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46:それは99%の

 太陽の光を浴びながらぐっと伸びをすると、頭がぐるんと眩暈を起こした。

 チカチカと視界が白い光に覆われるが何とかふらつくのを耐える。真っ直ぐに歩けなくなりそうで立ち止まるとジルが呆れながら見ていた。イレヴンが背中へ手を当てて支えてくれるのが有難い。


「太陽が目に痛いです」

「ガチで引きこもったッスもんね」

「自業自得だろ。前はちょくちょく外出てた癖に今回一歩も出なかったからな」


 溜まりに溜まった読書欲をぶつけた一週間。

 食事も部屋で本を片手にサンドイッチのみ、シャワーなどの最低限必要なこと以外の時間を全て読書にあてたリゼルは痛む顳顬を指で押さえながら苦笑した。

 その顔はスッキリとしており、微笑みも普段より清廉と輝いているような気がする。

 ジルはその大きな掌で眼元に影を作ってやりながら、ようやく部屋から出て冒険者へと戻るリゼルを見下ろした。本狂いも此処まで来ると怖い。


「今日はやっぱ止めといた方が良いんじゃねッスか」

「大丈夫です、元々走り回るような依頼は受けるつもりはありませんし」


 慣れてきた視界にジルに礼を言うと翳されていた掌が退けられる。

 一瞬だけ痛んだこめかみは徐々にその痛みを和らげていった。平気そうだ。

 時間の感覚すら忘れていたリゼルにとって一週間たっていたのは流石に驚いたし、まさか一週間部屋の中からほとんど動かなかった結果がこうなるとは知らなかった。

 何だかんだ穏やかに座っていそうで動いている男なのだ。初めての体験に、理想の読書生活も楽じゃないと微笑んで歩き出す。


「そういやお前が引きこもってる最中あの貴族からお誘いがあったぞ」

「子爵からですか? 教えてくれれば良かったのに」

「教えた」


 一刀両断され、すみませんと謝った。

 ちなみにリゼルはそれを聞いた時に「そうですか」と返事を返している。

 これは駄目だとジルが伝言係に独断で断ったのだが賢明な判断だろう。あの状態のリゼルに本より優先するものは無い。


「悪い事をしてしまいましたね。多分大侵攻の時の話を聞きたかったんでしょう」

「あの貴族がアンタに強制とかするはずねぇし良いんじゃねッスか」

「なら良いんですけど。ちなみに誰が呼びに来ました?」

「あのクソ真面目な憲兵」


 ジルの言葉にリゼルは納得し、イレヴンはざまぁと鼻で笑った。

 子爵からの呼び出しをまさか断る冒険者がいるとは思わなかっただろう。あの職務に忠実な憲兵長がすんなりと納得して帰ったとは到底思えないのだが。

 疑問を口にするリゼルに、ジルは思い出すかのように微かに眉を顰めた。

 別に不機嫌になった訳ではない、ただ記憶を呼び起こしているだけだがジルを見ていた周囲は顔を引き攣らせてサッと視線を逸らす。


「お前のこと見せたら一発だったな。神妙な面して帰った」

「本を読んでただけですけど」

「本に埋まってな」


 クツクツと喉で笑われ、リゼルはわざとらしく視線を逸らして見せた。

 基本的に片付けが苦手なリゼルは、苦手なだけでなく集中することがあれば片付ける行為すら忘れる事がある。別に汚く散らかすような真似はしないのだが、使った物を片付けないので溜まって行くのだ。

 元の世界では従者がつく身分だった為に大惨事にはならなかったが、此方では違う。

 読んだ本を空間魔法に片付けることなく積む。ベッドに腰かけたままサイドボードに積む。高く積み上がった本をそのままに今度はベッドに積む。置き場が無くなると床にも積む。

 平面があればどんどん物を置いていく、典型的な片付けられない人間の代表だ。


「リーダーの周りすげぇ事になってたッスよ。ニィサン結局一週間アンタの部屋使ってたし」

「寝てる間に本積まれるとか勘弁だろ」

「流石にジルは避ける、はずです」


 誰しも散らかそうと思って散らかす訳では無いのだ。

 気付いたら散らかっている。意識している訳ではないのでリゼル自身も断言は出来ない。

 とりあえず本の要塞を築いてその中心でひたすら本を捲るリゼルの姿を見た憲兵長が思わず片付けて行った程度には物凄い状態だった。ちなみにジルは「けしからん」と言いながらせっせと片付ける彼を呆れながら見ていただけだ。

