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158・会ってはいけない二人を合わせてしまったらしい

 それからしばらく境界領を視察した。


 木々や林は少なく、草原ばかりが広がっており、なるほど、下手に開墾すれば言った通りの事態になる事が分かる光景だった。


 多少の改善策として防風林の設置による砂嵐対策も考えてはみたが、果たしてどこまで有効策となるか分からない。


 そんな事を考えている間に耕起が終りイモの植え付けと進んでいった。


 マイシィ用の播種機は一応持ち込んではいるが、試験栽培程度になる。ここの気候で果たして育つのか確証が無いからな。


 そんな事をしていると、王都で騎士団の編成について騎士とあれやこれやとやっていたアホが領都へとやって来た。


 きっと騎士は大変だっただろうな。未だ存在もしない海兵隊なる組織の話を聞かされ、ソレを作れとか言われたんではないだろうか。


 ホバークラフトが無いのは当然として、銃やゴムボートすらないのにどうする気なんだろうな?


 普通に軽装で船の扱いに慣れた騎士団と言った程度で良いと思うのだが。


 などと考えているうちにやって来た。


「公。どうですか?境界領は」


 などと聞いてくるので、カルヤラよりも降雨量が少なそうで農業には細心の注意が必要な土地柄だという事を説明した。


「そうですか。やはり、牧畜を主とした方が良いんでしょうかね。一応、ジャガイモと雑穀?は可能なんでしょう?トウモロコシは気象データも無いですから、さすがに公にも判断できませんか。試験栽培の結果次第ですね。出来ればポップコーン主体が良いです」


 などと、個人的な欲望を口にしている。


「あれは祭祀用の食べ物ではなかったか。粉として使えないからフェンやパン、パンムの原料には向かない。膨らせてあるからカサはあるように見えるが、実際の実はごく僅かでしかない。通常のマイシィでなければ食料には向かない」


 そう指摘してやったが、納得出来てはいないらしい。


「ジャガイモはフリッツと言って、ベルギーでは揚げ物が主食みたいなものですよ?だったら、ポップコーンも可能じゃないですか?」


 知らんがな。


「試してみるのは良いだろう。だが、広がるとは思えん。それより、ピッピをもっと育ててみるのはどうだ?」


 境界領では人口に対する耕地面積自体はまあ、不足してはいないので、輪作を行ってベルナやマイシィの連作障害を回避する事は可能だろう。


 ただ、不足はないが、輪作を大規模に出来るほどの開墾には危険性が付きまとうため、連作が可能なピッピを勧めてみた。


「ソバですか?でも、蕎麦って縁辺の乾麺があるじゃないですか。ここで乾麺造ってもアレには勝てませんし、何より、香川県じゃないんで、麺類毎日食べるのは勘弁してほしいです」


 と、嫌な顔をしている。


「ピッピはもともと、むき実を粥にして食べる。境界領ならばヤギ乳で煮込んだ粥ならば飽きがこないと思うのだが」


 と、提案した。


 なにせ、境界領は食材豊富とは言えないので食のレパートリーが少ない。


 そこで、飽きの来ない食べ物はないかと考えた結果、カーシャなら良いんじゃねぇ?と、まあ、そんな手軽なところに落ち着いたのである。


「旦那様。あのピッピのお粥は美味しいですよ。王都のような贅沢は出来ませんので、飽きが来ずに毎日でも食べられるものとなると、イモより手軽で油も使わないピッピの粥は境界領に向いていると思います」


 どうやら幼女にヘルシーだと言ったら乗ってくれたらしい。


「そう?ヘルヴィーが良いって言うなら、そうしても良いかな」


 うん、コイツ、幼女の意見なら簡単に受け入れるらしいな。


「辺境北部の様に同じ畑で2度収穫は難しいかもしれないが、ベルナやマイシィは連作障害を避けるために作付け間隔が数年単位で期間を必要とするはずだ。休耕地が多くなりすぎるので、時期をずらしてピッピを播けば、夏と秋の二回収穫も夢ではない」


