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寝取りの才能だけで勇者になれますか?~はい。堕とした美少女達が大活躍します~  作者: T-愛坂
第一章【呼び覚ませ。寝取りの才能】
3/57

2話:さぁ、世界を寝取りに行こうか

 脱走を決意してから数日後。

 俺に転機が訪れたのは、真夜中の事であった。


「やっと見つけた」


「んっ?」


 見張り番すらサボっていなくなり、静寂だけが包み込んでいた地下牢。

 そこに、こんな薄汚い場所とは不釣り合いの……可愛らしい少女の声が響く。


「誰かいるのか?」


「……うん。ここにいる」


 俺が声を掛けると、スゥッと暗がりの中から一人の少女が姿を現す。

 青色の髪を首元で切り揃えているかなりの美人。特に、闇夜の中でもギラリと輝く真紅の瞳は……まるで吸い込まれそうな魅力を秘めている。


「……アナタが、ネトレ・チャラオ?」


「ああ。そうだよ」


 綺麗な顔をしているのに、まるで人形のような無表情で話す少女。

 俺はなんとなくだが、彼女の正体に察しが付いていた。


「もしかしてお前は、俺を殺しに来た……魔族か?」


「っ!」


 少女の顔に初めて、驚愕の色が浮かぶ。

 しかしすぐに元の無表情に戻ると、彼女は小さくコクリと頷いた。


「そう。でも、どうして分かったの?」


「そりゃあ、こんな場所に全裸で来る人間はいないよ」


 彼女が人間ではないと気付いた理由。

 それは彼女が衣服を一切身に纏っていない、すっぽんぽんだったからだ。

 たゆんたゆんと大きな胸を惜しみもなく揺らし、女の子の大切な場所まで、それはもうハッキリと見えてしまうほどに。


「……それは失念していた。これで、大丈夫?」


 少女がそう呟いた瞬間、彼女の肌がぐにゅりと波打ち……みるみる内に冒険者のような服装へと変化していく。

 一瞬しか見えなかったが、今のはまさか――


「お前はスライムなのか。喋れるスライムなんて、初めて見たよ」


「当然。私は、勇者ネトレを殺す為だけに魔王様に生み出された……特殊な暗殺用スライム」


「勇者ネトレを……? ぷっ、くくくっ……! はははははっ!」


 得意げに右手でVサインをしてみせるスライム少女。

 俺はそんな彼女の姿を見て、思わず爆笑してしまった。


「……なぜ、笑うの?」


「ははははっ……笑うしかないさ。だって、お前が生まれた意味である【勇者】ネトレなんて、この世界に存在しないんだから」


「え?」


 俺の返事を聞いたスライム少女は、キョトンとした顔で目をパチクリさせる。

 無理もない。彼女はまだ、真実を知らないのだから。


「教えてやるよ。お前が殺すべきはずのターゲットが、殺す価値も無い上に……少し待てば勝手に処刑されるという事を」


「……聞かせて」


 そして俺は、スライム少女に語る。

 俺の母親が犯した罪。そしてその結果、どうなってしまったのか。

 何も包み隠さず、それら全てを。


「……というわけで。俺を殺しても、【勇者】ネトレを殺した事にはならないってわけさ」


「……」


 スライム少女は俺の話を黙って聞いていた。

 そして、ほんの少しの沈黙の後……唐突に、こんな事を言い始めた。


「どうしよう」


「は?」


「私は魔王様に、勇者ネトレを殺せとしか言われていない。だから、勇者でないアナタを殺す意味は無いし……この後、どうすればいいかも分からない」


 俯き、悲しそうに呟くスライム少女。

 なるほど。まだ生まれたばかりの彼女は、自分の意思というものが希薄なんだ。

 だとすれば……これは千載一遇のチャンスかもしれない。


「それなら、俺と取引しないか?」


「……取引?」


 俺は頭をフル回転させ、自らの目的へと近付ける為のルートを考える。

 どう話し、どう言葉にして、どう導けば、彼女は俺に乗ってくるのか。

 これは俺にとって、初めての挑戦。