 そういえば一部の本は箱に入っていた、と思い出してリゼルは今度会ったら謝罪しなければと呟く。


「リーダー色々マメなのに片付けだけは駄目ッスね」

「何ででしょう、気を付けてはいるんですけど」


 話しながら久々のギルドの扉を潜ると、突如周囲がざわめいた。

 その物珍しそうな反応はまるで冒険者達がリゼル達の存在に慣れる前の時のようで、大分慣れた冒険者達は最近は視線は向けるもののこれ程までに反応する事がなかったはずだ。

 随時新顔は増えるものだが、少数な為に些細な反応で済んでいた。

 どういう事か、と周囲を見渡して納得する。明らかに見た事のない顔が多く、そして一瞬の邂逅だったが確かにリゼルが覚えていた顔が紛れていた。


「大侵攻の時に見た顔がちょこちょこ居ますね、こっちに拠点を移したんでしょうか」

「お前あれだけで顔覚えてんのかよ……」

「ニィサンだけ派手に暴れてたし、見物しに来たんじゃねぇの」


 ニヤニヤしながら言うイレヴンに、ジルは顔を顰めた。

 視線には慣れてるし無視できるが、ジロジロと物珍しげに見られるのは別だ。心底鬱陶しい。

 しかしその予想は当たっているらしく、集まる視線にジルが苛立たしげに舌打ちをすると一斉に顔を逸らされた。リゼルが可笑しそうに笑う。


「誰の所為だオイ」

「良いじゃないですか、元々有名なんですし伝説が一個くらい増えたって」


 そんなジルを軽々とからかうリゼルにも視線が集まったが気にしない。

 その中にシャドウと共に居る姿を見た者がいたのか、唖然として貴族じゃ無かったのかと呟いていた。そもそもリゼルを初見の者は皆同様に同じ感想を抱いているのだが。

 またしばらく静かなギルドには縁が遠そうだ、と微笑んでリゼル達は依頼ボードへと向かった。

 ちなみに依頼も受けずただ突っ立ってリゼル達を眺めていた冒険者は絶対零度の無言の威圧を受けてそそくさと各自の行動へと移っていく。


「リーダーしばらく体動かして無かったし、ボスとかちょい避けた方が良いッスね」

「すみません」

「良いッスよ。読書週間にニィサン引っ張って何度か潜ったし」


 そうなのか、とジルを窺うと苦々しげな表情を隠さず露わにしていた。

 ちなみに何故一人で潜らないかと言うと、イレヴン単体では最下層への魔法陣が使えないからだ。強敵に挑むことは楽しみでも迷宮の踏破は面倒だという理由で、意外にも彼が最下層に到達した迷宮の数は少ない。

 同じ相手ばかりではすぐに飽きる彼にとって、行った事の無い迷宮のボスにすぐに挑めるのは大層魅力的だったのだろう。連れ回されたジルはボス相手にじゃれるイレヴンを時々手を出しながら眺めていた。


「こいつお前がいないと遠慮しねぇ」

「凄く強いんですか?」

「違う。肉を切らせて骨を断つ、それを地で行く」


 高性能の装備はあるが、装備を揃えれば楽勝になるほど迷宮のボスは甘くない。

 まともに受ければ当然命に関わるし、技量が無ければ斬ろうが何しようが傷一つ付かないのだから。

 普通ならば六人揃っても勝てるかどうか分からない魔物相手に一人で立ち向かうイレヴンが無傷で済む訳が無い。ジルは本当に例外中の例外なのだ。

 それでも勝ちをもぎ取るのだから実力に関しては充分彼も人外じみているのだが。


「負わなくて良い傷を付けるのは、流石に感心しませんよ」


 リゼルに言われ、イレヴンは一瞬だけばつが悪そうに視線を泳がせた。

 しかし直ぐに拗ねたように唇を尖らせる。相変わらず本心を晒すのを嫌がる人間だ。


「回復薬あるから良いじゃねッスか」

「使わなくても良い勝ち方しろっつってんだろうが」


 ジルが言うのならば出来ると言うことなのだろう。

 それでもイレヴンがそうしないのは多少身を削った方が大打撃を与えられる為であり、自分が傷を負うことに目を瞑れば戦い方としてみれば効率が良く勝てるからだ。

 チマチマと削って行く戦い方は性に合わないのだろう。命があれば保身に拘らないのは性分らしい。

 早くそうせずとも勝てるようになれば良いのだが、とリゼルはジルを見上げた。


「ジルと特訓してるし、イレヴンも強くなってるんじゃないですか?」


 ちなみに疑問形なのは明確に分からないからだ。

 見えないレベルの殺し合いという名の訓練は相変わらず何をしているのかいまいち分からないままで、毎回イレヴンが負けている事ぐらいしか理解できない。

 しかし以前ジルに一撃入れたと大喜びしていたのだから実力がついてはいるのだろう。一撃といえど服に掠っただけだったらしいが、それだけでも十分に強くなっている証明となる。

