『67』 《終焉を告げる黄昏の城》 ~入り口~
私達は、お城の入り口があるところの近くにある森の中に転移した。薄暗くて何となく嫌な雰囲気が漂う森。
そのちょっと行った先に見える開けた場所が、多分お城の入り口なんだと思う。少し駆け足気味で、森の中を出ようとする。こういうところは出来るだけ居たくないから。何か出てきたら叫ぶよ。
虫系が出てきてたら………うん。散々叫んで倒れちゃうと思う。ラークさんも、この森の暗い雰囲気が嫌いなみたいで、2人で一緒に急いで出ていった。
ユーリさんはノロノロと森を見渡しながら歩いているから、待っているのも嫌なので置いていくことにした。よく、こんな不気味なところでノロノロと歩けるよね。こっちは怖くて怖くて仕方が無いのに。
「アイツ………何とも思わねぇのかよ………俺なんて怖くて股間がユルユルになってチビッたぞ」
「えっ…………!?臭っ____」
「嘘だからな!?チビッてもユルんでもいねぇからな!?勘違いするなよ!?」
「うん、そういうことにしておいてあげるよ」
「だから違うんだってば!!」
「静かにしろ。お前らが騒ぐと、森の声が聞こえなくなる………お前達も耳を傾けてみろ。この森の声を………うぅん、分かるぞ、分かる」
(面白いけど、洒落にならないくらいにイタイタしい………)
いきなり訳の分からないことを言い始めたユーリさんから逃げるように全速力で森から出た。この森の雰囲気よりも、ラークさんの訳の分からない行動の方が遥かに怖くなった。
何で森と会話を始めようとしているの?これから命懸けのクエストを行うのに、そんなことをしている余裕があると思っているのかな。
頭ぶっ飛び過ぎです。このタイミングで、ドン引きするような大ボケをかまさないでくれませんかね?ラークさんの顔が真っ青なんですけど。
人の顔が真っ青にさせるほどの大ボケをかまし続ける人と一緒にお城を攻略するなんて、不安しか無いよ。
はぁ~、今だけは………あのラークさんが凄いマトモな人に思えてくる。やばい、これだけは思いたくなかったけど。でも、あんなのを見せられたら………そう思わざるをえないですよ。
「はぁ……はぁ………もう既に疲れているんだけど」
「アイツのせいだ………絶対にアイツのせいだ………!!」
「フフ~ン♪フフ~ン♪今日の森は元気いっぱいですよ~♪」
「来んなよ。誰も呼んでねぇから」
(他人のフリ………他人のフリ………他人のフリ…………)
「な、何か………騒がしいのが来たな………」
森を抜ける頃には、私とラークさんは息を切らしていた。
後ろから鼻歌を歌いながらスキップしてくるユーリさんには、冷たい対応をしておいた。先に来ている人達全員から「何やってんだコイツら?」っていう目線で見られていた。
私とラークさんは何もしていない。やっている………というよりは、もうガッツリやらかしまくっているユーリさんのせいだよ。見るならユーリさんだけにしてほしい。
気付いたら、ユーリさんは素に戻っていた。森と会話していたのはどこ行っちゃったんだろうって思わせるような態度だった。いきなり素に戻って、その変わりのように頭の回転が一瞬止まる。
何で普通に振る舞えているの?どれだけ私とラークさんが引いていたか、察していないの?引いているの、私達だけじゃないんだよ?ここに居る人全員が引いているんだよ?
「ありゃ?何でこんな変な空気に?」
「お前のせいだよ。カス野郎」
「馬鹿すぎて笑えないレベルですよ」




