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星を追う者たち  作者: 矢口
第九章 激戦区一丁目一番地
195/222

193:シーアンの長い1日(Fパート)

 巧の危機にヴェレーネは動けなかった。

 いや、今は巧を信じて時を待つしか無かった、というべきだろうか。

 残り二十数分を耐えて貰うしかない。

 クリールは自身の量子体分散によって城内の敵味方配置を全て把握している。

 また、城外回廊の様子はDASシステムを強制的に繋いでおり、此方の把握も万全だ。

 後は僅かな時間が必要なだけなのだ。


 此処で彼女が焦れば、助かるはずの長谷曹長も助けられないばかりでなく、巧自身の今後にも関わるだろう。


 彼は指揮官である。耐える義務があるのだ。



      ◇   ◇   ◇   ◇   ◇  



 シーアン城内では、かがり火が焚かれようとしている。

 政務庁前ではボーエンから一時休戦の提案を受け、事態は一旦沈静化した。

 しかし、タイムリミットまで後、五時間を切っている。

 それまでの間に、ボーエンは彼等を説得しなくてはならない。


 但し、彼の考える説得とは、帰順派兵士達を城外へ退去させる事ではなかった。


 彼等の数は千名ほど。

 下士官が中心であるため四割近くが魔法兵であり、自軍に引き込めば戦力の大幅な増大が見込まれる。

 つまり、ヤンの言った通り『悪い話でもない』事は確かだ。


 だが、彼等が城外に出て『鳥使い』達と対峙する事になれば、生き残る者などいまい。

 明日以降に到着するベセラの為人(ひととなり)を噂に聞くに、彼が本国を裏切らなかった兵士等を心底から信じて『帰順、大儀である!』の労いと共に、温かく迎え入れるとは到底思えない。


 いや、ベセラに限らずシナンガルの議員階級とは大抵がその様な人種だ。

 ウジュやカーンという実例が幾らでもいるではないか。


 結局は『スパイでないことを証明しろ!』との言葉を持って、彼等がいきなり最前線に廻されるのは目に見えている。

 その前提を胸にボーエンは帰順派兵士たちを説き伏せて行くが、兵士達の耳には信じられない言葉としか言いようが無い。


 ボーエンはこう言ったのだ。

「君たちは戦闘終了まで“中立”を守っていずれかに立てこもり給え。

 安全は保障させる」と。


 実はヤンもボーエンがこの方法を取るだろうと予想はしていた。

 だからこそ、陸戦兵の扱いに苛立つボーエンに対して『今のお前にとっても』と、言葉に含みを持たせたのである。


 だが、その言葉を聞いた彼等は、顔を見合わせるとボーエンに食って掛かり、挙げ句、とんでもない事を言い出した。

「あんた、本当に本国軍の士官なのか? あのカーンの回し者じゃないという証拠もないな!」

 その言葉に応じて、周りの帰順派も疑念の声を上げる。


 次々に引き抜かれた剣は、迂闊にも騎乗竜から大きく離れていたボーエンを取り囲んでいく。


 最初の一人が斬りかかると、彼等はボーエンを取り囲んでは更に間を詰めて来る。

 とは云え、竜を従えるボーエン相手では完全にカーンのスパイとも言い切れないのが、帰順派兵士の足かせになっているのだろう。

 誰の剣筋を見ても殺しを狙ったものではない。


 尤も、相手の狙いが今は捕縛だけにしても、ボーエンとしては此処で捕らえられる訳にも行かない。

 興奮した集団は何時、どの様な方向に流れるのか予測が付かないのだ。

 そうかと言って、当然彼等を傷つける訳にも行かない。


 二~三人の剣を打ち払い、身を躱す。自分でも驚くほどに身体が動く。

 いや、相手の動きが馬鹿げて鈍く見えるのだ。


 あの“チビヴェレ”が自分に何らかの魔法補助を与えているのは確かであろうと思う。

 陣地でも彼の身体は勝手に動き出した。

 予定時間外の竜の使用を第三中隊長ウジェに咎められると、話す間も与えず彼を投げ飛ばしてしまったのだ。


 その後の騒ぎは、ヤンが見た通りである。


 今もあの時と同じに、いや自分の意志で行っている行為のためか、それ以上に身体は動く。

 だが、この様な騒ぎを引き起こすために此処まで来た訳では無いのだ。

 不快感が頂点に達した時、ボーエンは自分でも驚くほどの大声を出した。

「糞!この馬鹿野郎共! お前等、今、表で何が起きてるのか判らんのか!!

