表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サペリアーズ-空想科学怪奇冒険譚-  作者: 才 希
第3章「魔ノ山」(シーズン壱)
27/56

第4話「嫌ナ汗」(4)

 5月23日月曜日の夜、早先見家の台所にて天野光太は夕飯の食器洗いをしていた時にチャイムが鳴った。「ピンポーン」それの音を聴いた彼は同居人である、この屋敷の主に応じる様に頼んだ。


「千里さーん、出てくださいよー。」

「ええ?今エロDVD見ているから忙しいんだ!」


 どこかから、屋敷の主による、そんな腹ただしい返事が帰ってきた。光太は舌打ちしながら玄関に向かった。玄関の戸を開けると、そこには高山がいた。


「ああ、高山さんじゃないですか・・・こんばん・・・」


「こんばんは」そう言おうとして、途中で光太は固まってしまった。高山の怖顔がいつもより数倍怖顔になっていた。(機嫌が悪いのか?)と光太は恐怖した。


「こんばんは。どうした?人の顔を見て固まって。俺の顔に何か付いているか?」

「いやいやそんなことは・・・・(あんたの顔が怖すぎんだよ!)」

「まぁいいや・・・君、本当にあの変人と同居しているんだな・・・すごいな・・・俺なら1日、いや半日も無理だわ」


 そんな変なことで褒められても困る・・・と光太は思った。そんなやり取りを玄関でやっているとエロDVD鑑賞に勤しんでいた屋敷の主様が姿を見せた。


「誰かと思ったら、怖顔マン・・・じゃなかった、高山警部様じゃないですか。こんばんは」


今回も千里は怖顔公務員の階級を1つ上の階級で間違えて呼んだ。


「誰が怖顔マンだ!それに高山「警部」じゃない「警部補」だ!」

「あれ?まだ出世してないんですか?ダメじゃないですか!そんな事じゃ、いつかあの部署に左遷させられますよ!紅茶大好きのメガネかけた水谷豊の顔したインテリ刑事がいるあの部署に!」

「特命係もないし、右京さんもいないんだよ!ドラマと現実をごっちゃにするのは、いい加減にやめろ!」


 (また始まったよ・・・)そんな二人のケンカを見て、光太は呆れた。何故かは知らないが、千里は高山によくケンカを売る。理由はなんなんだろうな・・・そんな事をふと光太は考えた。何にしろ、こんな所でケンカされても困るので光太は二人の仲裁に入った。


「まぁまぁ・・・高山さんもなんか用事が会ってきたんでしょ?こんな所じゃなんですから、上がってくださいよ。お茶出しますから」


 そう光太に言われた高山は黙って千里を睨みつつ、玄関から上がった。



「で?何しに来たんです?」


 通された居間にて光太により出されたお茶を飲んでいる高山に千里が聞いた。高山は千里を睨み続けたまま理由を語りだした。


「捜査協力をお願いしたい。お前の不思議な力をまた貸してほしい」


 そう言って高山は頭を軽く千里に向かって下げた。その言葉を聞いた千里は「あら意外」という感じな顔をした。


「え?珍しいですね。高山さんから進んで僕の力を頼るなんて。あなたが僕を頼る場合は本当に、本当に困った時の最後の手段っていう時だったはずなのに。」


 確かに千里の言ったとおりだ。高山が千里を頼る場合は本当に捜査に行き詰まった時だ。「アメリカの警察やFBIでは事件解決のために超能力者を捜査に応用する」という話もよく聞く。その件に関しては、高山は半信半疑だったが千里と出会ったことにより、少しは信じるようになった。(但し、高山は千里の能力をまだ100%信じていない。)

しかし、高山としては刑事のプライドとして、自身の力で出来る限り解決するという事を心がけていた。本当にここぞという時まで千里に頼らないように心に誓っていた。


「でも俺の時は・・・」

「ありゃあ、涼がどうしてもって言うからさ」


 横にいた光太が口を挟んだ。4月の大学の事件が思い返す。本当に先輩と千里には感謝しなきゃな・・・と改めて思ったのと同時に(でもそのせいで今こんな所で住んでいるんだよな・・・)とも後悔した。


「早先見、お前の言った通りだ。お前の力は本当に最終手段だ。だがな、今回は色々事情があるんだよ・・・頼む」


そう言って高山はまたも頭を下げた。その姿を見て千里がこんな事を言い出した。


「高山さんのそのギリギリまで踏ん張って頑張ってピンチになるまでは自分の力でどうにかしようという姿勢、僕は嫌いじゃないですよ。おんぶに抱っこじゃないという、そのウルトラマンシリーズに出てくる防衛チームみたいな考え方。」

「なんだよ?その妙な例えは。じゃあ何か、お前がウルトラマンかウルトラセブンで、俺は科特隊のムラマツキャップか?ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長か?」

「うーん渋いチョイスで良い例えですね。でも僕は1番好きなの「ウルトラマンメビウス」に出てきた田中実さんが演じたサコミズ隊長ですね。あの人がテレビシリーズの終盤あたりで言ったセリフはなかなか感動的でしてね・・・」


 何故か千里は自分の好きなウルトラマンを語りだそうとしていたので高山はそれを阻止した。


「いや、俺はお前とウルトラマン談義しにここに来たわけじゃねーよ。捜査協力依頼だよ!」

「分かっていますよ。冗談ですよ・・・で、どんな事件なんです?」

「真野山で女子高生が行方不明なったんだ。その子を見つけて欲しい・・・」

「え?真野山!?」

 

 真野山の名前を聞いて千里は少し固まった。光太はそんな千里の姿を見て「やっぱりこの人はあの真野山恐れている?」と思った。だんだん、疑問が確証に変わっていくような気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