『60』 ご飯が出来るまで
ご飯が出来るまで、ラークさんと私はソファで座ってくつろいでいた。リビングには料理の良い香りで包まれていた。あんな見た目が衝撃的な物から、こんなにも良い香りが漂ってくるなんて、想像が出来ないよ。
ふにゃ~、この香り………何だか癒やされるね。食べ物の美味しそうな香りって、心を落ち着かせてくれる何かがあるよね。もしかしたら、私だけなのかもしれないけどね。
香りを楽しみながらスマホをポケットから取り出してゲームのアプリを開こうとしたら、ラークさんが私の足を指で突いてきた。
いきなり触られてビックリして、反射的にラークさんの顔をビンタしてしまった。
「おふぉっ!?…………殴ったね?ヘヘッ………」
「…………………………………………」
____バチンッ!!____
「ぶへっお!?2度もぶった………親父にもぶたれたことないのに!!…………イヒヒヒヒヒ」
(あの名言をパクったどころか、言った後に変な笑い方してるよ!!駄目だ、これ………私が損するだけだよ)
「やべぇ………割と気持ち良かったりするんですけど………?」
「えぇ~?じゃあ、俺も殴られてみてぇなぁ~?」
「2人とも気持ち悪っ!!てか、ユーリさんは料理に集中してください!!」
な、殴られたいって………どういうことですか!?そういうのを私みたいな子供に求めないでほしい!!嬉しそうに私に叩かれて紅く染まっている頬を撫でているラークさんを見て、何て言えばいいのか分からないよ。
全く………何で私が注意する立場にいるんだろう。年上に注意するっていう私の気持ちを考えてほしい。
凄い複雑な気持ちになるんだからね?あまり変なストレスかけないでくださいよ。この世界に暮らしていくということに全然慣れていないんだから、そこら辺をもう少し考えて行動してよね。
って、本人達に言っても聞いてくれない気がするんだよなぁ…………絶対に聞き流すんだよ。私の言葉なんて、漫才でいうツッコミみたいに思われているのかな?
だから、言う度にボケがどんどん酷くなっているのかな?ボケって言っても、素で言っている気がするから嫌なんだよね。
こんなやり取りになっちゃったのは、ラークさんが私の体に触ってきたことから始まったんだ。当たり前のように触ってくるから、こういうことを言ったりやったりしているのが、冗談だと思えないんだよ。
「なぁ、今度はケツに蹴り入れてくれねぇか?ビンタじゃ物足りねぇから」
「真顔でそんなことを頼まれても困る!!」
「なら、セクハラす_____」
_____チャキチャキン_____
「ラークさん、今から微塵切りにするから。歯ぁ食いしばってくださいね?」
「お、おい………お前のその表情での二刀流は洒落にならねぇぞ………」
「言うことあるでしょ?言うことあるでしょ!?」
「す、すみませんでしたぁぁ!!!!」
「よろしい」
何か、とんでもないことを言い出しそうだったので、ソファに立て掛けておいた『ぺいん・ばるきゅりあ』の方も素早く構えて、ラークさんの顔に突き付けた。
顔に突き付けたら、すぐに土下座をして謝ってきた。こうなるくらいだったら、そういうことを言わなければいいのにね。