 魔王の支配下にあるスライム少女を奪えるかどうか……言うなれば寝取り勝負だ。


「よく考えてみろ。お前の存在意義、果たすべき目標は【勇者】になった俺を殺す事だろ?」


「うん」


「だったら、俺がこのまま処刑されれば……お前の目標は永遠に叶わなくなる」


「それは……困る」


「じゃあ話は簡単だ。お前が目標を叶えるには、まずは俺を本物の勇者にすればいい」


 慎重に言葉を選ぶんだ。

信感を与えないように優しい微笑を浮かべながら、柔らかな声色で語りかけろ。

 相手の心を少しずつ、確実にこちらへと靡かせる為に。


「本物の、勇者?」


「よく考えてみろよ。最初に誕生した勇者は、勇者の血筋を引いちゃいない。そいつ自身の力で、勇者と呼ばれるようになったわけだ」


「……確かに」


「だから勇者の血筋ではない俺にも、勇者になれる可能性がある。仮にそれが実現すれば、お前はめでたく……本物の勇者になったネトレを殺せる」


「あっ!」


 俺の話したロジックに気付き、スライム少女の顔にほんの少し喜びの色が混じる。

 さて、問題はここからだが……


「じゃあ今すぐ、勇者になって」


「それは無理だ。勇者になるには、それなりの偉業を成し遂げて、人々に認められないといけないからな」


「……むぅ。じゃあ、それまで待つ」


 頬を膨らませ、不満げに眉間にシワを寄せるスライム少女。

 攻めるなら、ここが勝負どころだな。


「でも、このままじゃ俺……処刑されちゃうんだよ」


「だったら、私が救い出してあげる」


「脱走しても、俺は弱いからな。勇者になる前に野垂れ死ぬかも」


「そうはさせない。私が傍にいて、貴方が勇者になるまで守る」


「……ワーオ」


 まさかここまで、俺の思い通りの展開に動くなんて。

 まだ生まれたてのスライムが相手だから、というのが大きいのだろうが。

 いずれにせよ、これで俺は……まず一つ目の手駒を手にした。


「ふーん? でもさ、申し訳ないんだけど……俺、勇者になるつもりは無いよ」


「え? どうして?」


「今回の一件で勇者が嫌いになったし。やる気もなんか出ないし」


「……そんなこと、言わないで」


 スライム少女が鉄格子を両手で掴み、俺に向かって懇願してくる。

 牢屋の内と外。いつの間にか立場が逆転している事に……彼女は気付いていない。


「じゃあさ、俺の目標にも協力してくれよ」


「……目標?」


「俺をコケにしたあの聖剣の女神。俺を裏切った仲間達。俺を殺そうとしているクソッタレな国……その何もかもに、俺は復讐したい」


「それに協力すれば……勇者になってくれる?」


「ああ。考えてやるよ」


「分かった。なら、協力する」


 他に選択肢が無い以上、スライム少女はそう答えるしかない。

 ここまで来ればもはや、彼女は俺の言いなりである。


「じゃあ、まずは……牢屋から、出せばいいの?」


「いや、それは後だ。脱走する前に、堕としておきたい人がいる」


 勇者ではない俺に残された……世界を変える為に必要な才能。


「だからお前には、俺の修行を手伝って貰う」


「……なんでも言って。どんな事でもする」


「そうか。じゃあ、遠慮なく言わせて貰うぞ」


 どんな女でも籠絡し、俺の虜にする【寝取り】の力を手に入れる為に。

 やるべき事は――たった一つ。


「今から俺とセックスしろ」


 ここが全ての始まり。俺の復讐のスタートライン。

 さぁ、世界を【寝取り】に行こうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが楽しみです! ガティさんはいい人みたいだけと、くっころさんにしちゃうのかな?
[一言] 何故だ…? 【寝取り】は嫌いなハズなのに、この主人公…気になる……!! これからも頑張ってください!\(^o^)/
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