 このまま本隊に戻れば、すぐに『鳥』相手の最前線送りだぞ!!」


 ボーエンの怒声に兵達の動きが一瞬止まる。

 誰もが彼の声に、必死の叫びを聞いた気がしたのだ。


「ほ、本当か?」

 薄闇の中、ひとりが問い掛けて来る。

 その方向に向かってボーエンは更に声を張り上げた。

「冗談でこんな事が言えるか!! 下手すれば利敵行為で俺は縛り首だ!」


 相変わらず怒気を隠さぬボーエンの言葉に呆然とする帰順派兵士達。

 場にざわめきが広がっていく。


「この人の言ってる事は、本当かも知れない……」

 城壁に上った数名の兵士達から下の回廊部の惨状についての話がぽつりぽつりと語られると、遂には水を打ったかのように場は静まりかえり、呼吸音だけが互いの耳に届くだけだ。


 と、その頭上に唐突に爆音が響いた。

 同時に、沈んだはずの太陽が戻って来たかのような閃光が三つ、四つと彼等を照らす。


 間に合った、とヴェレーネはクリールの姿の侭に、息を吐いていた。


 スゥエンを飛び立ったオスプレイ四機は、今、遂に戦場へと到着したのである。

 その二機の内部から、計五十名の国防軍兵士が垂直下降(ヘリボーン)展開を開始するとあっさりと帰順派を取り囲むように展開していく。


 第十二旅団三十連隊兵の降下と展開の余りの速さに、スゥエンの兵士達は対応する術さえない。


 何より、上空のオスプレイからサーモチェックの報告を受けると、ひとりの兵士の携行した”ATM-9対戦車ミサイル”は無人の民家一軒をあっさりと瓦礫に変えてしまったのだ。