 聞いた気候からすると、二期作は何とか可能。ただし、夏の収穫時期と播種時期がほぼ重なりそうだった。

 なので、夏に播く時期を確保するため、春播き、夏播きで畑を分ける必要がありそうだ。


 と、そんな話をしていると俺に来客だという。


「ウルホ、久しぶりじゃないか」


 いつものように顎に手をかけるな変態。


「ホッコが伝令か?」


 そう、声を掛けると、そうだという。


「ああ、そんな事もやる事になった。それで、いつから戦を始めるんだ?」


 話ながら顔を近づけるな。


「それを決めるのは、そこの指揮官だ。僕ではない」


 そう言うと、ようやく存在に気が付いたようにアホに向き直る変態。


「境界伯のユッカだったか?」


 まあ、かなりぞんざいだ。


「ユッカ・アホカイネン。境界伯です。えっと?」


 おい、なんだその憧れの俳優に会ったような顔は。間違ってもそんな上等な奴じゃないぞ、その変態は。


「森の民、ケッコナン族のホッコだ」


 そう言って綺麗な礼をする。


「ところで、御息女で?」


 礼をしたのは幼女にだがな。見境ないな、この変態。


「ヘルビー・アホカイネン。境界伯の妻です」


 変態が固まった。なぜか俺を見てくるので頷いた。


「失礼ですが・・・」


 そして、俺やヘンナより年上と聞いて二度見している。おい、胸張ってどうしたんだ?アホよ。


「合法ロリです。森の民どの。縁辺公の様な男の娘、ヘンナ殿のような演劇の男役。イアンバヌ殿のようなアニメヒロインに、ケッコナ殿のようなスーパーモデルと、世の中には美女が多いですが、合法ロリと言う背徳感のあるこの唯一無二の輝き・・・・・・」


 などと、アホが供述しており・・・


「あ、でも、ホッコ殿なら衆道もありかもしれませんね。ウケですかセメですか?」


 などと、更に暴走しだす。


「いや、俺はそう言う趣味は・・・・・・」


 どうした元祖変態。アホの圧に負けているではないか。


「でも、公はアリでしょう?」


 そう言われて、窮する変態。


「確かに、男の娘は魅力的ですが、愛でるだけに抑えておいた方が良いですよ?」


 いや、お前、衆道とか言っておいてそれはないんじゃねぇ?


「そうだろう?愛でる事の出来る存在なんだ。ウルホは。森の民は美男美女が多くてな。ウルホのような存在が目の保養なんだ」


 めまいがしてくる会話を続ける変態ズ。


「ところで、ホッコ殿。シュードーや男の娘は置いておいて、開戦時期は神盾兵団の出兵準備が整ってからですので、農作業が終る10日程度先になります」


 と、幼女が空気を読んで話を断ち切ってくれた。


「10日?えらく準備に時間がかからないな」


 変態も仕事モードに切り替わった。はえーな。


「準備自体は冬のうちに指示しておりましたので、初夏の作付けが終ればいつでも開戦可能なように整えております」


 未だに変態にトリップ気味のアホをよそに話が進む。


 もうさ、指揮官も幼女でよくないか?


「基本的な作戦案は公が練っておられます!」


 戻って来たと思ったらこっちに丸投げしやがった。


「基本的には屋敷で話した通りだ。騎士と調整は済んでいるのだろう?」


 平静を装ってそうアホに返す。


「もちろんです!あとは、騎兵団と調整するだけです」


 不安しかないが、兄が付けた騎士だ。上手くやってくれるだろう。


「まかせろ。シッポは抑えておく」


 いや、元祖変態(ホッコ)本家変態(シッポ)で違いがあるようには見受けられん。抑えるのは手綱を握るケッコイとミンナだろう。チラッとヘンナを見ると微笑まれた。怖い・・・


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