55:東の国民 西の奴隷
第一師団関東防衛方面隊所属、第一実験独立混成団という不思議な名称を与えられた第二兵器研究所の混成部隊は現在シエネに其の拠点を構えた。
駐屯地司令はアルメット・鈴音大佐、現場指揮官の最高位は池間勲上級大尉である。
現在の総兵力は連隊規模の六百五十名。
内訳は実戦部隊が三百名、輜重、工兵、整備・改修及び情報管理など後方支援員が三百五十名となっている。
兵站重視の実にバランスの悪い部隊編制であるが、これは今後の実戦部隊の増加と兵力の分散が行われることを見越して、様々な準備を優先させている為だ。
重武装は、航空兵力と装甲車両が主体である。
先だって使われたAS-2Sなど武装ヘリコプターとオスプレイや装甲兵員輸送車(APC)に搭乗した歩兵の組み合わせになるが、その他にASが四機、一機は当然ながら巧が使用し、その他三機についてはシャッテンナンバーズから選抜がなされた。
変わった所では狙撃班にトリガーハッピーだったはずの桐野昴伍長が、またAS整備班に岡崎慧軍曹が所属している。
岡崎の整備班は、戦闘区域まで出張ってはASの装備換装が出来るように三十式警戒偵察車両の護衛をつけて行動することになる。
三十式は全部で四両も揃うことになった。
三十七ミリ機関砲のお陰で軽戦車一個小隊にも見える程だ。
また、現在は東部戦線に居を構えているが、A-10が一機と何と隼が二機入っている。
本来は全てA-10で揃えたかったのだが、機体の生産が間に合わなかったのだ。
一月ほどは横田、岩国両少尉はこの機体を使うことになるが、主武装を二十ミリに切り替えた三型乙と呼ばれる機体に改修された隼に二人とも惚れ込んでおり、不満はない。
現在、部隊はシエネの東に仮設住宅を建て、ちょっとした村のようになって居る。
当然ながら自由人が訪れては通商を申し込むが、先の王宮通達のこともあって紙や鉛筆など危険性のない品の個人販売以上のことは認められなかった。
また、過去にASを見慣れたシエネの住人達は独立混成団の指揮官がヴェレーネであることもあって特に騒ぎも起きず、少しずつ揃えた翻訳機を身につけた隊員達は交互に街に入っては交流を深めていく。
但し、出身地を聞かれた場合は『女王様の命により黙秘させて頂きます』と言う事と、獣人に無礼な言葉を吐いて騒ぎにならないように注意することを徹底させるため、教育が終わった者から順に街に入る事になった。
又、これから固定翼機の発着場を造るため様々な重機も入ってくるが、今後はこの重機が重要な役割を果たしていくことになる。
カグラの十月十五日における現状はこのように進んでおり、大きな問題は今のところは無いのだが、その作戦に関わりのある人物は大いに不満顔である。
ある人物とは即ち『サミュエル・ルース氏』、その人である。
「シルガラの城壁を吹き飛ばしただって!」
ルースが驚くことは目に見えていたが、流石に反応が良すぎた。
続いて、これも予想されていた調子に乗った台詞が飛び出す。
「それだけの力があるならシナンガルなど目ではないだろ。逆侵攻すべきだ!」
「何のために?」
巧の返事は鮸も無い。
場所はシエナの議員会館の四階。
おなじみのテラス。 ではなく、季節柄その内側の談話室である。
巧の口調にルースは腹を立てたようだ。
詰問調で責め立てる。
「なあ、巧君。 君は奴隷達を解放したいとは思わないのか?」
「思わない」
が、続けた巧の返事は、またも糠に釘だ。
「もう少し情が有る男だと思っていたんだがな!」
ルースは最早、不快感を隠そうともしないが巧も負けてはいない。
「ルースさん。あんた幾つか勘違いしてるよ」
「勘違い? 何を!?」
「まず、軍は俺の私物じゃあ無い」
「君は女王に相当信頼されているんだろ?」
「だから、私物化して良いと言うのかい?」
『それに今揃っている軍はフェリシアの軍じゃないんだよ』と言いかけて、危うく止める。
代わりにこう付け足した。
