうずめてきた。
一時はどうなる事かと思ったが、なんとか切り抜けられたか。
「それじゃあ早速、名前なんだけど……アイってのはどうだ?」
「アイ? どうして?」
「……俺が一番愛する女だからに決まってるじゃないか」
このスライム少女は俺に対する強い独占欲と、キザな言動に弱い一面を見せた。
だからここは、その独占欲を満たしつつ、格好つけた態度を取るのが一番だろう。
「むふぅっ……! むふーっ! むふむふむふぅーっ!」
実際、俺の予想は当たっていたようで。
アイと名付けたスライム少女は興奮した様子で鼻息を鳴らし、再び俺の顔に頬擦りをしてきた。
「好き……ネトレ、好き。大好き、大好きっ、だぁいすきっ! 」
「ああ、ありがとう……」
なんか思っていた方法とは違う形にはなってしまったが。
これでもうアイは、完全に俺の言いなりになった。
「……俺のこと、どれくらい好きなんだ?」
「そんなの……言葉じゃ、言い表せない」
「魔王様とどっちが好き?」
「誰が相手でも、ネトレしか勝たない」
「じゃあ、魔王様の命令と俺の命令……どっちが大事?」
「ネトレの命令に決まってる」
「勇者になった俺を殺すのは?」
「そんなの、もうどうでもいい。ネトレと愛し合う事が……私の生きる意味」
はい、これにて攻略完了です。
だけど、まだ油断してはいけない。
「でも、ネトレが私を一番に愛してくれなくなったら、その時は……うふふふ」
「お、覚えておくよ」
一寸先は闇。下手を打てば、逆に俺の身を滅ぼす可能性があるという事を。
決して忘れないようにしないとな。




