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128・誘われたので山の民の街へと行って見ることにした

 王都での滞在を終えた俺たち一行はナンションナーへの帰途に就こうとしたのだが、新たに導入する農具の研修のために神盾兵団から人を出すというのでしばらく足止めされることになった。


「足止め?他所へ行って良いというのならば、一度東の造船所に行って見ないか」


 山の民の船長からそんな話を貰ったのでこの世界の造船所という物を見たくなったので二つ返事で行く事に決めた。


兄にちょっと東へ行ってくると伝えると唖然としていたが、その後には笑っていたから問題ないだろう。


 向かう先はカルヤラから対岸となるアシルという街なのだという。


「ナンガデッキョンナーの工房もスゲェが、アシルもそれに劣らない工房街だ」


 船長はそんな事を言いながら船へと俺たちを引き連れていく。


 船長の話によると山の民は元々ハルティ半島東方に居住していたらしいが、鉄の不足から新たな鉱山を求めて西へとやって来たのだという。


「今じゃガイナンは鉄の生産拠点で俺たちの頂点みたいなもんだが、元々はアシルがそうだった。交易や造船については今も拠点なんだがな」


 山の民は一つの国として成立している訳ではなく、地域ごと、部族ごとの独立性の高い勢力であるが、俺の知識で言えば連邦制のような国という事になるんだろうか。


 そして、アシルという街が造船が盛んという事で聞いてみた。


「これから行く周辺というのは、平野なのか?」


 歴史的にも造船が盛んな地域というのは得てして荒涼としている場合が多い。木造船を建造するために木々を伐採しまくった結果そうなるんだ。


「平野だな。ほぼ一面、畑か草原だ。あんたらを『草原の民』と言っていながら俺たちも草原に住んでるようなもんだ」


 船長はそう言って笑った。


「だが、最近じゃ石炭(コークス)なんてものが燃料として流通しだしたから伐採量は減っているな。おかげで山の小さな木々に手を付けることは無くなった」


 なるほど、こんな所にも縁辺からの影響が及んでいるのかと俺は感心した。


 そして、船での食事なんだが、やはり麺が主食化している。乾麺で日持ちがするという事から使われているらしいが、燃料と食糧が縁辺産とか、山の民はそれで良いのかと一瞬思ったが、自分が作り出した特産品に文句を言う気はもちろんない。


 船で過ごす事一日、陸が見えて来た。


 造船をやっているというだけあって海には船だらけな訳だが、街の光景にも息をのむ。


 俺の想像していた中世の造船所じゃない。個々のサイズはともかく、近代的な造船所じゃないか?コレ。


「スゲェだろ」


 船長が自慢するのも分かる光景だ。


「たしかに、ナンガデッキョンナーに劣らない工房群だ」


 そう言えるだけの光景が広がっていた。


「もともとこんなだったがな、ここ最近はほら、鉄の塔が林立するようになった。全て木だった頃より重量物が吊り上げられるそうだ」


 そう言って指を差すのはムホスに設置されたモノよりさらに大型のクレーンだった。


「ガイニで開発された鉄を用いてやれば潮風にも耐えるうえにその強度も格段に上がった。縁辺の港にあるソレを見た連中が造船に使えないかと知恵を絞った結果だ」


 そう言えば積み込み用にあったなと思ったが、それをいとも簡単に作り上げるとは、さすが山の民。


 山の民なのに海の民なのが混乱させられるが、そこは考えないでおこう。


 そして、説明された内容もすごかった。


「さすがに『カメアシ・ライケ』みたいな船は別だが、普通の商船ならあそこの工房で部品ごとに作って船台へ集めて作るんだ。あっという間に一隻の船が出来上がるぞ」


 などと説明された。


 確かに、そこには複数の船台といくつかドックのようなものまである。


「ん?あれか。あっちは船底の整備や修理に使う」


 確かに、新造船ではない事が分かる船がドック内にあるが、こんな近代設備としか思えないものがあるとは、まさにカルヤラ以上だな。



 上陸するとここの長だという人物に歓待され、屋敷へと案内された。


「ようこそ、縁辺公」

 

 イアンバヌがもうそろそろ出産だという話はこちらにも伝わっているようで、その話で盛り上がった。


 さて、山の民だから出される料理は麺料理か芋料理かと思ったが全く違った。


「これは?」


 器に山と盛られた白米?らしきモノがメインであるらしい。


「あ、そうですな。カルヤラではパンが主食でしたな。コレは同じくアマムから作るのですが、粗挽きの粉を練ったものを蒸し上げるんです。この方が腐りにくいですからな」


 との事だった。


 何だろう、クレープ状にする訳でもパンにする訳でもなく、粒が残った状態で蒸すのか。杵で搗けば餅みたいになるような気もするし、蒸しパンとか饅頭なんかも出来るんじゃないだろうか。


「よくご存じで。そうですな、縁辺では保存食にその様なものがありましたな。こちらでは乾燥させることはありませんが、アマムの粉で作った饅頭もありますよ」


 そう言って使用人に声を掛け、肉まんらしきモノを持ってこさせる。


「宴に出す料理ではありませんが、このようなものを日常食しております」


 それ、使用人のじゃないのか?貰って良いのか悩みはしたが、持ってこられたものを要らないとも言えず、受け取って食べてみたが、具は豚ではないようだったが、間違いなく肉まんだった。


  

 

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