「ルースさんは楽天家過ぎる、と言っているんだよ」
「どういう事だ?」
「あんた、自分の反乱予定区域にどれだけ奴隷が居るか知っているかい?」
「言っただろ。大凡二千万人だと」
「そりゃ、バルコヌス半島全体での数だろ。初期の反乱予定区域だよ」
ルースは少し考え込んだが、二十~百万の間だと思う、と随分大雑把な返事を返してきた。
あきれ果てた、としか言いようがない。
反乱にせよ、純粋な軍事行動にせよ、数字が全てなのだ。
やはり分かっていない。
計算が出来る、と判断したことは誤りであったかも知れない。
人の話から判断することには長けているのであろうが、巧としては『もう少し自分でも考えろ』と言いたい程である。
尤も奴隷の移動など把握しきれないのが当然なのかも知れない為、一概に非難ばかりは出来ないが此処は敢えて強く行く。
「二十万と百万じゃ五倍も差がある。計画がいい加減だな!」
「何が言いたいのか、もう少し分かり易く話してくれないかな」
ようやくルースは自分の考えに甘さがあることに気付いてくれたようだ。
口調も大分、穏やかになった。
そこで巧はマーシアから聞いた通り、リース攻防戦で自由民となった奴隷がその後どの様な運命を辿ったか語った。
「分かるかい。 『解放しておしまい!』じゃないんだよ。 『統治』が必要なんだ」
「フェリシア人では無理か?」
「平等な政策をとれば、人口比から言ってフェリシア人の方が奴隷の持つ『力の理論』や『支配する者、される者』の考え方に馴染まされてしまうだろうね」
ルースは考え込んでいたが、
「いや、済まなかった。俺が阿呆だった。
考えてみれば、今の『純粋シナンガル人』も元々はシナンガル人ではなかったんだよ。国ごと乗っ取られたと伝わってるんだよなぁ」
そう言って詫びる。
こう云う素直な所が憎めないのだが、其れはさておいて巧としては『国ごと乗っ取られた』という言葉に興味が湧く。
重ねてルースにその点を尋ねたことで、シナンガルの歴史を知る事になった。
「酷い話だな。俺が一番恐れているパターンじゃないか!」
ルースの計画区域に自由民がどれだけいるのか分からないが、まずは初期の段階で、解放される奴隷共々、人間の平等性や『人権』とまでは行かなくても、最低限の「自由権」の考えを身につけさせる必要がある。
誰しもが理由無く『生命、精神(行動決定意志)、財産』を侵されない自由という奴だ。
全てはそこから始めるしかない。
フェリシアがシナンガルを征服したとしたら、その人口比から考えて、満州族が漢民族を押さえ込んだような統治方法しか無くなるであろう。
それでは新しい階層制度を持つ国家が生まれるだけである。
「ルースさん。あんた一人の代で終わらそうなんて考えちゃあ駄目だよ。
長い闘いになるんだ。土台をしっかり造るのがあんたの仕事だと思う」
その上でルースの新国家が栄えれば、またフェリシアやラキオシアと同じように奴隷制度のない国の方が豊かだとシナンガル人が考えるようになれば、自然と社会に変化が生まれてくると信じるしかない。
巧はそうルースに説いた。
それに本音を言えばフェリシアにとっても巧の国にとっても、自国の安全が保証されれば、それでこの戦争目的は完遂なのだ。
ルースの新国家建設への協力もその為の『手段』に過ぎない。
長い目で見れば、敵対する大国の後背を脅かす国家は多いほどに助かる。
但し『平和』は永遠には続かないことは巧も歴史から学んだつもりだ。
せめて一世代だけでも『安全』が保証されればいい。
次の世代の安全は、次の世代に責任を持って貰う。
それで良い。
『平和』というのは言葉を正しく定義するなら、世界の何処にも争いのない状態の事だ。
そのような状態は実の処、何処にも存在しないと言い切っても暴論とは言えないであろう。