 どの世界でも格上相手に鍛錬を重ねれば伸び方は段違いだというし、イレヴンも同様なのだろう。


「そこそこじゃねぇの」

「ジルの基準でそこそこって凄いじゃないですか」

「でっしょ。あ、これどッスか。ランクBで“薬草採取”」


 薬草採取なのにランクB、どういう事かと覗き込んでリゼルは納得した。

 迷宮中層から下層にでるグリスリーの背中に生える薬草で、生きたままとらないと枯れてしまう植物だ。凶暴な魔物に接触しなければいけない為に決して簡単ではない。

 しかしキツイ依頼は止めておこうと言って此れを選ぶイレヴンはどうなのか。彼の基準では大した事がなくても自分には結構な依頼なのだが、と苦笑した。

 可能か不可能かと問われれば可能だが、今日は遠慮したい。


「もうちょっとソフトなものをお願いします。足手まといになるかもしれません」

「アンタにそんなん思った事ねぇってば。じゃあ……あ! これ! これが良い!」


 リゼル達のパーティが受けられる最高ランクであるBから徐々にC、Dへと目を通していたイレヴンがばっと依頼ボードに張り付いた。

 依頼自体に興味は無く、ただリゼル達と何かをするのを楽しんでいるイレヴンが今までこれ程までに依頼に食い付いた事は無い。一体どうしたのかと思っていると一枚の紙を剥がして機嫌良さげに唇を吊り上げる。

 ちなみに直前でその依頼に手を伸ばそうとしていた冒険者はただ固まっていた。とんでも無い速さで奪われただけではなく牽制で強烈な殺気も食らったのだ。無理も無い。

 気付かないリゼルとは別にジルは呆れたように溜息をついた。厄介事に繋がることは避けて欲しいものだ。


「これって、」

「俺リーダー連れて行きたいと思ってたんスよ」


【警備をお願いします】

 ランク:C〜B

 依頼人:チョコレート専門店“Bouquet・Chocolat”

 報酬:銀貨50枚(一週間の場合)

 依頼:最近この近辺に強盗が多発しています。

 憲兵によりCランク以上の冒険者または憲兵の警護が義務付けられました。

 店内待機可。強盗が捕まり次第依頼終了。報酬は期日に応じて。

 勝手ながら店の雰囲気を壊す方の依頼受諾は御遠慮願います(ギルド側で判断)。

 それに伴い見える場所での武器の携帯を不可とします。


 宿に一週間泊まって大体銀貨2枚、通常のCランクで一つの依頼につき平均報酬が銀貨10枚の相場の中でこの値段。Cランクにしてはやけに報酬が良い。

 それ以上に見覚えのある店名にリゼルは何処かで聞いたと考え、そして思い出した。


「イレヴンが言ってた店ですよね? 確か、中心街の西門にあるっていう」

「良く覚えてるッスね。あそこらへん店が集中してっから強盗出てもおかしくねぇし」

「憲兵が駄目なのは何ででしょう」

「条件厳しいんだろ。あそこは全員帯剣義務あるからどう頑張っても武器は隠せねぇ」


 成程と頷く。そういえば空間魔法付きの鞄は希少だ。

 自らのパーティ全員が揃えた訳でもないのに持っているので忘れがちだが、普通ならば持っている者など貴族などの上流階級や大商人ぐらいしかいない。

 ならば武器など隠しようが無く、剣が主流な冒険者はほとんどが条件から外れるだろう。短刀を仕込めば可能かもしれないが、使い慣れない武器で未だ逃げおおせている実力を持つ強盗に太刀打ち出来る訳が無い。

 そして何より曖昧な条件が“店の雰囲気を壊さない”人選だということ。


 中心街にある店など程度に差はあるものの格式高い店ばかりなので、どの店も入口に警備が立っていても違和感は無い。

 しかしイレヴンの話を聞く限りこの店は女性客が大半で、訪れるのも上流階級から記念にと奮発する一般階級にと多岐にわたる。強盗対策とはいえ店前に警備が立っていては雰囲気がブチ壊しだし、書かれている通り武器など持っていては浮きまくるだろう。

 客足が遠のくことを恐れたというよりは、客に配慮している書き方は好感が持てる。

 警備を置く事は店の外観の格を上げることに繋がるだろうに、一般の客が入りづらくなることを避けたいからこそ高めの報酬をつけてまで条件を厳しくしているのだから。


「イレヴンがやりたいなら此れにしましょう」

「俺パス、二人で行け」

「えー! 俺正直ニィサン連れてって浮きまくるの見たいって思ってた痛って!!」

「クソ甘い匂いの中にいられるか」


 ジルはイレヴンを一発どついて去って行った。

 殴られた後頭部を撫でながらイレヴンはその背中をじとりと見た。本気で殴られれば恐らく首が飛んでいくだろう事を思えば手加減されているのだろうが、もっと手加減してくれても良いだろうに。

