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29話:呪いを解く方法は?

 わけも分からず子供の体になったかと思えば、3人の愛する女達によって、もみくちゃにされ、さらには幼い貞操を散々踏みにじられて……

 そうして一晩中、気が狂いそうになるほどの快感を与え続けられた俺は……

 翌朝、ギルド・フロンティアの酒場でオレンジジュースを飲んでいた。


「じゅずずぅ、ずごこここーっ」


「ネトレ君、コップの中には氷しかないよ?」


「私がおかわりを注いであげるー!」


「……んっ」


「かっわいー! ねぇねぇ、お姉さん達と一緒にトランプしない」


「やだ……」


「「「「「ええーっ!? そんなぁー!」」」」」


 そして俺を取り囲んでワイワイやっているのはアイ達……ではなく、フロンティアに所属するメンバーの女性達だ。

 子供が来る事が珍しいのか、さっきからみんなで甲斐甲斐しく、俺のお世話を焼いてくれているというわけなのだが。


「私のネトレ君なのにぃ……あのアバズレ共が……舐めてると、殺すよ?」


「大切な姉を差し置いて、そんな売女共と……!」


 一方、さっきまで子供となった俺を散々蹂躙尽くしていたアイとガティは、現在部屋の隅っこで正座をさせており、手には【私達は変態ショタコンです】と書かせたボードを握らせている。

 最初こそ不満の声を漏らしていた二人だが、反省したらポイントをやると言ったら、大人しく従ってくれたのだ。


「ネトレ君、シアンスカさんと付き合ってるってほんとー?」


「美少年と美少女のカップル……堪りませんなぁ」


「じゃあ将来は、シアンスカさんと結婚したネトレ君がギルドマスターになるのかな?」


「こーんな可愛い男の子がマスターなら、私達もーっと頑張っちゃう!」


 どうやら、ガキの頃の俺は相当に女受けが良かったと見える。

 さっきからギルドメンバー達は、ショタ化した俺にゾッコン状態だ。

 昔は修行漬けだったから、こういう事にはまるで気付かなかったんだよな。


「皆さん、何をやっているんですか? いつまでも遊んでいないで、依頼をこなしてきてください」


「……」


 しばらくして、シアンが建物の2階から降りてくる。

 その隣には、やはりというべきか。前に俺が出会った……例の爆乳美女が立っていた。


「ネトレちゃんと遊びたいなら、仕事を終えてからですよ」


「「「「はーい」」」」」


 シアンの命令で、メンバー達は渋々と言った様子でギルドを出ていく。

 そうして残されたのは、俺達と……酒場のマスターであるおばさんだけだ。


「なんだか、大事な話をするみたいだね。あたしも買い出しに行って外すとするよ」


 流石はギルド併設の酒場を切り盛りするだけの女将さんだ。

 残った俺達の空気をいち早く察して、席を外してくれた。


「ワッ……アレが……ダイルナなんだぁ。すっごく……おっぱい、大きい……ネ?」


「くっ……!」


 ダイルナを見て、端っこの変態どもが何やらリアクションをしているようだが、それは無視して……俺はシアンとダイルナへと向き直る。

 