 鼓膜が破れるほどの爆発音。身を焦がすほどの熱線と体験したこともない爆圧。


 それだけで帰順派兵士達の戦意を挫くには充分であった。



      ◇   ◇   ◇   ◇   ◇  



 同時刻には城壁外回廊部にも一機のオスプレイが降り立ち、此方からも二十六名が巧達に合流する。

 東の丘を飛び立ったAHからの長距離制圧ミサイルと、オスプレイ着陸前の重掃射が重なった事に加え、新手の登場そのものが敵の戦意を(くじ)いた。

 防衛ライン直前まで迫っていたシナンガル兵は、結果として数百メートルを一気に後退していく。


 防衛線を守る誰もが、逃げ去る敵の背中を見たことで安堵の余り一時はへたり込んだようになった。


 最後に地を踏んだ一機は医療用の機体である。

 右腕を失った長谷は、直ぐさま機内に運び込まれると簡易タンクに寝かされ、東の丘へと下がっていく。


 未だ安心は出来ないが、ひとまず彼は生き延びた。 

 後は、補給機に積まれた本式の医療タンクが地球まで安全に送り届けてくれるであろう。


 長谷の搬送と前後して、内部の反乱も鎮圧されたとクリールからの連絡が入る。

 ボーエンなる敵の士官を留め置いているという事なので、尋問も必要だ。

『すぐにそっちへ向かう』

 とタブレットに打ち込むと、

『任せて少し休め!』と返事が返ってきた。


 あれに気を使われるようでは自分もいよいよ“焼きが回った”としか言いようが無い、と膝が折れそうになるが、辛うじて持ちこたえる。

 飛び立つ医療機を見送る巧に、中隊を率いてきた赤井中尉が近付いて来た。

 其の後方に、懐かしい顔も見える。

 北部戦線で行動を共にした相田と城之内である。

 巧に一礼すると、直ぐさま防衛陣地の再構築に入っていく。

 励ましと感謝の言葉が入り乱れ、防衛兵の引き継ぎが行われていった。


 冷静さを取り戻しているかどうか自信は無かったが、巧も中隊指揮官に礼を言うのが先だ、と歩み出る。


 赤井来栖(くるす)中尉。

 三十代中盤に入っても未だにレンジャー資格を保持している格闘戦技の玄人(プロ)である。

 日頃の雰囲気そのままにヘラヘラと笑いながらではあるが、“お疲れ様”と一言。


「中尉殿。救援、ありがとう御座います」

 巧は深々と頭を下げる。

「へえ、参謀長直々の礼とはね。だが、礼は俺じゃあなく、大佐にしといてくれ」

 彼の声に嫌味はなかったが、妙な事を言っているのに変わりはない。

「はい?」

 何故、此処でヴェレーネの名が出るのだ、と当然、巧は不思議になる。


 赤井は首を横に振っては“心底参った”と云う事を表すように一度だけ肩を竦めて見せた。

「幾ら三十連隊が山岳急襲や奇襲を得意とした部隊と言っても、現状も分からずに此処までは動けん」

「と言いますと?」

「だから、大佐だよ! どうやったのか知らんが、飛行中の我々に此処(ここ)の状況をリアルタイムで伝えて来た。

 敵味方の配置から、攻防の状況、負傷者が出た事まで全て添えてな!」


 あっけに取られる巧を見て赤井はさも嬉しそうだ。

 自分だけが驚かされたのは不公平だと思っていたのだろう。


「いっ、一体、どうやって?」

 かすれ声になって問い掛ける巧に、一転して赤井は溜息を吐いてみせた。

「だから、本当に分からんのだよ! ゼータⅠに積んでいたCB7衛星だって此処までの解析はできんだろ?

 魔女の二つ名は伊達じゃあ無いって事だ。 あれを敵に回したら終わりだな」

 完全にお手上げだとばかりに首を横に振る赤井だが、次いで”それはさて置き”と巧に向かって手を差し出す。

「何にせよ。 本当にお疲れさん、だ。 ひとまず君らは生き延びた。

 それで良いじゃないか」


 赤井の言葉に“またヴェレーネの背中に守られた”と、些か情けない気分に拍車が掛かる。

 だが、素直に感謝すべきなのだろう。

 その気持ちを確かめる様に頷いた巧は、差し出された赤井の手を握る事で再度の謝意を示し、現場指揮権を預ける。


「本小隊を含め指揮権をお渡しします。今後とも宜しくお願いします」

 敬礼を添えて移譲を終えた。


「判った。取り敢えず、君らは城内に戻って少しでも寝ろ!