 迷宮にでも潜りに行くのだろうとリゼルは気を付けてと手を振ってジルを見送る。片手を上げて返された。


「どっちにしろジルは店から浮くと思いますけど」

「意外とはっきり言うッスね……じゃあ今度個人的につれてこ。リーダーから言ってくれれば断んねぇし」


 自分が言っても行かないと思うが、と思いながらリゼルは依頼用紙を持って依頼受付へと向かう。

 イレヴンは普段ジル同様に剣を抜くのにタイムラグが出るからと腰に双剣をぶら下げているが、空間魔法にしまえば問題は無い。リゼルは言わずもがなだ。

 後は店の雰囲気を壊さないという点だが、余程の強面で無ければ大丈夫だろう。

 元々店内には女性がほとんどとは云え男性がいない訳ではない。恋人に付き合って、という男性もちょくちょくいる。店側もまさか数が極少の女性冒険者が来るとは思っていないだろう。

 最終的な判断を下すのはギルドだが、恐らく問題は無いはずだ。


「確かに受諾しました」


 相変わらず新人受付を空にしてリゼルの依頼を受けたスタッドは淡々と言った。

 店の雰囲気を壊さないどころか警備を用いずとも店の格を上げることに一役買うようなリゼルだ、ギルド側としても断る理由は無い。スタッド個人の意見としては、一週間の期限がある為にその間リゼルに会えないのが嫌だとは思うが。断るとしたら理由はその一点だけだろう。


「あ、着けてくれてるんですね」

「当然です」


 ふとリゼルが微笑みながら言った言葉にスタッドはギルドカードを返そうとした己の手首を見た。

 リゼルから渡された腕時計、貰った日から欠かさず着けているそれを実は暇があればジッと見ているなどリゼルは知らない。見せろ見せろと触ろうとしたとある同僚など心底恐ろしい目にあった。当然一瞬たりとも触らせたりはしていない。

 似合っている、と嬉しそうなリゼルを見れただけで付けていた甲斐があるとスタッドは無表情のまま満足気に頷いてギルドカードを手渡した。







 店に訪れたとある二人組に一瞬店内の空気が揺れた。

 それはこの店にしては珍しい男二人組だからというのもあるが、しかし驚愕の理由の大部分は他にあった。

 一人は店の常連だった。癖のありそうな雰囲気をこれでもかと晒す鮮やかな赤毛を持った青年がいつになく機嫌が良く、そして普段は一人が当然と訪れる彼が連れを持つ事に同じく常連の女性たちは驚愕していた。

 そして何より周囲を驚愕させたのがもう一人。上流階級の女性たちから見ても貴族としか思えないような彼が何故冒険者らしい青年と共に居るのかという驚き。


「流石にちょっと入りにくいですね、女性ばかりです」

「そッスか?」


 視線を受けて入店したリゼルは苦笑した。

 これで連れが女性ならすぐに視線は去るのだろうが、男二人というのはやはり目立つ。

 リゼルはショーケースを眺めて早速選び始めたイレヴンをそのままに店員へと向いた。やけに驚かれているのは何故だろうかと思いながらギルドに渡された依頼証明書を渡す。

 茫然と証明書とリゼルを見比べた女性は、すぐさま少々お待ち下さいと奥へと引っ込んで行った。


「新作ねぇなァ」

「ん、俺これ見た事ないんですけど」

「それ酒入りッスよ。リーダー食べれねぇし買ってねぇの」


 女性が溢れる店内でショーケースを見下ろす男二人は非常に浮いていた。

 しかし気にしない。平然と話しながら店員が帰って来るのを待つ。

 それ程待たずにすぐに戻って来た店員の背後には、店長だろうパティシエの格好をした男性が立っていた。


「依頼を受けて下さりありがとうございます。それでですが、」

「言いにくいでしょう、此方から言いますよ」


 言葉を濁した店主に、リゼルは穏やかに微笑んで制した。

 言いたい事は分かる。他の客を脅えさせない為と強面を拒んでおきながらも、しかし強そうどころか冒険者らしくないリゼルが来たから不安なのだろう。リゼルは自分が結構冒険者らしくなってきたと自負している為にそう思っているが、実際は“冒険者らしくない”どころか“冒険者とはとても思えない”と見られている事を知らない。


「武器の携帯については俺も彼も空間魔法付きを持っているので問題はありません。一応パーティで迷宮のボスに挑んで無傷で帰る程度の実力は持っているので、恐らく実際に強盗が来ても問題は無いかと」


 普通の冒険者が空間魔法付きの収納を持っているかとか、ボスに挑んで無傷で帰るとかSランクじゃねぇか依頼にはB~Cしか書いて無いぞとか色々ある。

 色々あるが、前者についてはこれで貧乏とか詐欺だと言わんばかりのリゼルがいるし、冒険者に関わりが無ければ迷宮のボスを倒せる実力があると言われても「ああ凄く強いんだなぁ」ぐらいしか分からない。