「ネトレちゃん。えっと、この人が……」


「ごめんなさぁいっ!」


 シアンが話を切り出そうとした直後、ダイルナは勢いよくその場で土下座をする。

 それにより、ばよえーんとおっぱいが荒れ狂うように動き回り、まるでそこだけ、別の意思を持った生き物に見えた。


「私の勘違いで、何の罪も無いアナタに呪いを掛けてしまうなんてぇ……!」


「ネトレちゃん。ダイルナさんには、私が全て説明しました。私がアナタと真に愛し合っているという事や、アナタが生い立ちのせいで、勇者にはなれなかった事も」


「……そうか」


 一方の俺達も、ここに来る前にシアンからおおよその話を聞いていた。

 何かを誤解したダイルナが、シアンの処女を奪った俺に対して呪いを掛けた。

 この姿は恐らく、その呪いの副次的な作用なのだと。


「アナタの過去……聞いたわぁ。そんな辛い境遇のアナタに……私ぃ……うえぇぇぇん!」


「泣かないでください。それよりも、俺にどんな呪いを掛けたのかを話してほしいです」


 俺は懐からハンカチを取り出し、ダイルナへと差し出す。

 それを受け取った彼女は、涙を拭いながら話し始める。


「私が掛けた呪いは……存在消滅の呪いなのよぉ」


「存在消滅?」


「呪いを受けた者はどんどん若返り、縮んで……やがては無となり、完全に消滅してしまうのぉ……」


「「「えっ!?」」」


 アイ、ガティ、シアンが揃って間抜けな声を出す。

 まさか俺が、そこまで危険な状態だったとは夢にも思っていなかったのだろう。

 そうでもなきゃ、浴場であんな真似はしないだろうからな。


「そりゃまた、エグい呪いだな。でも、俺はこの姿から一向に変わらないぞ?」


「……それは私にも分からないわぁ。多分だけどぉ、アナタには呪術を退けるだけの強い抵抗力があるのかもしれないわねぇ」


「抵抗力? 神聖な加護とか、そういうものなら……聖剣を受け取れなかった俺には」


 聖剣を持つ勇者は、ありとあらゆる呪いや毒物に対する耐性を得る。

 まぁそれだけではなく、身体能力の著しい向上や、魔物特攻などの恩恵なども受けられるらしいが……今の俺には関係の無い話だ。


「呪術への耐性は、何も神聖なものとは限らないのよぉ。その人自身の強い精神力や高い精力によっては……呪いの効果が半減する事があるのぉ」


 強い精神力と高い精力。それって、確か……


「あっ、ダイルナのセックス相手の条件だ!」


「流石はネトレ。やはり常人とは違うな!」


「サンルーナで1番の呪術師であるダイルナさんの呪いを半減するとは……ネトレちゃんの精神力と精力は底なしですね。サキュバス、おったまげー」


 たまげている場合か、と突っ込みたくのを堪える一方で、ダイルナは複雑そうな顔で、両手をモジモジとさせていた。


「……そうねぇ。アナタが本来の姿に戻ればぁ、私とセックスをシても死なずに済むかもしれないわぁ」


「でも、アナタには想い人がいるんでしょう?」


「ええ、そうなのぉ。私……運命の人と出会っちゃってぇ。こんな汚れきった体だけどぉ、その人に見合う女になりたくてぇ」


 ポッと頬を染めつつ、ダイルナは恋する乙女の表情で俯く。

 これは……かなりゾッコンの様子だな。

 今まで散々男とヤってきたダイルナが、ここまで惚れ込むなんて……その想い人とやらは、かなりの良い男に違いない。

 きっとイケメンで、強く、優しく、何の弱点も無い、完璧人間なんだ。


「ダイルナさん。そんな事より、ネトレちゃんをネトレさんに戻す方法は無いんですか?」


「そんな事、と言われるのは悲しいけどぉ……そうねぇ。一度掛けた呪いは、術者にも簡単には解けないようになっているしぃ」


 うーんと、唸るダイルナ。なんとしてでも、解決策を思いついて欲しいものだが。


「可愛いネトレ君もいいけど、やっぱり私はネトレの大きいおチ○ポがいいなぁ」


「ああ。早く元に戻って、私の1番深いところを抉るように乱暴に突き上げ、中に大量に注ぎ込んで欲しいものだ」


「ネトレさんの大きなアレで、私達のアソコの形も変えられてしまいましたからね。今のネトレちゃん棒では、満足できそうにありません」


「お前らなぁ……」


 寝取りの力を悪用している俺が言うのもなんだが、セックスで相手を虜にする方法は極力控えた方がいいかもしれないな。

 これ以上、こんなピンク頭が増えたら、もう俺は本当に腹上死してしまう。


「あっ」


「ん? 何か思いつきましたか?」


 と、ここでダイルナが何かに気付いたような声を漏らす。

 それが解決策なら助かるが……


「……1つだけあるわぁ。確実に、ネトレ君を元に戻す方法……」


「それはなんです?」


「聖剣を使うのよぉ」


「……え?」


「勇者の聖剣を手に取れば、呪術による効果を消し去る事ができるんですものぉ」


 ダイルナの提案は、実にバカバカしい内容だった。

 聖剣なんて、ニセ勇者の烙印を押された俺が持っているはずもない。

 それにあのクソッタレ聖剣は、本物の勇者となったヒイロが持っているんだからな。


「聖剣って言っても、どこにあるのか分からないよぉ」


「ああ、ヒイロ達がどこを旅しているかさえ……」


「……ダイルナさん!? まさか!?


 アイとガティが弱音を吐く中、シアンだけが何かに気付いた様子だった。

 そして、彼女の声に応えるように……ダイルナは静かに頷く。


「ええ、そうよぉ。私がネトレ君に呪いを掛ける原因の1つにもなった……勇者嫌い。その発端となったのは昨日の朝」


「……え? という事はつまり?」


「私は……この街で会ったのよぉ。本物の勇者……ヒイロ一行にねぇ」


「っ!!」


 ドクンっと、心臓が大きく音を立てる。

 あのヒイロが……そして、俺を裏切った3人の元仲間達がこの街にいる?

 

「だからぁ、連中がいなくなる前にぃ……急いで聖剣に触れなければならないわぁ」


「……おもしれぇ」


 いずれ復讐を果たす相手――ゾーア、グアラ、ヘダ。

 そして――1番憎むべき存在、聖剣の女神ルラン。


「久しぶりに、懐かしい仲間達に会えるとはね」


 俺の運命を捻じ曲げたクズ共。

 今お前らはどんな顔で、どんな風に過ごしているのか。

 この俺に、見せてくれよ。

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