 政務庁を第三小隊が接収した。寝床ぐらいはあるだろう。

 しかし、こんな開けた場所で良く五時間も耐えた。流石は大佐の肝いりだな」

 赤井は芯から感心しているのだろうが、巧にはその言葉を素直に受け取ることが出来なかった。

 だが、人前で気落ちした姿は見せられない。

 部下達に指示を出し、自らも引き下がろうとした巧であったが、その背中に再び赤井の声が飛ぶ。

「済まんが四時間程後で、少し話したい事がある。参謀長殿の意見が必要だ」

「はい?」

「仮眠を取って、頭をクリアにしておいてくれ」

「判りました」


 僅かに開いた城壁側門(そくもん)から、先遣小隊は城内へと引き上げる。

 クー・タクソンの部隊も入れ替えが始まっていた。

 周りの誰もが血と埃に(まみ)れている。

 巧も自分の頬を一撫でして血でこびり付いた肉片を払いのけると、何故かその手を見つめてしまう。


 熱い湯が欲しいと心から思った。



      ◇   ◇   ◇   ◇   ◇  



 腕時計から身体全体に流される覚醒信号により、巧は緩やかに目覚める。


 だが、起き上がろうとして、その上半身が固定された様に動かないことに気付いた。

 マーシアが椅子に腰掛けたまま、頬を彼に預けて寝入っていたのだ。


「無事だったか……」

 その寝顔を見て、長谷の言葉が思い起こされる。

 彼が死ななくて本当に良かった。

 もし、死んでいたならマーシアも責任を感じてしまっていただろう。


 考えが甘かった。

 いや、エゴが悲劇を引き起こす処であったのだ。


「何が、参謀長だ! クソッ!」

 小さな呟きだったが、どうやらマーシアにはそれだけの声量でも充分だったようだ。

 目をこすって身体を起こして来る。


 それから巧を見て、酷く睨み付けてきた。


「ど、どうした!」

 上擦る巧にマーシアの声は冷たい。

「危なかった、って聞いた!」

「うん……、少し、な」

「長谷さん。大怪我したって聞いたよ」

「……」

「通信担当の長谷さんが大怪我するぐらいだから、お兄ちゃんの側まで敵に迫られたんでしょ?」

 流石に鋭い、と思うが辛うじて言葉を返す。

「ああ、やっぱり数には勝てんな……」


 気まずい沈黙が流れたが、いきなりマーシアが頭を下げた。

「ごめんなさい」

 その言葉に、思わず面食らう巧である。

「いや、何でお前が謝るんだ。どう考えても俺の判断ミスだ!」

 別段、マーシアを気遣った訳では無い。事実を言葉にしただけだ。


 だが、続いてのマーシアの言葉は奇妙な現状を巧に知らせる事となった。


『何か有ったら全て放り出して、巧を助けに跳ぶ』

 とマーシアは言った。

 事実、マーシアは巧とリンクを繋ぎ、彼の精神状態に大きな異変が起きたなら、直ぐさま跳躍しようと考えていた。


 力を伸ばした今、彼女が一回に跳べる最大距離は三十キロ程度。

 それも一日に七~八回もの跳躍まで可能だ。

 避難民を送り届けた城塞都市から四~五回の跳躍を重ねれば、辛うじてだがシーアンにたどり着ける。

 先に語った通り跳躍は極端に魔力を消耗する。

 よって戦闘力は大幅に削られるだろう。

 しかし、今までの体験から考えるなら、精神探知も跳躍も、そしてその後の戦闘すら決して不可能な行為ではなかった。


 だが、行動の根本となる巧の異変。

 不思議な事にそれがマーシアに届かなかったのだ。


 異常事態に気付いたのは、丘の補給基地に待機するAH小隊から長谷曹長の怪我を知らされ、緊急搬送の必要を知った時だ。

 その時点でオスプレイは既にシーアンまで残り八十キロ地点に居た。


 マーシアが混乱したのはこの時だ。

 慌てて跳躍も考えたが何処に跳ぶべきかを迷い、迂闊な事が出来ない。

 結局、先行した増援が間に合い、巧の無事が知れた事が冷静になる助けとなった。


 それにしても其処まで近づいたにも関わらず、巧とのリンクに何ら異常が感じられなかったのは何故だろうとマーシアは考える。

 最初の精神リンクが固定されたままなのだ。

 無駄と知りつつも巧の意識に強制的に繋ぐことを試さざるを得なくなった。


 だが、結果は今の彼女の言葉の通りである。


「この周辺、いや、もしかするとスゥエン全域に渡って何かおかしな事が起きてるかも知れない。

『纏める量子』の収斂(しゅうれん)も前ほど簡単にはいかないんだ。