 ならば大丈夫か、と若干疑問を持ちながらも店主は疑った非礼を詫びた。彼らならば店の雰囲気という点については文句などないし。

 ギルドが許可を出したなら問題が無い人選だと分かっているものの、今回に関しては分かっていようと疑わない人間などいないのだから彼を責めるのは酷だろう。


 中心街に住む者なら当然警護を付ける義務も知っているし、また噂程度ならば誰もが最近現れた強盗のことを聞いている。

 店主との会話でそれを察した周囲はリゼル達が冒険者だという事に驚き、更に視線は固定された。

 女性ばかりの視線を一手に引き受けると流石に迫力がある、そう思いながらチラリと店内を見回した。テイクアウトの客が大半なのか客数に比べて店内の席には余裕がある。

 ならば大丈夫かと、もはや食べる事に意識が向いているイレヴンを見て微笑んだ。


「店内待機が可能とのことですが、」

「はい、勿論座って頂いて構いません。一番扉側の席を御利用下さい」

「ありがとうございます」


 意図を汲んでくれた店長はイレヴンの事を知っているのだろう。

 頻繁に通っては大量のチョコレートを買い、悠々と大金を落としていくイレヴンが勿論依頼を笠に着て無料で寄こせなどと言わない事を確信している。最近ではイレヴンが来る事が前提で仕入れをかける事も少なくない。


 扉側というのも防犯を考えての事だろう。まさか本当に強盗が来るとは思ってもいないが、いざという時に素早く動けるようにという考えからだ。

 ガラス張りの明るい店内で外から見えてしまう席だが、リゼル達ならば問題がないという判断を下したらしい。男二人と目を引くものの外見や雰囲気と相まって逆に客寄せになる。

 普段ならば男性が近寄りがたい店だが甘い物好きな男は実は多いし、そんな彼らも入りやすくなるかもしれない。そんな下心を多少含んでいることも否定は出来ないが。意外とやり手だ。


「閉店は午後三時の鐘、昼食の時間は一度店を閉めて商品の追加を行うので食べに出て頂いて構いません」

「もし強盗が出た場合の対応は任せて貰って良いんですか?」

「そうですね、荒事には詳しくなくて……ただお客様に被害が及んだり、店内の著しい破損があった場合はギルドを通して対応させて頂く事があります」

「穏便に、ですね。分かりましたか、イレヴン」

「んぁ?」

「店を傷つけない、お客様に不快感を与えない、女性の前で刃傷沙汰なんてもってのほかですよ」

「はいはーい」


 強盗を撃退するのに刃傷沙汰を禁止など、そこまで無理難題を吹っかけるつもりはないと慌てる店長の前でイレヴンは軽く了承して見せた。

 良いのだろうか、と思うが強盗など滅多に現れるものではない。警備だって義務によって一応配備しただけだしと疑問を持ちながらも一応納得して見せた。

 それでは宜しくお願いしますと去って行く店長を見送り、リゼルは席へと向かう。


「リーダー何も食わねぇの?」

「君にお任せします、期待してますよ」

「まーかーせーろっつの」


 イレヴンならば此処から此処まで10個ずつ、で済むがリゼルはそんなにチョコレートばかり入らない。

 それを知っているからこそ表面上は飄々と、しかし内心は真剣に選んでいる後ろ姿を座りながらも眺める。さらにその姿を外を行きかう人々や店内の女性たちが見ているのだが、気にしないイコール気付かないリゼルにとっては特に不快に思う事は無い。

 しかし本当に女性ばかりだ。和やかな一時を浮足立たせて申し訳ないなどと思いながら待っていると、ふと横からコーヒーが差し出された。


「店長からサービスです」

「元々頼むつもりでしたし、彼の会計に入れておいて下さい」

「いえ、構いません」


 クラシックな制服に身を包んだ女性による素晴らしい営業スマイルにニコリと笑みを返し、それならとリゼルは有難くコーヒーを受け取った。

 もう一つ机に置かれたコーヒーには甘い生クリームがたっぷりと載っている。成程、イレヴンは来る度にこれを飲んでいるのだろう。

 店員が去って行ったのを確認して口に含むと、挽きたての豆の香りがした。

 チョコレート専門店だが中心街にある店だ。その他のメニューも妥協していないのだろう。


「リーダー違和感ねぇッスね、こんな店でも」

「そこは流石にあって欲しいんですけど」

「や、そういう意味じゃねぇし。なんかこう、抜き出すと絵になる感じ?」


 二人掛けの向かい側にイレヴンが腰を下ろした。

 リゼルから見るとイレヴンの後ろ側に店内にいる女性たちが見えるのだが、一名だけやけにイレヴンの背中に視線を送っている少女がいる。自分があちら側に座れば良かったかと苦笑し、コーヒーを置いた。

 自らのテリトリーである店にリゼルがいるのが嬉しいのか、イレヴンの機嫌は終始良さそうだ。

 しかし何も持ってこなかったが選んできたのだろうかとリゼルは首を傾げる。


「何か頼んだんですか?」

「フォンダンショコラ、此処の美味いッスよ。 ……いける?」

「はい、好きですよ」


 窺うような視線に、ゆるりと瞳を細めて微笑みかける。

 甘い笑みと穏やかな声に背後の空気が揺れるのを感じて、今度はイレヴンがそちらに座れば良かったかと舌打ちした。自分に向けられた笑みを勝手に横取りしないで欲しい。

 ぎしりと背もたれに体重を乗せて一本に結ばれた髪を弾くイレヴンを、何やら機嫌を損ねたようだとリゼルはのんびりと見守っていた。気分屋の彼の機嫌にその度に反応を返していては忙しすぎる。

