崖の下の村長
喜田たちが森の方を捜索している。
「平井村長」
中川宏一は中々村長が見つからないことにやるせなさを感じる。
「なんで村長が見つからない。この森は村民の庭ではないのか」
「暗いから村民の庭でも発見は難しいでしょう」
宮川の言葉を聞き中川は彼の胸倉をつかむ。仲介に入ろうと喜田は彼らに近づいた。すると崖の下に人のようなものがあるのが見えた。
「崖下にいるのは村長かもしれません。あの崖にはどうすれば行けますか」
「案内する」
中川は喜田を案内する。宮川と塚本は二人の後を追う。彼らは崖を迂回して現場に行った。中川は懐中電灯で人らしい物を照らした。それは村長の遺体だった。その遺体は崖から落ちたようだった。喜田は脈をとったがすでに亡くなっている。
宮川は悔しそうに言った。
「なぜだ。なぜ村長はここで死なければならないのだ。」
この言葉に賛同するように塚本は呟く。
「かわいそうに。あの崖から落ちるなんて。」
塚本の言葉に対して喜田は反論した。
「塚本さん。これが事故だと思いますか。」
「そうでしょう。」
「いいえ。これは殺人事件です。警察を呼んだ方がいいでしょう。」
ざわついた空気が流れる。その空気を押し切り喜田は自己紹介をした。
「申し遅れました。警視庁刑事部参事官喜田と申します。」