 力が落ちてる、って訳でも無いのに……」

 そう言って、項垂れてしまうマーシア。


 その姿に巧は長谷の言葉を思い出しては“彼等の正しさ”を感じる。

 マーシアには申し訳無くも、少しながら救われた思いがあった。


「長谷の事なんだが、な」

 巧の言葉にマーシアが顔を上げる。

「何?」

「いや、お前を盾にしなくて良かった、って言ってた」

「へっ? 何、それ、どういう意味?」

 マーシアが心底から分からないという目を向ける。

 気付いていないなら、言わずに置くべきだろうか、と悩む。


 しかし、巧とて自分だけが救われるのは不公平だと思う。

 長谷が本当に守りたかった存在に伝えるべき大切な言葉なのだ。

 マーシアがどう受け止めるかは分からないが、彼の気持ちを伝える事に決めていた。

「マーシアは女の子だ。だから、盾にしたくなかったって事だ」


 あっけに取られた様な顔を見せていたマーシアだが、その瞳が僅かに潤む。


「……そう。長谷さん、そう言ってくれたんだ」

「ああ、だが戦士として侮辱された様に感じるか?」


 巧の言葉にマーシアは激しく首を横に振る。

「まさか! そんな気があるなら、お兄ちゃんにだってもっと反抗してたよ」

「そうか、そう言ってくれると嬉しい」

 頷く巧に、少し恥ずかしそうにマーシアは声を潜める。

「お兄ちゃん以外にも、私を“女の子”って言ってくれる人が居たんだ」


 一瞬、巧の目が点になった。

 それから自分もうっかりしていたと思う。

 どうやらマーシアは自分の容姿を客観的に考えた事が無かった、という事にようやく気付いたのだ。

 彼女が巧や杏に「可愛い」と言われても、それは兄姉として言葉であり、素直に外見の事を指すとは考えていなかった様なのだ。


 そう言えば地球で杏に服を着せられた時にも、同じようにかなり自信無さ気だったではないか、と思い当たる。


 堪らず、巧は声に出して笑ってしまった。


「なに?! 酷い! 何で笑うの?!」

「いや、悪かった。いやな、“お前を盾にしたくない”ってのは長谷だけじゃない。

 小隊全員の言葉だそうだ。お前、少しは自信持てよ」


 俯いたマーシアは室内のほのかな灯りでも表情が分かるほど真っ赤になっている。

 年齢に応じた美貌を兼ね備える様になった頃には既に『戦魔王』などと言う物騒な二つ名が通ってしまった為、異性からどう見られるか、など思考の外にあったのだろう。


 その後、暫くの間は巧の含み笑いに続いて、拗ねるマーシアの“ぼやき”が繰り返されるやや騒がし気なベッドサイドであった。



      ◇   ◇   ◇   ◇   ◇  



 マーシアの能力に異常が見られる、と云う話から巧が思い出したのは、ネルトゥスを引き取る際の出来事だ。

 あの時、国外ではヴェレーネですら能力に制限が掛かる、という話が出た。

 また、カレルもフェリシア国内でならば対抗力場を軽々と張れるほどの力を持ちながら、『避難民救出作戦』に於いては、其処まで高度な能力は見せていない。


 ラインを挟んで東西では何が違うというのだろうか?

 もしや、国防軍の兵器能力にまで影響が出るという事も起こりうるのだろうか?

 その様な不安を抱えながら、巧は政務長官室のドアをノック……、出来なかった。


 案内された部屋にはドアが存在しなかったのだ。


「何だ、こりゃ?」

 声を出したのは巧ではない。

 いつの間に背後にいたのか、約束の時間通りに執務室を訪れた赤井中尉である。


 マーシアを含めた三名で部屋に入ると、会議用の大テーブルの上座席にはクリールが堂々と座っているが、顔がテーブルの上には完全に出きっておらず、くりくりとした瞳だけが目立つ。

 その右側では頬杖を着いたままに苦虫を噛み潰したような表情の若いシナンガル兵。


 また部屋の(あるじ)であるはずのリカルド・カーンの姿は最初見えなかったのだが、巧達が現れると何故かティーポットを自ら運び入れ、クリールへの給仕を始める。


 その光景に今度は巧が呟く番であった。


「何だ、こりゃ?」




今回でこのタイトルのパートは終了です。

次回以降、ルナールVS巧の構図に入って行く事になります。


なお、ゲスト出演は赤井”CURX”錠之助様です。

ご承諾に深く感謝します。

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