79・シヤマムだけが順調に育ってるか分からない
ピッピがすくすくと育ってそろそろ花を咲かせそうだ。
ピヤパもすくすくと育って除草が行われている。
アピオの植え付けも終わり、そろそろ蔓が伸びてきている。
シヤマムは間断灌水を始めているが、多少青々とした気はするが、大きく変わったようには見えない。枯れて無いんだから活着したのは確かだが、これ、本当に育つの?
「お、嬢ちゃん、クフモから持って帰った餅の栽培大変そうだな。これ、本当に実がなるのか?」
ルヤンペがやってきて心配そうにシヤマムを見る。正直、俺も心配で仕方ない。
「分からない。気温が低い分育ちが悪いのだろう」
そういうと、納得している様だ。
「まあ、これから気温も上がるからもうすぐ伸びて来るだろうよ。それはそうと、これから弓を届けてくる。水門の工事もそろそろ石積みが終わって本体の工事だ。水門は急いでもまともなもんは出来ねぇが、弓はホンデノを急かしてあと40はどうにかなりそうだ」
まだ40も作るという話に驚いた。一体今年は何頭熊が出ると見込んでるんだ?
「まあ、確かに驚くよな。あんなもんを短期間であと40も作れってのは酷な話だが、時間がねぇみたいだからな、出来るだけ数があった方が良いんだ」
きっと森の民が見積もった話だろうから間違いは無いと思うが、ここまでくると熊退治というより戦争でも仕掛けるみたいな話に聞こえる。
ダブついていた武器や盾もヘンナのために医師団を送ってくれた兄へのお礼として渡したし、クフモでも不足気味だというから武器の生産も一部行っている。
ただ、ナンガデッキョンナーの鍛冶工房の最優先製品はクフモへ派遣した牛に曳かせる犂や円盤馬鍬だ。
ムホスやクフモ、二か所の船溜まりに大型のクレーンを設置して犂や馬鍬の陸揚げを行える設備も整えた。水門の搬入にも利用するから無駄にはならない。
そのおかげで今年は辺境でも随分春の耕起が楽になったとカヤーニから報告が来ている。アマムの種蒔きに播種機も導入しているから、その分、人手を水門づくりに投入できているという話だった。
「カヤーニに伝えておいてくれ、事が起きれば僕も行く」
そう、やはり、熊退治なら経験者が居た方が良いだろう。
「おお、さすがだな。分かった。クフモの連中も気合を入れて訓練に励んでくれるだろうな。嬢ちゃんも本格的にやっておけよ」
ルヤンペはそう言って喜んで港へと向かったようだ。
ヘンナだが、もう、いつ生まれてもおかしくないらしく、屋敷の周りを歩くくらいしか運動もしていない。本人は体が訛ると文句を言っているが、仕方がないじゃないか。子供が生まれてしばらくすれば、また鍛えなおせばいいと言っているが、納得いかないらしい。
そんなことをしているうちに、ヘンナが産気づいたと周りが大慌てになり出した。俺も何かできないかと思ったが、ケッコナに何もしなくて良いと言われてしまった。
「ウルホは男の子と女の子、どっちが良い?」
ケッコナがヘンナの側に行こうとする俺を連れて行ったのはイアンバヌの所だった。どうやらイアンバヌもやる事が無いらしく、俺にそんなことを聞いて来た。
「どちらでも元気に生まれて来てくれれば良い」
俺がそう言うと、少し困った顔をした。
「でも、男と女で将来の事が変わるよ?」
そう言えばそうかとあらためて思った。前世で結婚していないのでよく分からないが、貴族なのだから、男なら俺の後を継ぐわけだし、女だとどこかへ嫁がせることになる。そう言う話は理解はしているが、まるで実感が無いのが本音だ。
「男なら僕の後を継ぐ。女なら、どうしたら良いだろうか」
イアンバヌに聞いてみた。
「後を継ぐだけで良いの?ヘンナの子だから、縁辺公だけじゃなく、侯爵もじゃないのかな?カルヤラ王も良いかもしれないね。女だとすぐには決められないかな。ヘンナや私みたいに鍛えるのも手かもしれない」
イアンバヌはそう言うが、真剣に言っている訳ではないらしい。
「ちなみに、私の子は、ルヤンペの養子に出してほしい。ガイニの長になる前、色々あってルヤンペには子が居ないから。でも、二人目以降はどうしようかな」
勝手に自分の子供の将来を決めている。が、確かにルヤンペに子供が居ないから、養子というのはアリかもしれない。俺みたいに何人も兄弟が居て跡目争いされるくらいなら、そう言う選択もありだと思った。
「なるほど、それは考えておこう」
そうなると、ケッコナの場合はどうすればいいのだろうか?
「ケッコナはどうすればいいだろうか」
イアンバヌに聞いてみることにした。
「ケッコナに子が出来たら、まずは森のどこかの部族へ養子か嫁に出すのが良いかな。ケッコナとウルホの考え次第だよ。ホッコやケッコイなら反対する事は無いと思うから。でも、それよりも、ヘンナの産む子が男か女かだよ」
やはり、まずはヘンナの子供が男か女か、それが重要だと締めくくられたわけだが俺はどちらでも良いと思う。
そもそも、俺の年齢で子供が出来るって、前世だと生活に困るほどの大問題だしな。生活に困らないだけ十分恵まれていると思う。ってか、3人も嫁が居るのがおかしいんだが、縁辺公という立場だから許される話でもあるよね。ナンションナーで上がる収益はコークスの販売に干物や乾麺。ほんの一年前には考えられなかったほど発展してる。後はのんびりこの市場を維持していくだけで俺は満足なんだがなぁ~
そんな話をしていると、産まれたと知らせが来た。
とうとうヘンナの出産です。
が、未だにどちらにしようか迷ってます。
男だった場合、兄王はどんな反応するんだろう?そこがイマイチよく分かっていない。女だった場合、兄王だったら、自身の子供の妃に迎えるとか言い出しそうなんだが、じゃあ、男だったら?
そこんところがいまいちよく分からないので未だに迷ってる。