 しかし流し続けると拗ね始めるので、適度に宥める必要はあるのだが。


「お待たせ致しました」


 漂うチョコレートの強い甘い香り。

 運ばれてきたフォンダンショコラに、これはジルは来れないだろうとリゼルは苦笑した。


「ほらリーダー早く!」


 最早機嫌が回復したらしいイレヴンに急かされる。

 促されるままにフォークを手に取り、さくりとした表面を割った。途端に流れ始めるチョコレートに慌てもせずに、しっとりとした生地へとフォークを突き刺して口に運んだ。

 甘いチョコクリームとほろ苦い生地が絶妙なバランスで絡み合い、溶けて消えるような食感を味わう。


「美味しいですね」

「でっしょ」


 期待したように此方を見るイレヴンに美味しいと頷いて見せると、得意げに唇を吊り上げて自らもフォークを持ち大きな一口を頬張っていた。


「しっかし楽な仕事ッスね。強盗が来なけりゃ座ってるだけであの報酬っしょ」

「来た場合を想定して報酬は決めなきゃいけませんし、仕方が無いんだと思います。先程店長が言った通り些細な損害でさえギルドに報告されてしまうので、もし本当に強盗が来た場合はまず間違いなく評価を落とすでしょう」


 冒険者が依頼人に不都合を働けば簡単にギルドからの評価は下がる。

 今回に関しては強盗が現れた場合に被害ゼロという可能性は極めて低く、報酬の良さに釣られると弁償や賠償、勿論評価に関しても割を食うこととなるだろう。

 リゼルだってもし一人だったならば選ばない、時折受けてみたら報酬は良いがどう頑張っても良い方向には転ばない依頼があるが今回もそれだ。通称“地雷”と呼ばれる依頼。

 依頼人に他意は無い為にギルド側も普通に依頼を受諾する。選んだ冒険者の見る目が無かった、それだけだ。


「踏んでも吹き飛ばねぇ地雷なんて怖くねぇけど」

「だからやりたがったんでしょう?」

「余裕ッスもん。俺チョコ選んでくるけどリーダーは?」

「大丈夫です。あまりお店に負担をかけるような買い方は控える様に、今日はお客さんじゃないですよ」


 一声注意するのを忘れない。

 案の定、長居もするし“此処から此処まで全部”を実行しようとしていたイレヴンはその言葉で踏み止まった。此れがリゼルじゃなければ依頼中だろうと何だろうと遠慮などしない。

 イレヴンはドレスやフリルの溢れる場所へと平然と進みながらチラリとリゼルを窺った。

 綺麗な姿勢で窓の外を眺める姿は男女問わず視線を集める存在、周囲へと見せびらかせたような達成感や優越感を感じながら意識はそのままにショーケースへと視線を戻す。

 ジルによる読書禁止という名の強制休養があったもののノンストップで一週間も本を読み続けて全く疲れない筈が無い。疲れた時には甘いもの、だ。大丈夫とは言ったが持って行けば摘むだろう事を考えれば適当になど選べる訳が無い。


「しっかし一週間独占できんのは贅沢だよなァ」


 上機嫌に呟いて、艶のある美しいチョコレートたちを見下ろした。






 日差しの暖かい穏やかな午後。

 依頼中にどうかと思ったが依頼主に許可を得た為に本を開いているリゼルは、さらりと頬に落ちた髪をゆっくりと耳にかけた。

 そんなリゼルを見ながら黙々とチョコレートを食べ続けているのはイレヴン。任務四日目となるのに飽きもせずチョコレートを貪る姿に、流石に完璧な営業スマイルを操る店員も呆れ顔だ。

 初日以外はずっと扉側の席についているイレヴンは、カランと澄んだ音を立てたドアベルにまたかと思いながら生クリームだけを食べてしまったコーヒーに幾つかチョコを落とし入れた。


「昨日から思ってたけど客増えてねぇッスか」

「そうなんですか? 普段の様子をあまり知らないので……でも、確かに依頼初日と比べると多いですね」

「その初日がいつも通りなんスよ」

「繁盛しているのなら良いコトですよ」


 穏やかにそう言ったリゼルに微笑まれ、そういうものかとイレヴンは綺麗なバラの形をしたチョコレートを見もせずに口へと放りこんだ。リゼルは繁盛の理由を知っているのか、ちらっと視線を向けるもその姿からは何も窺えない。