だから安全のために警察や『軍』が必要であり、それぞれの文化を守る為に民族や『国』が別れているのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルースが部屋に戻ると、入れ替えるように池間が入ってきた。
ルースとの会話を伝えると、
「なるほどね。あの女王様、良い『読み』をしているな」
と気になることを言ってきた。
「女王に会えたんですか?」
「ああ、宮殿は良い所だな。首都も気に入ったよ」
「俺は王宮に入れても貰えないんだがなぁ……」
巧の言葉に池間は本気で驚いたようだ。
巧が王宮に入ったことがない。女王との面会もしたことがない。
それなのにルースとの密約や、オベルンとの通商条約のような戦略の中核を任されたことが不思議でしょうがないのだ。
これは当然であろう。
巧もそこは同じ感想だ。
二人とも当然のことながら、女王の意識の中にエルフリーデが統一されており、巧を利用している事実を彼女が羞じていることを知らない。
マリアンに関しては『生まれ変わった』以上、この世界の人間として扱うのが真実の愛情と言えるであろう。
しかし巧が生きる世界は本来、別の場所なのだ。
「どうなってる?」
「さあ、自分に言われても困ります。それより、どの様な話を?」
巧としては自分の待遇より、今は作戦の事が気に掛かる。
彼としては母国を守る事も大切ではあるが、何よりもマーシア、つまりマリアンが少しでも『殺し』をせずに済む世界を造りたいのだ。
その為なら何でもやる、と思っている。
エゴイスティックで何が悪い、と開き直ってすらも居る。
一例を挙げるならシルガラでミサイルを使ったことである。
この件に関しては王宮、またヴェレーネは余り良い顔をしなかった。
しかし、どうしてもあれは必要であった。
まず、こちらの力を見せつけることで、敵に回せば恐ろしい、味方に付ければ頼もしい、と思わせる必要があったのだ。
何よりマーシア個人の武力に頼れば話し合い処では無かったであろう。
力の差があるからと言って殺さずに制圧できる筈もなかった。
彼女が一度でも殺しの意志を伴って表に出てきていたら、あの砦に生き残りなど一人もいなかったのは間違いない。
巧とて止めるのは不可能だと断言できる程、彼女のシナンガルへの恨みは凄まじいのだとマリアンに教えられ、あのような形でシルガラに赴くことになったのだ。
「王宮としてはミズ・ヴェレーネが言っていた通りのことしか言わなかったよ。
つまり確認作業だな。
しかし、代理人から話を聞くのと責任者から直接話を聞くのとでは、やはり安心感が違うからな」
「あの女は一応はうちの国民で、我々の上官なのですが? 信用ならんのですか?」
少し笑いそうになりながら巧が尋ねると、池間は”はっ”として、
「考えてみれば、今、相当まずいことを言ったなぁ」
と頭を掻いた。
巧としては苦笑するばかりだ。
話を戻すと、王宮からの要望は防衛だけでは無かった。
戦争の終結のため、シナンガルトップに『交流地』において話し合いの場を持つ方向に持ち込んで欲しい、と言うことである。
彼らとも期限付きでも良いから、何らかの『条約』を結ばせたいのだ。
これには巧が、
「せっかく第三国があるのですから、仲介を頼みましょう」
と提案したので、ラキオシアに仲介をして貰うことになったが『何時になる事やら』である。
その為にもシナンガルを少しばかり追い詰めなくてはいけない。
それがスゥエン及びルース領における反乱である。
しかしスゥエンは兎も角としても、ルース領に肩入れしていることを知られるのは拙い。
相手が先に交渉に応じてくれば、ルースは切り捨てるしか無くなるからだ。
名前を借りてその後は知らぬ振り、というのはいくら何でも道義に反する上に、彼が密約を喚けばシナンガルに良い交渉材料を与えかねない。
口約束である以上、突っぱねることも出来るのだが其れもどうかと思う。
タイミングが難しいな、と池間と話し合った。
頭を抱えている最中に、ふと巧は池間がラウンジに入ってきた時の言葉を思い出した。
