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143・難航していたので助言する事にした

 パワードスーツの開発が難航する中、乾麺作りは順調に進んでいる。


 今年はこれまでのラインナップに加えてトウモロコシ麺が追加されるので大忙しになっている。


 と言っても、今のところ試作や域内用の一般的な乾麺製造がメインで、極寒を利用した高級乾麺製造には時期が早い。


「マイシィのフェンはどんな状態だ?」


 すでに麺づくりも回を重ねて作り手も慣れてきている。そこに新たな刺激として、トウモロコシを持ちこんだわけだ。


「粉にするまでの工程が手間な事を除けば一緒ですよ。ただ、これからの季節は管理が大変になりそうですが」


 そう、アルカリで煮込んで一日寝かすという独特な工程が必要なマイシィにはこれからの季節、寝かしているのか凍らせているのか分からない状態になりかねない。


 たしか、硬粒種のやり方は数時間で良かったかもしれないという記憶がないでもないが、その辺りが曖昧な上に、マイシィが見た目同様にトウモロコシそのままかどうかも良く分かっていない。


 その辺りの事もあるので安全のために1日漬け置くというルールは変えないでいる。


「うわ、トウモロコシもあるんですね!」


 そう言って現れたのはアホカイネンだ。


 どうやら今日はモルモットではないらしい。


「マイシィだ。本来は飼料なのだが、こうやって漬け置きすれば食用にもできる」


 硬粒種であることがイマイチ理解できていないアホはその言葉に首を捻る。


「トウモロコシなら生でもイケるはずでしょ?ここのは違うんですか?」


 そんな事を言うのでマイシィについて説明してみた。


 もちろん、硬粒種でも収穫方法が変わる訳ではない。


「え?枯れ色になるまで放っておくんですか。その前に採れば良いんじゃないですか?」


 多分それでは未熟なだけになるんではなかろうか。品種が違うので美味しくもないし、下手をすると食えたもんじゃない。


「そうですか。そう言う品種なんですね」


 どうやら焼きトウモロコシなどを食いたかったらしいが、そう言う事をやるのはスイートコーンだ。硬粒種でやる話ではない。


「ひき割を粥にして食べる事は出来る。パンムでも良いし、蒸してシヤマムの様な食べ方も可能だ」


 そう言うと、シヤマムがよく分からなかったらしいく首を捻っていたが、思い出したらしい。


「ああ、あの、味のしないご飯か」


 そう、それだ。あまりにも味気ないヤツ。かと言って、どうやら例のカレーの葉は植生の問題で栽培環境が限定されているらしい。


 クフモ周辺でならよく見かけるが、北上してもないし、南下しても見る事が出来ない。


「シヤマムもキナを煮込めばよくなる」


 そう言うと、頷いている。


 ナンションナーでは最近、キナも持ち込んでおり、シヤマムを食べる時には一緒に煮込んでグリーンカレーであったり、黄色いよく知るカレーであったりの粥や炊き込み飯などの食べ物として出されることが多くなっている。

 とうとうナンションナーにもカレー文化がやって来た訳だ。


「あのカレーは良いですね。あと、甘酒もありましたね」


 どうやらすでに飲み食いしているらしい。


「ここは本当に、王都以上に豊かなところですね」 


 まあ、食のレパートリーという点では間違いなくそうだろう。


 カルヤラ、ガイナン、ケッコナンという三民族の食文化が集まっているのだから。 


 ニコニコしているのは良いが、肝心の仕事はどうなっているのだろう?


「ところで、パワードスーツというのはどうなっている?」


 そう聞いたところ、進展があまりないらしい。


「脚部に反発力を持たせようとしてるんですが、上手くいかないんですよね。荷物を背負うと重さを直に受けてしまって歩けませんし・・・・・・」


 まあ、完全に行き詰まりといった具合らしい。


 具体的にどうというのは良く分からないのだが、前世で特殊なモノを見た事がある。


 身体障碍者が失った脚の替わりを装着するというのはテレビなどでもよくある話だが、実は骨折の場合でもその様な物が造られることがある。


 大腿骨に病気を抱えた事のある友人がパワードスーツの脚部のような不思議な器具を持っているのを見せてくれたことがある。


 長期間歩けない状態であったらしいが、骨がある程度再生した段階で作られたのがその歩行用の器具らしい。


 パワードスーツ同様に一本の支柱が伸び、脚の裏にあまり体重が掛からないようになっていた。


 では、どこで体重を受けるのかと思ったら、大腿部のカバーで大腿部を包んで、筋肉と骨盤で受ける構造なのだという。


 当人はそれなしで歩けるように回復していたが、あまり見ないその器具が少々お気に入りらしかった。


 その器具にはモーターやバネは付いてはいない。動かすのはもっぱら筋肉であり、あくまで体重を支えるだけだったと記憶している。



「とにかく外部の力を利用して動かそうという発想を止めてみてはどうだ?老人が杖をついて歩いているが、それは脚にかかる負担を減らすだけで脚を腕の力で動かしている訳ではないだろう?」


 どうにもアホの話を聞いているとアシスト型パワードスーツとサポート型パワードスーツの違いを理解できているようには思えなかった。


 もし、最終的にバネを用いたアシスト機能を求めるにしても、まずは重量を分散するサポート型を作ってみれば良いのではないかと提案してみた。


 たとえるならば、車いすを作るよりも杖を作る方が簡単ではないかという話だ。


「しかし公、それでは重い荷物が運べるだけで、弓やボーガンは撃てませんし、戦斧も振り回せませんよ?」


 そんな事を言ってくるので、いきなりコンバインが作れたわけではない話をした。


 まずは脱穀機と唐箕という基本的な道具を作り、それを組み合わせる工夫として、ハーベスターモドキへ進化し、その後に刈り取り部を作ってコンバインに至った。そんな話を簡単にまとめて説明した。


「なるほど。つまり、まずは杖の替わりになる様な補助装置を作ってみるところから始めるという訳ですね」


 ある意味でオトッチャマには無駄足させてしまったかもしれないが、なんらか得るモノがあれば良いのだが、開発はまだこれから、何かを作ってくれることだろう。


 アホカイネンは喜々として駆けて行っているが、本当に大丈夫なのだろうか。


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