 イレヴンは知っていた。何故昨日になって急に客の入りが増えたのか。

 ようは自分達が客引きになっているのだ、“宿泊亭の貴族様パーティ”が見れると口コミで広がった為に客が激増したのだろう。チラチラと此方を窺う無数の露骨な視線も説明がつく。


 宿泊亭の貴族様、というのはリゼルの通称だ。

 別に本人が名乗った訳では勿論無い。誰が付けたのか分からないがリゼルが噂される時はこの通称が使われる事が多い。

 リゼル達三人は冒険者の中でも知名度が群を抜いて高い。それは実力によるばかりではなく、話題性に事欠かない上に目を惹く三人が固まっているというのもあるのだろう。

 そんな彼らが一店舗に留まっているならば、噂は聞くものの普段は目に出来ない上流階級や関わりの無い一般国民がこぞって訪れるのも無理は無い。

 別に話しかけて来ないなら良いか、とイレヴンもスルーしている。元々注目を受けるのは嫌いでは無い。


「もっかい行ってこよ」

「おかわりですか? ちょっと食べすぎだと思いますけど」

「元々今日はいっぱい作っといてって言っておいたッスもん」


 だから大丈夫と去って行くイレヴンに、体調の事を言ったのだがと苦笑する。

 放っておくといつまでも食べている彼はそれが甘いものだろうと変わらない。気持ち悪くならないのだろうか、と思いながらリゼルは一度本を置いてコーヒーを口に含んだ。

 何となく背表紙の微かな凹凸を撫でながら視線を外に向けると、ふと慣れ親しんだ色が見えた。

 微笑み、とにかく手当たり次第に注文しているイレヴンを呼ぶ。


「イレヴン」

「何スか」


 店に溢れる鈴の様なざわめきに負けぬよう、少し声を張ると視線が一斉に此方を向いた。

 慣れている為に特に何も思わず、呼ばれてすぐに席へと戻って来たイレヴンに外を指差して見せる。


「今日、ちょっと働きぶりを見に来て下さいって言ってみました」

「リーダー最ッ高!」


 注文は既に済ませたのだろう、ニヤニヤと笑いながら軽く勢いをつけて椅子に座ったイレヴンがリゼルと同じく外を見る。

 近付いて来る黒、ジルは相変わらず眉間に皺を寄せたガラの悪い顔で歩いている。

 着ているものが何だかんだ一級品であったり、眉間の皺を無くせば端正な顔をしている事もあり中心街を歩いていても異様な存在感を放つだけで場違い感はない。


「あの人マジでリーダーと一緒にいねぇとガラ悪ィな」

「俺といる時も大概ですけど」

「あー、確かに」


 割と失礼な事を察してかどうか、ふっとジルの視線がリゼルを向いた。

 ひらひらと手を振ると、店とリゼルを見比べて嫌そうに顔を顰めている。

 更に手招いてみると溜息をついて此方へやってきて、すれ違い様にコンッとリゼル達の席に面するガラスをノックして去って行った。

 数秒後、イレヴンが耐えきれないとばかりに吹きだして笑いだす。


「ニ、ニィサン、凄ぇ、嫌そうな顔してた……! 俺超睨まれた……ッハハ!」

「多分舌打ちしてましたよ。一応来たんだから文句言うな、なんて意味でしょうね」


 一瞬姿を現した一刀に盛り上がる店内のおかげで、イレヴンの爆笑が響くことはない。

 リゼルも面白そうに笑みを浮かべてそのまま去って行く背中を目で追う。


「ほら、やっぱり俺が言っても入店しないじゃないですか」

「此処まで来ただけで十分ッスよ。俺だったら絶対無視されるし」


 ッはー、と息を吐いて笑いの余韻を散らすイレヴン。

 確かに滅多に無い程に顔は顰められていた。そのまま歩いていたらジルこそが強盗に間違えられないだろうかと思ってしまうほどに。

 そうなればなったでイレヴンはまた爆笑必至だろう。

 しかし店の前を通るだけで良くぞあそこまで嫌そうな顔が出来るものだ。リゼルが呟くと、イレヴンがあーと納得したような声を上げた。


「俺もう鼻だいぶバカになってっけど、匂い凄ぇもん。ニィサンほんと甘いの駄目なんスね」

「そういえば昨日も髪から甘い匂いするって嫌そうに言われましたね、シャワーの後だったのに」

「俺もッスよ。しばらく潜めねぇなコレ」


 髪を一房手に取り、スンッと匂いを嗅いでいるイレヴンは自覚があるのだろう。

 しかしリゼルには自分についた匂いなど分からない。同じく髪を寄せてみるものの、周囲の甘い香りと同化して良く分からなかった。昨日だって店から離れた後でも気付かなかったのだ。