「さっき『女王が良い読みをしている』とか言いませんでしたか? あれ、何ですか?」
そう訊かれて池間は答えたのだが、内容を聞いて確かに巧も感心した。
女王の弁はこうである。
「威力のある兵器は必ずルースのように目的意識の強い人間の的になる。
管理に気を遣って欲しい。最終的にはフェリシア人ですら信用しないように」
そう言ってきたというのだ。
「恐ろしいまでのリアリストですね」
「ありゃ、軍人向きだな。いや、子供に刃物を持たせる時期を知っている母親かな?」
池間は妙なほめ方をした。
「母親ね」
巧はそう言って笑っただけであったが、事実、自分の母親だと知ればその言葉にも違った意味を感じたのかも知れない。
正午の鐘が鳴った。ヴェレーネの紹介でもうすぐ二人の人物が現れる。
彼らとの話し合いには出来るだけ多くのスタッフが必要だ。
ヴェレーネを始めカレルまで戦線から呼び出して、いよいよスゥエンへと乗り込む準備が始まる。
小細工だが相手が引っかかれば良し、無駄になるにしても損はない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カグラにおける十月二十一日、いよいよマーシアがスゥエンに出向く日が来た。
流石に今回は相手が相手だけにマーシアが正面から出向くしかない。
前回、彼女はマリアンの中に留まってシナンガル人を見ることで、自分をコントロールする訓練をした。
しかし、まだ一度だけの実験の様なものである。
マリアンはマーシアから何時でも主導権を奪えるよう、かなり緊張している。
“安心しろ、大丈夫だよ”
(前回、怖かったよ!)
“あれはマリアンも悪い! わざと私の出る隙間を作っただろ!”
(だって、お兄ちゃんが危ないと思っちゃったんだよ!)
“今回は、お兄ちゃんは私達の後にいるのだから大丈夫だ”
(うん、わかった。でも、いざという時は止めるよ)
“……頼む”
二人の会話は端から見れば、単に彼女が何事か考えて俯いているかのように見えただけであろう。
その側をヘリ搭乗員と歩兵科兵員が準備に走り回る。
一際小柄な射撃手が、フライトリストの手順を読み取りパイロットとの相談を進める等、周りは慌ただしく動いている。
「マーシア、行くぞ!」
巧に声を掛けられ、慌ててヘルバルトを鞘に収めると彼女はオスプレイに乗り込む。
そのすぐ後からオレグ・バチェクも乗り込んできた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレガリオ・ドラークは執務室の椅子に腰掛け、自分の執務机の上にある『時計』に目を向ける。
先だってシルガラ砦から二台の馬車を使い、大量に運ばれて来た『貢ぎ物』のうちの一品である。
日時計を使って鐘を鳴らすことは役所の重要な職務であるが、彼には「既に鐘が鳴ったか?」とか「未だ、予定の時間の鐘は鳴らないのか?」等と気に病む必要はなかった。
此の二日間で時計に全く狂いはない。
時計が狂ったかと思うと、遅れて鐘の音が鳴る。
問い合わせると、やはり係の者が日時計を確認するのに遅れた、という報告が入る。
この技術が『ほんの一部』だというのだから恐れ入る。
「独立を選ぶべきなのでは?」
ドラークは一瞬悩み、頭を振ってその考えを打ち消した。
反乱など、成功する訳がない。
あの魔法兵器とやらも絶対という訳ではないだろう。
何より、我が国には『竜』がいる。
育成中のものを含めると千に迫るというのだ。
幾ら一人ひとりの魔術師が優れ、魔法兵器が有るにしても人間は永遠には戦えないのだ。
「数に勝るシナンガルが必ず勝つ!」
何度か揺らいだドラークの意志は再び固まった。
尤も、今日の夜に又悩むのかも知れない、との考えが一瞬脳裏を横切るのもこの二日間に繰り返されてきたことではある。
ふっ、っと息を吐いて気持ちを整えた。
ともかく今日の時点では、マーシア・グラディウスに対しては、『独立を宣言する』、『フェリシアと手を結ぶ』と答える予定なのだ。
