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サペリアーズ-空想科学怪奇冒険譚-  作者: 才 希
第3章「魔ノ山」(シーズン壱)
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第8話「夕暮れ時に、あの場所で」〈5}シーズン壱 最終話

「じゃあ・・・L.O.C.K.の皆川涼さん。ついでに一つ聞いていいか?」

「なんだよ?」

「4月に僕と光太を同居させたのもなんか理由があるのか?僕らがお互いに困っていたから、そう提案しただけっていう訳でもあるまい。」

「ああ、実はL.O.C.K.の監査対象に天野も入っているんだよ。」

「光太も?」


UFOを操作していたライも「光太はこれから能力に目覚める可能性がある」と言っていた。


「私はお前ら二人の監視を命じられていた。でもあいつさぁ家遠いじゃん。だから一緒にお前とあいつ一緒に同居させてやれば楽じゃない?」

「強引だな・・・・」

「ああ、あとあいつのおかげでお前が少しでもまともになってくれれば嬉しかった」

「なるほどなぁ。涼、君は涼宮ハルヒでいう古泉だったのだな」

「どっちかっていうとフルメタの相良宗介がいいかな」


千里と涼は互いに笑ってしまった。千里は再び、涼に質問する。


「ライとかいう奴の目的はなんだ?」

「それは私も分からない。あいつはある特殊能力者を探しているってことぐらいだ。でも安心しろ私たち、組織がお前らを守る」

「神の声が聞こえる真のサペリアーってのはなんだ?」

「さぁな?ただ、私たちは特殊能力者をサぺリアーと呼んでいる。上位者と」

「サペリアー・・・?」

「どっかの科学者がスペリオルって単語を洒落ってそう呼んだのさ」

「涼、君にも特殊能力があるのか?」

「いや、私も何か能力あったけど薬のせいで失われたみたいだ」

「そうか・・・・」


大体、事は分かった。千里は涼におもわず、ある事を提案してしまった。


「なぁ涼・・・・キスするか?」

「ハァ!?なんで?」

「こういう時は感動の再会を祝してキスするもんだろ。君は僕の初恋の女の子だ」

「あのなぁ・・・・私はさっきも言ったけど、もう音城涼じゃない。皆川涼だ。そこを間違えるな。お前の初恋の女の子じゃない。それに私にはもう心に決めた人がいる・・・その人、私のこと可愛い妹ぐらいしか見てないけどな」

「・・・・・・・・・・・・・・・あ!」


さっき涼は藤原の事を話している時、若干嬉しそうだった。まさか・・・・・・


「まさか・・・あの中年・・・」

「ち、違うぞ!」


否定しても無駄だった。分かりやすい女だと千里は思った。でもそんな彼女がちゃんとこうして生きている事が彼には嬉しかった。涼が千里に向かって言う。


「そうだ!お腹空いたからお前の家行っていいか?天野の手料理食べたいし」

「ああいいぞ。今日はカレーらしいぞ」

「マジか!?カレー大好き!」


 夕暮れの中ではしゃぐ親友の顔を見て千里は思った。確かにもう、自分の初恋の少女はいないかもしれないが、目の前にいる彼女の顔は初恋の少女と同じように眩しい笑顔だった。



第8話「夕暮れ時に、あの場所で」(了)


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