 獣人であるイレヴンならともかく、ジルのあの嗅覚は何なのだろう。

 そんな事を思っていると、ふいに表が騒がしくなった。何だろうと覗くと、五人の男を憲兵が追い掛けている。


「向こうから来たっつーことは完全にニィサン無視したッスね」

「基本的に面倒事が嫌いですからね」


 とはいえ(居るはずがないが)彼らがリゼル達も敵わないような相手だったならば、ジルは此方に向かって走る強盗を見つけた時点で斬り捨てただろう。

 それを思えば彼らは大したことがないということ。憲兵でも問題なく捕まえられるだろう。

 依頼は今日で終了になりそうだ、などと話しながらリゼルは立ち上がった。とりあえず扉付近で固まっている女性たちを店内へと招き入れる。

 道端に立っていて人質にされては大変だ。この店に用事があって来たのなら彼女達も警護対象なのだから。


「危ないので中へ」


 穏やかな声に、広がりかけたパニックはすっと溶けだした。

 逃げる強盗はじきに店の前を通過するだろう程に肉薄しており、緊迫した空気が店内を満たすが混乱する者はいない。取り乱す姿を良しとしない上流階級が半数をしめるお陰だろう、阿鼻叫喚を避けられて何よりだ。

 憲兵が追い付くには距離があるが、恐らくこの先の十字路で待ち伏せしているだろう。後は何事もなく強盗が通り過ぎれば大丈夫かと思っている時だ。


「ッ女だらけの店だ! 人質にとって立て籠れ!」


 逃亡中ながら中々に冷静な強盗たちだとリゼルは感心した。

 逃げ切れないと判断し、視野を広く持ち弱者しかいない店に目を付け、そして上流階級が姿を見せる中心街だからこそ人質の価値がある。

 剣を振りかざし必死の形相で向かってくる強盗たちは、しかし店に手を触れる直前で後ろへと吹き飛んだ。

 吹き飛ばされた先頭の男に巻き込まれながら転がる強盗達の前に立つのは、盗賊達が持っていたはずの剣を片手で弄び片足で踏みつけるイレヴンだった。


「ドーモ、ここは警備中でぇす」


 ニヤニヤと笑うイレヴンを唖然と見上げていた男たちに、直後追いついた憲兵が飛びかかった。

 大人しく捕まるような強盗達ではなく隠していた武器を抜き出した男達を、直ぐ目の前で起きた出来事にも拘らずこの店にいる女性たちが目にする事は無かった。

 日の入る一面のガラス窓を覆う様にザッと落とされたカーテン、広い窓を覆うそれを解放する為の紐をリゼルは握っていた。既に閉められた扉ごしに微かな喧騒の音は聞こえるが、外の様子は全く分からない。


「女性が目にするようなものでも無いでしょう。落ち着くまでゆっくりしていきましょうか」


 穏やかな笑みに、不思議と店内は元の空気を取り戻していた。

 甘い匂い、穏やかなティータイム、イレヴンが相変わらず大量に注文していたチョコレートは既に用意されていたらしいので失礼ながら勝手に受け取り一人の女性へと差し出す。

 茫然としたまま両手を差し出した掌を包み込むように支え、そして数個のそれを乗せた。

 向けられた視線に落ち着けるように微笑んで見せると、女性はきゅっとチョコレートの乗った手の平を握りしめる。


「俺のじゃねッスか!」

「たくさん食べたでしょう」


 不平を洩らすイレヴンをさらりと流し、リゼルはご自由にどうぞとふんだんにチョコレートの積まれたトレーを近くの机へと置いた。そのまま元の席に戻り、先程置きっぱなしにした本を手に取る。

 変わらず読み始めたリゼルに、イレヴンは相変わらず女に甘いとブツブツ言いながらその向かいへと腰かけた。

 そんな二人の様子に女性たちは顔を見合わせる。強盗など忘れさせる対応は彼女たちを随分と楽にしたらしく、チョコレートを囲んで徐々に元の鈴の様な笑い声を取り戻していった。


「おーれーのー」

「そうですね。きちんと約束を守ってくれたし、後で好きなだけ買ってあげます」


 買える金を持っていようと、プレゼントはまた別格だ。

 それがリゼルからであるならばイレヴンが喜ばない訳が無く、目を細めて唇を吊り上げる。当然だと言いたげな皮肉ったような笑みは人前だからだろう、しかしその本心を知っているリゼルには心から喜んでいるのだと分かるので問題は無い。

 外の喧騒が完全に落ち着くまで30分、急いで出てきた店長に礼を言われたり金を返すと主張されたり報酬は一週間分で良いと言われたりしながらリゼル達はまったりと依頼を終了した。






「はいジル、店長さんがどうしてもお礼をって言うので全然甘くないチョコレートを作って貰いました」

「……、…………口が渇く」

「ですよね」



恐らく冒頭の症状は読もう&なろうユーザーの九割が経験したことがあると思います(偏見)

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒頭の症状には無論身に覚えがございますが、若かりし頃の自身が、異性の友人と交わした 『太陽が黄色い(眩しさを通り越している様)』は、『昨夜はお楽しみでしたね』を直截に表す様なので、他言を控え…
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