後の事は、彼らとの話し合いの中で考えるべきであろう。
約束の時間まで残り二時間となったとき、アンドレア・ハーケンを始めとして各隊長が入ってくる。
最後の確認を行わなくてはならない。
まず、ドラークを除いた大隊長達は『籤』を引いた。
交渉は、万が一を考え城壁外で行う。
その際の最初の使者達の選抜である。
半数はドラークに忠誠を誓う者であると信じられるが、残り半数の動向が怪しい。
ドラーク派が全て城外に出た場合はドラークが殺され、司令官交代もあり得る。
また逆に、反逆派だけでフェリシア使節と会談させた場合、どの様な密約がなされるか分からない。
よってドラークは使者達の人選において、派閥の割合が半々になるように細工をして籤を作った。
「しかし会談が決裂した場合、彼らはどう出ますかな」
ラデク・チェルノフ第三大隊長が疑問を口にした。
誰か特定の人物に尋ねると言うより、皆はどう思うのか、という意味合いである。
「奴らは、すぐには手をださんよ。いや、この都市に攻撃するかどうかも怪しい」
アンドレア・ハーケンはそう答える。
彼らしい静かな物言いだが、揺らぎ無い確信があるようだ。
チェルノフは、純粋シナンガル人の称号はあるが、瞳はブラウンであり髪の毛も其れに会わせたかのような色である。
がっしりとした体型に軍服がよく似合い、本人もそれを誇っている。
所謂、武人の中の武人、と言うタイプだ。
それだけに都市防衛には非常な気の使い様である。
「根拠は有るのかな、ハーケン殿?」
「根拠と言うよりは、彼らの今までの政策だ」
「政策?」
「自分たちからは打って出ない」
それを聞いたチェルノフは、少し眉をひそめる。
「ハーケン殿ともあろう方にしては少し甘いのでは? 既にシルガラは落とされましたぞ!」
強い口調であった。
しかし、ハーケンは首を横に振る。
「一人の死者も出ておらぬ。あれは荒っぽいが、交渉の下準備に過ぎぬものだろう」
と、巧が聴けば、
『おいおい。何時、俺の記憶を読んだんだよ』
とぼやくこと間違い無しの台詞を言った。
ハーケンはシルガラの報告から、死傷者の無い事実や交渉者の低姿勢に注目していた。
その上に大量の貢ぎ物である。
しかも貢ぎ物については、砦の兵士に交渉内容がばれないように砦の面目を立て、
『砦の兵士が思いの外に強そうなため、占領は難しいと考える。
此処は痛み分けと云う事にして引き上げるが、それに当たっては身の安全を保証して欲しい』
と言って、自分たちの身代金名目で渡されている。
これだけ条件が揃えば交渉決裂であっても攻撃は無い、と判断したのだ。
彼らは戦線の拡大を望んでは居ない。
我々を独立させ、シナンガル本国にぶつけることで、自国の安全を図っている。
ハーケンには、今回の一件を計った人物の考えが手に取るように分かっていたのだ。
しかし、其れに乗るのも又一興とも心のどこかで囁く声がする。
彼は、乱世の梟雄の傾があった。
自分でも押さえきれぬ何かである。
しかし、今のところドラークが心配するような馬鹿な真似も考えては居ない。
このような手に引っかかるか、馬鹿者が。
と、マーシア・グラディウスを『武力はともかく、策略は今ひとつ』と評価しただけであった。
文章中、最後あたりの言葉の説明です。
(梟雄=残忍で荒々しい様子や、そのような傾向を持つ人物を指します。
梟=猛禽というイメージから来たものと思われます)
サブタイトルは、小野不由美氏の「十二国記」シリーズ「東の海神 西の滄海」からイメージを頂きました。 ファンの方も多いと思います。
実は作品は読んだ事はないのですが、「精霊の守人」はアニメで全部見ました。
素晴らしかったです。
小説も早く読んでみたいのですが、今でも「積ん読」が多くてちょっと待て状態になっています。
次回は、今回より500字以上は多く書きたいですね。頑張ります。




