12話:修羅場を越えて、新たな旅立ちへ
「というわけで、これから俺達はパーティとなる」
地下牢から逃れ、新たにガティという美少女を寝取った俺だったが……
「ほう……? この女が、お前の協力者か」
「あっ、クソみたいな人間の恋人だった騎士だ」
ガティを連れて、アイとの待ち合わせ場所である街道へと到着。
そこでアイとガティが初めて顔を合わせた際の、第一声がこれである。
「違う。恋人ではなく、ただの婚約者だ」
「それって、恋人と何が違うの?」
「……っ」
真顔で首を傾げるアイを見て、ガティのこめかみに血管が浮かび上がっていく。
アイの奴、悪気は無いんだろうけど、いかんせん俺以外の相手に容赦がなさすぎる。
「んっ? 待て、お前……何か妙だな。人間……ではない?」
「えっ!?」
「そうか、貴様は魔族だな? 私の目は誤魔化せんぞ!」
歴戦の騎士の直感が働いたのか、一瞬にしてアイが人間ではないと見抜くガティ。
やはり俺の師匠は、只者ではないな。
「どうして、分かったの?」
「当然だ。そんな化け物のようなおっぱ……スタイル。人間には真似できないものだ」
おいおい、そんな理由で見抜いたのかよ。
「くっ!? なかなか、やる……!」
いやいや、お前もそんなにショックを受ける事じゃないだろ。
「どういう事だネトレ? なぜお前が、魔族と……」
「ああ、その辺りには深い理由がありまして」
そこで俺はガティに、アイとの間に起きた経緯を話す。
彼女は勇者である俺を殺す為に生み出され、今は俺に寝取られて、こうして復讐に手を貸しているのだと。
「……そうか。お前も、悲しい宿命を背負っているのだな」
「うん。でも、今は全然悲しくないよ。だって、大好きなネトレと一緒にいられるもん」
そう言いながら、アイは俺に胸を押し付けるようにして抱きついてくる。
ぶにぶにとしたその柔らかな感触は、ガティとの行為中には味わえなかったものだ。
「しかし……納得いかん」
「ガティ。確かに俺達は、今まで魔族と戦ってきましたけど……勇者じゃない俺からすれば、どちらも俺を殺そうとする敵です」
昔は魔王を倒し、魔族を滅ぼすという使命があった。
しかし、今の俺には……そんな使命はもはやどうでもいい。
「アイは良い子です。だから俺は、魔族とか関係なく……この子と一緒にいたい」
「ネトレ……! ああもう大好きっ! ちゅぅーっ!」
久しぶりに、俺の頬へキスの嵐を浴びせてくるアイ。
そんな彼女の様子を見て、ガティは怒りに満ちた表情で、声を荒らげた。
「私は彼女が魔族であるとか! そういう事を言っているんじゃないっ!」
「っ!? じゃ、じゃあ何を……?」
「決まっているだろう!? 私はまだネトレと10回しかエッチをしていないのに! その子とはもう20回もしているそうじゃないか!」
「……は?」
「当然でしょ。私の方が、先に……ネトレとエッチしたから」
「ずるい、ずるいずるいずるいぃぃぃぃっ! 私も20回したいっ! もっといっぱいしたいぃぃぃっ!」
ガティはその場で仰向けに寝転がると、まるでおもちゃをねだる子供のように両手両足をバタつかせる。
何度でも言うが。これがつい先日まで、人類最大のエクリプス王国の騎士団において、二番隊副隊長を務めた女騎士。
そして、俺の初恋の人である。
「……今夜、いっぱいしてあげるから機嫌を直してください」
「……10回してくれる? おっぱいも虐めてくれる?」
「はい」
「私の穴という穴に、お前の精を注ぎ込んでくれる?」
「それはもうたっぷりと」
「フッ……そうか。ならば、問題は無いな」
その体勢のままキリッとしないでください。
温度差で風邪を引いてしまいそうなので。
「むぅーっ! むむぅ、ふむむむむぅーっ!」
しかし、ガティが機嫌を直せば、今度はアイがむくれる番である。
同時に二人の美少女から深く愛されるのは嬉しいが……これはこれで、色々と大変だ。
「二人共、そういう話は後にしてくれ、今はそれよりも、大事な話がある」
俺は涙目で睨んでくるアイの頭を右手で撫で回しながら、残った左手でガティを引っ張り起こす。
「俺の目標は大きく分けて二つある。一つ目は俺を見限った元仲間達と、俺をコケにしやがった聖剣の女神をぶっ潰す事だ」
「あの儀式の際、私はいなかったが……酷い話だ」
「本当にムカつく。そんな聖剣、重りを付けて肥溜めに沈めてやる……!」
「だが、連中への復讐は後回しだ。ただ地獄に堕としてやる前に、まずは連中の留守中に……エクリプス王国をぶっ潰す」
あのクソ聖剣は言った。俺には寝取りとチ○ポのサイズくらいしか取り柄が無いと。
そんな俺が世界屈指の大国を陥落させたという事実を見せつけてやるんだ。。
「その力を溜める為に、今から俺達は国境を越えてサンルーナへと向かう」
「力を溜める、と簡単に言うが。何か具体的な策はあるのか?」
「ええ。いくつか策を練っています。例えば、どこかのギルドをまとめて乗っ取るとか」
「ギルドを乗っ取る? そんな事……出来るの?」
「ああ。ギルドマスターが女なら、俺が……」
「「ぷくぅーっ!!」
俺が何を言いたいのか、すぐに理解したのだろう。
アイとガティが二人並んで、頬をリスのように膨らませている。
「ネトレ、他の案は無いの!?」
「もしくは……サンルーナの皇族か貴族に取り入って、国をまるごと乗っ取るとか」
「王族か貴族に取り入る? どうやってそんな事を?」
「そりゃあ、貴族の令嬢とかを俺のアソコで堕として……」
「「ぷっくぅーっ!!」」
「……そんなにむくれても、可愛いだけだぞ?」
「えへへへっ! ネトレに褒められると嬉しいー! ちゅぅーっ!」
「あっ、こら! ネトレは私を褒めたんだ! チューするのは私だ!」
「あいたたたたっ!? 引っ張るなって!」
俺の右腕にしがみつき、右頬にキスをするアイ。
反対に、俺の左腕にしがみつき、左頬にキスをするガティ。
「ネトレ、今夜はいっぱい、おっぱいで挟んであげるからね」
「な、ならば私は……この鍛え抜かれた尻を使って……!」
「だったら私もお尻を使うもん!」
「抜かせ! そんな貧相な尻で、ネトレの巨根を包み込めるものか!」
「べぇーっ! スライムの体は好きにスタイルを変えられるんだから!」
「なっ!? 卑怯だぞっ!」
「はぁ……こんなんで、無事にサンルーナまでたどり着けるのか」
今にも体が真っ二つに引き裂かれそうな痛みに耐えつつ、俺は頭だけ振り返り……後方の城下町。そして、エクリプスの王城へと視線を飛ばす。
「……クソッタレな王様。そして、俺を裏切ってくれた姫様よ」
ほんの少し前までは、信頼出来る仲間達と共に、この国を勇者として旅立つ予定だった。
そして無事に魔王を倒し、みんなに歓迎されながら帰還する。
そんな未来は――もう二度と訪れない。
「覚悟しとけ。次に戻る時は、この国ごとお前らを滅ぼす時だ」
決意の一歩は、新たな仲間……いや、愛する二人の女性と共に始める。
俺を否定した世界を覆す為に。俺をコケにした全ての者に復讐する為に。
俺はこれからも、寝取って、寝取って、寝取りまくってやるんだ!




