35話:これは百合堕ちですか? いいえチ○ポ待ちです
【とある湖のほとり】
時間にしてはわずか数秒。
しかし、本人にとっては永遠に感じられるほどの沈黙を経て……ヘダがようやく絞り出した答えは――
「私は……ネトレ様を、お救いしたいです」
勇者を裏切り、ネトレを救うという選択であった。
「本気ですね?」
「はい。私はあの日、ネトレ様が不貞の子だと聞いて、ショックを受けてしまいました」
「……随分と、酷い目で見られたと話していましたよ」
「ええ! そうですよ! 私は……私は、愚か者ですっ……! 誰よりも傷付いているのは、ネトレ様なのに……! あの時、私が手を差し伸べていれば……!」
「しかし、現実はそうならなかった」
「っ!」
「教えてあげましょうか? あの後、真っ先にネトレさんに手を差し伸べたのはガティさんです」
「あっ……あ、ぁぁ……」
両手で頭を抱え、震え始めるヘダ。
認めたくない。しかし、認めるしかないのだろう。
自分が心の内で、何度も嫉妬の炎を燃やした女性。彼女は自分とは違って、ネトレを救おうとしていたのだ。
ネトレがヘダではなく、彼女へと目を向けるのも――当然である
「ネトレさんはガティさんや、他にも愛する女性の力を借りて……エクリプスを出ました。そして今では私も、彼に愛して頂いています」
「愛して……?」
「鈍いですね。抱かれているという事です」
「っ!?」
言葉の意味を理解した瞬間、ヘダの頭は二つの理由で沸騰しそうになる。
1つは、性的な話を持ち出された事による羞恥。
そしてもう1つは……自分が恋い焦がれる男性と、関係を持つ女がいるという事実への激しい怒りと嫉妬。
「あの逞しいおチ○ポで、私の大事な部分を激しく突かれると……」
「やめて、ください……」
「頭の中がふわっとして、視界がチカチカして……意識が飛びそうになるくらい、気持ち良くて」
「もう、やめて……」
「最奥に彼の熱い精が注ぎ込まれた瞬間、ああ……私はこの人のモノなんだと、体の隅々まで認識させられるんです。その幸福感は――」
「やめてええええええええええっ!」
両耳を塞ぎ、ヘダは目の前の現実から逃避するように絶叫する。
しかし、目の前の少女はそれでも……顔色1つ変えない。
「惨めですね。今さら、何を嫉妬しているんですか?」
「え?」
「自分の立場をよく考えてください。本来なら、万死に値する罪を背負っているくせに」
その通りだと、ヘダは思う。
もう自分に、ネトレが誰かと愛し合う事を止める権利などない。
ましてや、このように嫉妬の炎を燃やすだけの愛情が……果たして本当に、自分の中にあるのか。
ヘダの心はもうズタボロだった。罪の意識と己への嫌悪で吐き出しそうであった。
「ですが……安心してください」
そっと、シアンスカの白い手がヘダの頬を撫でる。
そしてその指先は頬から首筋、鎖骨、そして……乳房へと滑っていく。
「んぁっ……!?」
ピクンっと、ヘダが快感に悶える。
しかし、シアンスカは構う事無く……その胸の先端にある桜色の突起をつまみ上げた。
「ひぅんっ!? はぁんっ……!」
「ネトレさんは、優しい人です。アナタが変われば……きっと、許してくれますよ」
胸を弄んだ指先が、今度は腹部からヘソ下……そして、手入れのされていない茂みへと差し掛かる。
「だ、めぇ……です……んっ」
「何がダメなんです? こんなにも、湿らせているくせに」
見せつけるように、引き抜いた指先をヘダの眼前へと突き出すシアンスカ、
月明かりに照らされたその指先にはヌラヌラと、粘性の液体が垂れている。
「あぁ、ぁぁぁ……神よ……んぁっ……はぁっ、ぁん……」
「私の指なんかより、ネトレさんのモノが欲しくないですか?」
「それは…………んぅぅうっ!? あぁぁぁぁぁぁっ!」
「ほら、ほら、ほらほらほら。早く答えないと、イッちゃいますよ?」
湖の水面が揺れる。
ジャパジャバと水面が叩きつけられる度に、ヘダは激しく腰を揺らし、自らに与えられる快感の波に酔いしれていく。
「欲しいっ! 欲しいんですっ! 神なんて知らないっ! そんなものより、ネトレさんのおチ○ポが欲しいんですぅっ!」
そして遂に、彼女の理性は弾け飛んだ。
いつの間にか頭部に巻き角、背中には黒翼、臀部には長い尻尾という……悪魔のような姿へと変貌していた少女によって、ヘダは快楽の虜にされてしまった。
「でしたら……やる事は分かっていますね?」
「ひゃ、ひゃひっ……」
「では、これを」
そう言ってシアンスカは、とある品物を手渡す。
「……ネトレさんの為に、せいぜい役立ってください」
「わかり、ましたぁ……」
トロンとした瞳で、ヘダは頷く。
その顔はもはや、聖職者とは思えないほどに……淫靡なものであった。
【とある城塞都市】
「……ただいま戻りました」
「あっ、おっかえりー!」
ヒイロ達の先回りの為、次は城塞都市に滞在しているネトレ一行。
そんな彼らの元に戻ってきたシアンスカを出迎えたのは、アイとガティの二人だった。
「首尾はどうだ?」
「ええ、彼女はこちらの提案に乗りました。ふふっ、私のコレでイチコロです」
そう言って、シアンスカは得意げに自分の指をクイクイと動かして見せる。
「……そうか」
彼女の答えを聞いて、ガティはホッとしたように胸を撫で下ろす。
見知った顔を殺さずに済む事に、安堵したのだろう。
「ネトレの為だから仕方ないけど、なーんかちょっと、納得出来ない部分もあるよね」
「そうですね。しかし、背に腹は変えられません。ネトレさんの具合は……悪くなるばかりですので」
「……そうだな」
彼女達が先ほどから浮かない理由をしている原因は、ネトレの体調だ。
アイとガティに呪いの進行を隠し通そうとしていたネトレだったが、とうとう限界を迎えてしまい……もはや一日のほとんどを寝て過ごしている。
本来であれば、もっと時間を掛けて引き込む筈だったヘダの説得に踏み込んだのも、ネトレの限界が近い事からの焦りだった。
「本当に信頼出来るの? 一度裏切ったような子だし、また土壇場で裏切りかも」
「その時は覚悟を決めましょう。もはや他に方法はありません」
「ああ……我々の命を掛けてでも聖剣を手に入れ、ネトレを救うぞ」
3人はそれぞれ、伸ばした手を取り合う。
同じ男を深く愛し、守りたいと誓い合う少女達の揺るぎない結束である。
そして彼女達は、明くる日――大切な人を救うべく、行動を開始したのだった。
最近ご無沙汰だったので、エロ回ねじ込みました。




